京都にて慕情

先日夏休みというレアな代物を入手したので、
そうだ京都行こうとばかりに京都へ行って来ました。
旅先では古本を見て酒が飲めればそれで良いのさ、人生そんなもんさというスタンスで
あえて寺などの有名観光地に行く予定を立ててなかったんですけどね。
そんな観光地行くなんてださいことしないぜ、くらいの心意気で。
しかしいざ向こう着いていくつか古本屋を訪ねるも思ったより物足りなかったり、
そもそも場所がわからずで訪ねられなかったり、
行ってみたら古本市の準備とかで閉まってたり、なかなか古本との良き縁に恵まれず、
五十嵐に古本を見させない会なる謎の団体の京都支部の会員が私を監視し、
私に良き古本を見させないよう仕向けているのではないかとの疑念さえ浮かび、
つーかそもそも下鴨古本市が11日から開催されるの知ってたらそこに合わせて行ったものを
開催前に行ってしまったとは古本好きとしては失策に他ならぬわと
鴨川デルタにてやけビールをあおるに至ったりしたのですが、
まあそれらも思い出という三文字に閉じ込めてしまえるのが旅のマジックですからね。
鴨川の空を慕情と共に写真に収めるなどして夏を感じたりし、
森見登美彦の小説に出て来たのがここか、などと思いつつ楽しんだりした次第です。
夏の鴨川は良いですね。
近所に住んでたら毎日行くことでしょう。
鴨川沿いには大学生とか裸足で耳からティッシュ出している謎のおっさんとか
外人さんとか子供とか老人とか犬とか虫とか色々いて夏に溶け込んでおりました。
ちなみに古本ですが一応それなりに収穫ありました。
ブックオフという奥の手も使いましたし。
ガケ書房さんも充実していて良かったです。
あとは京都の大衆酒場で酒でも喰らってやるかとアイフォーンにて調べた良さげな酒場へ向かうも
京都の地理に詳しくない身としては住所だけでは場所がよくわからず、
なかなか辿り着けないという事態に見舞われ、
五十嵐に大衆酒場へ行かせない会なる謎の団体の京都支部の会員が私を監視して
私を大衆酒場へ行かせないよう仕向けているのではないかとの疑念さえ抱き、
途方に暮れ大人なのに泣きそうになったりし、
さらには盛り場にて浮かれた大学生たちのコンパの群れにやたらと遭遇し、
ここは渋谷かと見間違うほどのその群れにすっかり疲弊してしまったのですが、
ちょうど大学生たちがコンパを催したくなる時期だったのでしょうか。
大学生のコンパ発生率上昇作戦でも秘密裏に遂行されていたのでしょうか。
まあ大学生たちが浮かれる季節ではありますけどね、夏は。
花火でもあるのか浴衣姿のカポーなども多く、しかもなぜか男がやたらチャラく、
チョリ〜スという吹き出しを付けたくなるほど身も心もチャラい男ばかりが目につき、
おかげで京都の男子の3人に1人はチャラいという印象を抱くに至ったのですが、
あれは五十嵐にチャラい男子と遭遇させる会なる謎の団体の京都支部の会員が
私の周辺に多数のチャラ男を配置させていたせいなんでしょうか。
古都の町にて肌の黒い茶髪で如何にも軽薄そうなチョリ〜ス男が発生するメカニズム、
それを解き明かしたい衝動に駆られながらも何とか良き酒場にも恵まれ、
チョリ〜スとばかりに苦い酒を飲み干すに至った次第です。
チョリ〜スくんたちに幸あれと願わずにはいられません。
「ぶっちゃけタトゥー入れるならやっぱ大文字焼きっしょ」
「清水の舞台まじパねえっしょ。飛び降り系じゃね?」とか言うてはるのでしょうか。
次の日は古本と酒場だけで京都を終わらせるのは如何なものであろうかと
急遽平等院鳳凰堂でも行ってみるかと10円玉を見ながら思い立ち、
世界遺産にして国宝の建物と仏像を拝み、その素晴らしき造形と歴史の重みを感じ、
やっぱり京都に来たら寺と仏像だなと古本古本酒酒言うてた己を恥じ、
次回は仏像、お寺巡りをしようと決意するに至ったりした次第です。
仏像はあの大きさでやはり圧倒されますね。
汗だくになりながら拝み古都の香りを楽しみました。
あとイノダコーヒにてコーヒーも味わいました。
流石の老舗はサービスも良くてコーヒーも美味しく
三条へ行かなくちゃ〜と高田渡先生の歌をつい口ずさんでしまった次第です。
夏の日差しが痛いくらいで日焼けクリームを塗りたぐったものの、
それも何のそので焼かせるぜ〜と迫り来るUV先生に降参しそうになりながらも
川の流れや雲の大きさや街の雰囲気に夏を見出しました。
地下鉄に真っ黒なトンボがいましたが、あれは新種なのか京都限定カラーなのか、
トンボに見せかけて実は蝶々だったのかわかりませんが、印象に残りました。
あと蝉の勢いがそれこそパねえ感じでまじヤバいっしょと思いました。
京都には蝉の声が似合いますね。
あれでひぐらしの声が聞けたら完璧だったんですが。
旅の間はツイッターをほとんど見なかったんですが、
日常を遮断するような感じでそれもたまには良いものだと思ったりもしました。
次回は仏像を巡る旅だなと土門拳の写真を眺めながら仏に想いを馳せつつ
また日常に戻る事にします。
実はまだ夏は終わっていないのですよね。