私、THE MANZAI 2011を視聴し

THE MANZAI 2011を鑑賞しました。
ざっと各出場コンビの感想を書きたいと思います。
お笑いに興味ない方はスマートフォンの画面を指でスマートに流して読み飛ばして下さい(笑)。



Aグループ、囲碁将棋はトップバッターということで順番的には辛かったでしょうが、
きちんと持ち味を出していたように思います。
「水曜日はチャゲ」というツカミも決まってましたし。
彼らのネタはツッコミが急にしれっとボケに回ったりする変化球があるんですが、
ツッコミが後半タモさんへの飛躍を遂げるところがミソですね。
今回は名前を知ってもらうチャンスということで良かったんじゃないでしょうかね。


チキチキジョニーは昭和の匂いのする女性しゃべくり漫才ですが、
ブスキャラ女子が高みから芸能人いじりをする構図は既視感があるんですよね。
特に新しさも面白みも感じなかったですが、
ツッこまれてメガネがずれるというわかりやすいキャラはバラエティ向きじゃないでしょうかね。


ナイツは流石としかいいようない出来でしたね。
ボケの数をこれでもかと入れて来て。
視聴者による携帯投票システムに向いている芸風ですし。
小室ネタであそこまでボケられるのも凄いです。
特にアラーのくだりには爆笑しましたね。
すべてを凌駕するのが布袋というのはある意味真理じゃないかと(笑)。
2回目の決勝ネタでのヘロインを放り込んだくだりは素晴らしかったですね。
あの毒気に爆笑問題が手を叩いてウケている図は美しかったです。
個人的にはナイツが優勝で良かったように思います。


磁石は個人的に凄く応援してたんですが、
ナイツと同じ組だったのが不運でしたね。
出来は良かったし、ネタも面白かったので敗退したのは残念です。
目覚まし時計組み立て部に即入部したい衝動に駆られました。
彼らはルックスも良いし、これを機にもっと売れれば良いのにと思います。


Bグループ、HiHiはあべこうじを思わせるウザキャラのボケに翻弄されるツッコミというスタイルで。
特に新しくもなくネタも普通のように思いましたが、
この日一番客の心をつかんでたんじゃないでしょうかね。
特に2回目の決勝。乗ってるという状態があれだったと思います。
苦節18年という苦労人の彼らが陽の目を見るという、
芸歴10年以内のM-1では成し得なかったドラマが生まれていてこの番組を盛り上げていたと思います。


テンダラーは彼らの持ち味を活かしたネタでなかなか面白かったですね。
ただ仕事人の後半が若干長くなり過ぎたきらいもありますが。
苦労人の彼らがこうして脚光を浴びる図は見ていて嬉しいものだし、
これもM-1では成し得なかったこととして番組の意義があったように思います。


スリムクラブはもうこのテンポにも見慣れたなあという気で見ていたんですが、
それでもやっぱり笑えるネタの強度に改めて感心しましたね。
死角のくだりとか彼らにしか出来ないネタでしょう。
内間の方がもうちょっと工夫するともっと面白くなるような気もしますが。
彼は基本半笑いか素笑い(風)だけですもんね。


ハマカーンは最近の定番の「下衆の極み」「鬼畜の所業」のフレーズと、
最後礼をしながらも喋り続けるというスタイルに加えて
後半相方がフレーズを雑に反復するというパターンも加えて工夫されてましたね。
ただ他にもっと良いネタがあったようにも思いました。
個人的にはこのBグループはどの組もほぼ横並びだったという印象です。


Cグループ、学天即はツッコミも巧いしネタもしっかりとはしていましたが、
ちょっと地味な印象を受けましたね。
爆笑というほどでもないし。
これが決勝に出れるなら他のコンビも出れるんじゃないかと思ったりもしましたが。
いまいち個性が無いんですかね。


博多華丸大吉は流石の間合いでしたね。
ベテランならではの持ち味を活かしていて。
定番の九州ネタもありで。
ただ新しさはやはりなかったですし、優勝ネタではないように思いましたね。


アルコ&ピースは「綾部と又吉です」というツカミが一番面白かったですね。
彼らはもっと面白い革新的なネタを持っていたように思うんですが。
今回はネタの選択ミスじゃないですかね。
中途半端に漫才から外れたような歌ネタよりも完全に脱漫才するネタを見たかったです。


パンクブーブーは流石の貫禄で途中で噛んだところも気にさせないくらい
ぐいぐい引っ張る力量に改めて感心しましたね。
本当に面白い漫才をするコンビだなと再認識しました。
ただ過去にM-1で見たようなパターンだなあという気もちょっとしましたけどね。


Dグループ、エルシャラカーニはとにかく言い間違えて脱線していくスタイルは個性的で、
誰にも似ていない芸風が確立されていて良かったと思うんですが、
ちょっとひとつのネタを引っ張り過ぎな気もしましたね。
これで4分持たせるのは辛いかなと。
「ひよこって毒持ってるんだって」というくだりとかは笑いましたけどね。
あの赤のタンクトップという異質なキャラはバラエティでもいじり甲斐がありそうだし、
今後ブレイクしそうな気もしますけどね。



千鳥はネタの独創性といい、味わい深い間合いといい、
素晴らしいネタだったように思います。
個性的なネタとはこういうことを言うんじゃないかと思いましたね。
ぱっと見、よくある電話でのすれ違いのやりとりネタかと思ったら、
電話の相手の白平(はくべいという独特なネーミングの妙も最高です)のキャラが
どんどん異質なものであることが明らかになって行くくだりは小説を読んでいるようだし、
あの4分のネタの間に白平さんが大型免許取得しているとか、ゴールキーパーをしていたとか
日本初のおかまだったとか、紅引きと呼ばれていたとか(この紅引きという単語のチョイスも最高です)、
彼が歩んで来た人生が垣間見える展開には感動を覚えました。
彼が初めて紅を引いた時の描写などはこれはもう文学じゃないかと思いましたし、
背景を想像させるネタの奥行きは素晴らしいと思いました。
智弁和歌山高校というツカミも抜群でしたし。
2回目のネタが1回目のネタをフリにしているという展開も良かったですね。
ただ2回目のネタはちょっと弱かった気もしましたし、
流石にこれは優勝ネタではないなという感じでしたけどね。
ただ千鳥のネタは個人的には一番素晴らしかったと思いました。


ウーマンラッシュアワーはいつもの早口ボケスタイルでしたが、
一度も噛まなかったのは見事でしたし、
あの勢いの良さと派手さはこういう大会では有利じゃないかと思いました。
バイトネタもわかりやすかったですし、実際ウケていましたしね。
実は高学歴で凄い履歴の持ち主だったというオチの飛躍もあって良かったと思います。
ただもっと滑舌良ければなあというのと(相方の方が滑舌が良いのですよね)
結局このパターン1本やりかという気もちょっとあるのですよね。
このパターンをやり尽くした後のさらなる展開をすでに見たくなってる自分がいます。


銀シャリは折角勝ち上がったのに、ネタの選択ミスじゃないかと思いましたね。
他にもっと面白いのがあったろうに。
ツッコミはもう素晴らしいので、ボケの仕上がりにかかってるような気がします。
歌の滑舌が悪いのでボケがわかりにくかったですし。
(最初からオーマイゴッドが耳で認識出来ませんでした)
ただ博多から名古屋から稚内まで飛躍するネタ運びは巧いし、
ツッコミの語彙の豊富さは素晴らしいのでぜひボケの鰻には頑張って貰いたいです。


コント風メイクと衣装の殿と、殿に変わってネズミの格好をしている爆笑問題を据え置くという、
バラエティ風味を強調した独自の賞レース番組にしようという工夫が随所に感じられたし、
(実際視聴者が審査に参加するという時点ですでに賞レースとしては厳密さを欠いているわけだし)、
そこら辺「これはM-1ではない」という作り手の意識が現れていたように思います。
いなくなった紳助の意図をどこまで汲んでいるのかはわかりませんが、
こういうお祭り的な要素を取り入れた作りはそれこそめちゃイケぽいし、
(冒頭のテストにダイノジを配したのもめちゃイケオーディションを思い出させる作りでしたし)、
ナイナイが司会という仕切りの適度なユルさはM-1とは全然違う空気でしたし、
なるほどこういう大会にしていくのかと何となく理解は出来ましたね。
4時間は長く感じたし、後半のリピートはいらないような気もしましたし、
まだ初回なのでこれから改善される部分はあるんでしょうけどね。
まだM-1を引きずっている身としてはもっと笑いにストイックに行って欲しい気もしますし、
松本人志が審査するという図を見たい気持ちは確実にあるんですけどね。
まあ別な大会であり、あくまでバラエティ番組であるということを踏まえて
次の会も楽しみに見たいと思ったりしている次第です。