いろいろないろ

以前招き猫の注文を書面にて受けた際、色の指定部分に「黄なり」との表記を見つけ、
これは「生成り」と書くべきところを「黄なり」と漢字を間違えているのか、
それとも「黄色味の強い生成りで」という意味合いが含まれたオリジナルな表記なのか、
もしくは「あんたの思う黄色で頼むよ。あんたなりの黄色。黄なりで。」みたいな、
オリジナルな言い方の黄色指定であるのか判断に迷い、確認してみたら
「あ、生成りのことです」とのことで単純に漢字の間違いであることが判明したのですが、
色の表記違いとしては大変紛らわしいケースですよね。
「黄」の文字を見た時点で鮮やかなイエローの発色をイメージしてしまった自分がいたので、
漢字による色のイメージ喚起力というのは凄いものだなと感心してしまった次第です。
「赤」という文字を見てイメージされる色ってそれぞれの濃さや風合いに違いはあるものの、
たいていがあの「赤」ですよね。信号やポストでお馴染みの。
もしくはアカレンジャーの。
黄という字を見るとやはり同じく信号の黄色、もしくはキレンジャー
あるいは笑点の木久扇師匠の着物の色がぱっと浮かんでしまうものです。
(木久扇を連想するかどうかは個人差があるでしょうが・笑)
そこに「なり」を付けられてもすぐに「生成り」のイメージにならず、
数秒「これは生成りのことだろうな」と考えてしまう辺りに
言葉を目で見るのと耳で聞くのとで受け取り方が全然違うというのがわかりますね。
生成りも黄色味が入っているので気持ちはわかるんですけどね。)


そういえば前にある作家が自分が着ていたカーキ色の洋服のことを
母親がオリーブ色と表現した時から急にその洋服の色が上品なイメージに変わったと書いていて、
何となくわかるなあと思ったんですが、
言葉によってその色合いのイメージすら変わったりしますよね。
私は赤に白を混ぜてピンク色を作って塗る際、
いつも細野晴臣氏の歌う「恋は桃色」を思い出すんですが、
あれもピンクじゃなくて桃色だから情緒があるんだよなあと思ったりします。
(ピンクだと違う方面の歌になりそうですもんね)
桃色とピンクの違いを明確に言語化するのも難しいですけどね。
あくまでもイメージの問題でしょうか。
色を表現する際は色々気をつけないと、という話です。
取りあえず黄の扱いには注意しましょう。
木久扇が出て来てしまいます。