私、ヨコハマトリエンナーレを見学

8月も後半を過ぎ、急に秋らしく涼しい気候になったせいでもありませんが、
芸術の秋先取りとばかりにヨコハマトリエンナーレを見学して来ました。
まあ時間なくて横浜美術館内しか見られなかったんですが。
様々なジャンルの雑多なアート作品がたくさん展示されていて、
オブジェや映像、楽器や絵画、コレクション、写真など、
あらゆる方向から驚きや共感やその他の感情を刺激されました。


特にアラーキーの夕空の写真は自分がこの夏毎日のように見ていた夕空を思い出させ、
心に沁み入るものがありました。
彼の愛猫チロの亡くなる寸前のモノクロの写真と相まって凄く良かったです。
被災地の方が育てたという椿の花の写真が大きく展示されていて、
その生命力溢れるような色鮮やかさにも惹かれました。
あと横尾忠則の三叉路の絵画も凄く心に響きましたね。
死の入口を連想させる三叉路の暗闇の色合いとか、
夢で見たことあるような気にもなりはっとさせられました。
田名網敬一のアニメーションも初めて見ましたがサイケな配色とくすんだ色合いが良かったですね。
あれはDVD化されていないのでしょうか。
あとは横浜在住の子供の部屋の電気に直結しているランプなど綺麗でしたね。
子供が電気を付けると天井のランプが点灯、
子供は自分の部屋の電気が横浜美術館に繋がってることを知らずだそうです。
何とまあイメージの広がる展示じゃないですか。
あとは望遠鏡を覗いて鑑賞するミニチュアのオブジェとかも面白かったですね。
こういう距離感で鑑賞する作品もあるのかという感じで。
敷き詰められた小さな白い石の山にひとつだけ本物のダイアモンドが隠れてるとか
(探すのひと苦労だと思うんですがあとでどうやって回収するんでしょうか)、
巨大な建築資材を使ったパイプオルガンとか
(凄い大きな音で鳴っていて近隣の展示場のBGMになってました)、
よくわかんないけどただの白い壁とか
(これ展示物でーす、と係員の人が示さないと素通りなくらいただの壁でした)、
あと何だかよくわかんないけどくつろげるスペースみたいなのとか
(ビデオが上映されていましたがホームビデオみたいなやつでした)、
金属の破片をボール状にしただけのオブジェとか
(意味のないものとかいう解説がありましたが本当に意味ないと思いました)、
大きな部屋に小さなごみみたいなのが微動しているだけの空間作品とか、
中には何やねんそれみたいなのもあったわけなんですが、
そういうのに触れるのも楽しい体験なわけです。
前を歩く人の足跡を箒で掃きながら行進する複数の女性の映像も面白かったですが、
タイトルが「幸せを追い求めて」みたいな陳腐なものだったので、
あれはタイトル付けなきゃいいのにと思ったりしました。
音もビートのみとか電子音のみとか乗せれば別な意味も出来たのにとか。
逆にフルオーケストラとかでもいけたのにとか。
ちなみに私なら「永遠行進箒女子」みたいなタイトルにしたと思います。
シャボン玉の映像とシャボン玉然とした球体の展示も印象に残りましたが、
そこだけ監視の係員が3人も配置されていたことの方が印象に残ったりしました。
よほど展示物に触ってしまう人が多いのでしょうか。
いっそ「係員3人が視るシャボン」というタイトルにしたら良いと思いました。
あと名前失念しましたが暗いムードのアニメーションも素晴らしかったんですが、
部屋が「真冬か!」というくらい冷房で寒く、「寒い」という印象の方が強く残りました。
いっそ「真冬の8月」というタイトルにしたら良いと思いました。
そうなると11月に見る人はどうするんだという話ですけどね。
あとターンテーブルで回るレコード盤の上で陶芸やるというのは、
誰かが過去にやってそうだなと既視感があったんですが、やってないんでしょうかね。
あれは「既視感レコード」というタイトルにしたら良いと思いました。
あとは古今の妖怪グッズコレクションの展示なんかもありましたがこれは面白かったですね。
歴史ある掛け軸に描かれたものからパチンコ台に至るまで
変わらずイメージされ続ける日本の妖怪の姿が浮かび上がって来て良かったです。
昔の看板の文字の展示も面白かったですね。
「や」とか「落石注意」とか。
あと迷路の先に電話があってそこにオノ・ヨーコさんから直接電話がかかって来る(!)という
展示が最後に強烈に印象に残りました。
その日も2回電話がかかって来たそうですが、私が電話の前に立った時にはコールされませんでした。
ヨーコさんから電話がかかって来たら何て言えば良いのでしょう。
「もしもし?私京子京子!」と彼女の娘さんの名前を告げ京子京子詐欺でもすれば良いのでしょうか。
もしくは「もしもし?俺ショーンショーン!」とショーンショーン詐欺とか。
(向こうからかかって来てるのだから詐欺にはならないですが)
でもここはやはり「ハロー?」とのヨーコさんの声にひと言「イエス」が正解なのでしょう。
電話が何の変哲もない実務的な電話機だったのが妙に親しみがありました。
これガチでかかって来るやつやん、という感じで。
ヨーコさんと会話したい方はぜひ一日中そこにいると良いでしょう。


そんなわけでアートな空間ですっかり刺激を受けた次第です。
この勢いでぜひレコーディングの続きに取りかかろうと思ったりしています。
答えは勿論イエスで。