日々をチンして

電子レンジを使用する際「チンする」と言いがちですが、
温まったことを知らせる音が実際「チン」としか言いようのない音で、
これほど印象に残る名演(別に演奏はしてないけど)はないのではないか、
使用する際の動詞に音そのものが組み込まれる例はこれくらいなのではないかと
ふと電子レンジを前に思ったりしたのですが、
あれのチン!という音を考えた人は凄いですよね。
大人でも子供でもどこの現場でも「チンする」で通りますからね。
子供相手に「ほらブーブーだよ」とか「ワンワンだよ」とか
名詞の代わりとして音を用いることはありますが、
大人相手に「課長、私がブーブーで迎えに参ります」とか
「俺はお前らみたいな権力のワンワンに迎合しない」とか用いませんからね。
料理番組などでも普通にチンするとか言いますし、
その言い回しの使用範囲の広さには感心するばかりです。
電話する際に「リンリンする」という言い方が定着しなかったのは
ジリリリとかリーンとか人によって音の形容が違うのと
単純にストロークが長いせいもあると思うんですが、
今や着信音が歌やボイスになっている時代ですからね。
電話の音を言葉に変換する際、未だに黒電話の音を思い出す世代はどこまでなんでしょうか。


呼び鈴を鳴らす際に「ピンポンする」というのも使ったりはしますが、
「チンする」ほどポピュラーではないのは単純に4文字だと長いせいなんでしょう。
ピンで押してポンで戻るというあの曲(?)も発明した人は凄いですけどね。
そう考えると世には名ジングルはたくさんあれど、
最強は電子レンジの「チン」に落ち着くようです。
あれだけは時代を経過しても不変ですしね。
電子レンジが「ボン」だの「ゴン」だの濁音を鳴らしたら何か嫌ですし。
「ぎるがめっしゅ」だの「あべし」だの「ぎざかわゆす」だの鳴らされたら
料理する気が失せてしまいそうです。
iPodを操作する際の「ぺこぺこぺこ」という音は(私にはそう聞こえます・笑)
「操作していて一番気持ち良い音」を追求して作られたサウンドだそうですが、
日常には数々の名サウンドが溢れていて知らず知らずにそれに馴染んでいるのですね。
チンという電子レンジの音は中でもスタンダードであると。
そんなことを思いながら温めた弁当を食べた次第です。
この寒い日々もチン出来れば良いんですけどね。
冬ももうすぐ終わるんでしょうか。
果たして。