私、リヴィング・イン・ザ・マテリアルワールドを鑑賞し

マーティン・スコセッシ監督の「リヴィング・イン・ザ・マテリアル・ワールド」を鑑賞しました。
ジョージ・ハリスンの人生に迫った渾身の3時間半に及ぶドキュメント映画です。
ネタばれしつつ感想をざっと書きますので気をつけてお読み下さい。


数々の貴重な映像や証言で彼の生き様や人となりを浮き彫りにする作りで、
ポールやリンゴやパティやクラプトンやら奥さんや息子さんやらの近しい人や
(息子がジョージにそっくりのイケメンで驚きましたよ)、
エリック・アイドルやらジム・ケルトナーやらフィル・スペクター(!)やらの
発言から浮かぶジョージ像は馴染みのあるものもあれば意外なものもあり、
ファンとしては興味深い内容でしたね。
通して思ったのは彼の音楽面、精神面に於いてのインド傾倒はガチだったんだなあということですね。
劇中マハリシにあんな時間割くとは思わなかったですしね。
(ジョンと一緒に討論番組に出てたのとか初めて見ましたよ)
自宅に瞑想ルームを作って毎日瞑想してたとか、最期までマントラを唱えていたとか、
音楽面でもラヴィ・シャンカールシタールを習うところとか真剣そのものだし、
アップルから彼のアルバムをリリースしたりバングラ・ディシュの救済コンサートしたり、
彼の人生の指針がそれだったんだなあと再認識しました。
物質社会に生きながら精神世界に生きる自分を見つけようと模索をする日々だったんだなあと。
正直インドはビートルズ時代にかぶれてて、その後もインド好きキャラを通してるなあくらいの
実にライトな認識していて申し訳なく思った次第ですよ。
彼の音楽面をメインに焦点を当てたものではないので、
80年代末に「セット・オン・ユー」で1位に返り咲いたエピソードとか、
クラプトンとの来日公演とか、「マイ・スウィート・ロード」盗作事件とか、
結構省いてるところあるなあという印象でしたけど、
(「ジス・ソング」で盗作にオチをつけたというのは彼らしいエピソードだと思うんですが)
「ヒア・カムズ・ザ・サン」の7拍子についてのリンゴの証言とか、
ビートルズ時代の名曲のエピソードは押さえていたし、
ソロ時代の名曲も要所要所きちんと押さえていましたね。
「マイ・スウィート・ロード」をシングルに薦めたのは俺〜と
自慢げに証言するフィル・スペクターのドヤ顔が良かったですね(笑)。
ジョージが卓でオケを単独で流すシーンとか興味深かったです。
あれもフルで見たい映像でしたね。
失敗に終わったとされるダークホースツアーの映像とか、
凄いファンキーでかっこいい演奏で、あれはフルで見たいなと思いましたよ。
トラヴェリング・ウィルベリーズの録音風景の映像とかも初めて見ましたし。
証言で言えばクラプトンの生々しい発言が良かったですね。
ジョージの代わりにビートルズに誘われかけた際、心が揺らいだとか
ビートルズの金と地位に嫉妬していたという話が生々しかったですね)
彼の嫁さんのパティを部屋に呼んで「いとしのレイラ」かけて口説いたとか。
そんないやらしい手を使って人の嫁を奪ったのかお前、という感じですが。
パティを巡っての修羅場とか当のパティが証言してましたけどね。
彼女もかつての美貌が見る影もなく衰えていたのが妙に切なかったですけどね。
え、このおばさんがジョージとクラプトンを?みたいな。
そこへいくと2人目の奥さんのオリヴィアさんは今でも美人でしたけどね。
晩年に強盗に襲われた事件を震えながら語るところとか生々しかったですね。
「結婚生活をうまく続けるコツは?」との質問に
「とにかく離婚しないことね」と答えていたくだりでは
劇場のお客さんが一番大きな共感のため息を漏らしていましたけどね。
(客層の年齢層は高くおじさんとおばさん半々くらいで若者は少なかったです)
ジョージにはたくさん浮気されたみたいな話もしてましたけど、
瞑想したりマントラ唱えたり庭いじりしたり草食系な振りしてるくせに
実は肉食系だったのか、つーか思い切り俗世の欲に負けてるじゃねーかよと
ツッコミを入れたくもなったのですが、まあそれも含めジョージという人間ですからね。
彼を看取ったあとにジョージの魂を見たと発言する奥さんの様子を見て
ジョージは素晴らしい奥さんと結婚したんだなと思った次第です。
最期といえばポールとリンゴがジョージの死ぬ2週間前に面会に行った際、
交わした会話のエピソードがほろりと泣かせましたね。
ビートルズファンはあのエピソードを聞くためだけにこの映画を見る価値ありです。
あとクラウス・フォアマンが「ジョージは素晴らしい方法で私を救ってくれた」
みたいな意味深な発言してましたが、あれは何だったのか気になりましたね。
ジョージはそっちもいけるの?みたいな(笑)。
モンティ・パイソンの映画を自分が見たいがために家を抵当に入れて映画会社作ったり、
城を買い取って自宅にして庭作りも自ら手がけたり、
趣味人としても彼は豊かな人だったんだなと色々な側面を見られましたね。
(世界最高額の入場料さという発言が良かったですね)
初の大型チャリティイベントとか先見の明もありましたしね。
ただ私はファンであるがゆえ「あああの話ね」と全体を理解出来たんですが、
ジョージの人生を知らない人が見たらよくわかんない流れだったんじゃないすかね。
その後離婚したとか再婚したとか細かい説明もないし。
まあ主にファンが見るから良いんでしょうか。
取りあえずジョージに興味ある方は必見であることは間違いないですね。
またジョージのソロアルバムを引っ張り出して聞きたくなること必至です。
取りあえずフィル・スペクターのエコーがかかりまくったデビュー盤を聞くことにします。
オール・シングス・マスト・パスだなあと年齢を重ねる毎に思いますね。