夏の本番

気が付けば8月に突入しておりました。
怒濤のような猛暑と共に。
夏本番とはよく言ったもので。
これがリハーサルだったらえらいことです。
これが本番のテンションでなくてどれが本番のテンションだと言うのでしょう。
サマーの本番力に圧倒されている私です。


この数日間早くも夏休みをいただいたので、
尾道と倉敷へ出かけて来ました。
大林宣彦監督作品でお馴染みの尾道
いい感じの坂道と石段と路地を舞台に夕焼けを眺め、
さらにはそれらをつまみにビールを飲むぜという野望を抱いていたのですが、
実際にはすんごい猛暑で水を飲まないとえらいことになりそうだったので
ひたすら水ばかり飲んでいたんですけどね。
山上にある千光寺へロープウェイで上り、歩いて下るというコースで
路地や石段や坂道を堪能しました。
勿論レコーダーで環境音を録音しつつ。
(結局蝉時雨だけでしたけどね録れたの)
近くの招き猫博物館に入ってみたらうちの招き猫が数点置いてあったんですが、
横に「しょぼい」という擬音が文字となって見えるレベルの展示だったので
「これ僕の招き猫なんです」と声を掛けないでおきました。
あとは寺の名前忘れましたが五百羅漢を見学したり
(勝手に見て下さいとばかりに開放されていて驚きました)
さらには夕焼けを見るという最大のミッションを遂行すべく
小高い寺の周辺で夕暮れ待ちしたのですが、
夏というやつはなかなか日が暮れないわけで。
眩しい西日を見ながら「早く焼けろこの野郎」と暴言を浴びせるなどして
夏の風流を風流じゃない態度で待っていたのですが、
日が沈みかけたと思ったらあっという間に太陽の姿が見えなくなり。
夕焼けのゆの字も見えず盛り上がりレスであっさり日が暮れてしまったので、
私はがっくりという擬音が横に文字として見えるくらいがっかりし、
「俺の夕焼けを返せ馬鹿野郎」とさらなる暴言を吐き
とぼとぼと下界に戻ったという次第です。
(この顛末は尾道夕焼け鑑賞未遂事件と命名しました)
まあ夕焼けこそ見られませんでしたが他の景色は楽しめました。
商店街のそこかしこに漂う80年代な雰囲気に
大林宣彦映画のテイストを思い出したりなどしつつ。
あと途中バスに乗ったらどういうわけかお札が使えない状態で、
小銭もないので車掌さんに「お札使えない場合どうやって払うんですか」と問うと
「いやどうしましょう」と返されたので
「どうしましょうと言われてもどうしましょう」などと困ってたら
同乗していたおばちゃんが「私、千円両替出来るわよ!」と申し出てくれて、
何とかバス料金を払うことが出来たのですが、
あそこで両替おばちゃんがいなかったらどうしてたんでしょうか。
「あそこの自販機で両替して来て下さい」みたいな感じだったんでしょうか。
自販機行く振りして逃げられたらそれまででしょうに。
ICカードの利便性を旅先にて思い知った次第です。
(この顛末は尾道バス無賃乗車未遂事件と命名することにしました。)


倉敷では普段からお世話になっている日本郷土玩具館を訪ね。
全国の貴重な郷土玩具を見させていただきました。
うちの張子が沢山展示してあるのを見学し、
館長さんやスタッフさんにご挨拶しました。
(来月ここで招き猫をテーマにした展示をするのです)
すっかりコーヒーなどご馳走になって寛いでしまいました。
それから美観地区をそぞろ歩きし、
器を扱っているお店にふらっと入ったらおばあさんが奥から出て来て、
徐に戦争体験の話を聞かせてくれたのですが、
(かなり臨場感ある貴重な体験談でした)
ずっとノンストップでトークが続くので、
このままだと聞いてるうちに一日が終わってしまいそうだったので
キリの良いところで切り上げて店を出たんですが、あれは楽しい体験でした。
(倉敷おばあさんワンマントークショー事件と命名することにしました。
別に事件じゃないですが。)
道中そういえば山田氏が倉敷に頻繁にライブで来てたなとふと思い出し、
「倉敷でお勧めスポットおせーて」とメールしたら
何故か鎌倉のお勧め情報が送られて来たので
「や、鎌倉じゃなくて倉敷っす」と訂正したら
「あ、ごめん間違えたー」と倉敷情報がいくつか寄せられたので、
早速彼が毎回ライブをやっているという三宅商店に赴いてみました。
(山田氏鎌倉と倉敷間違える事件と命名
他の客が全員かき氷を喰らう中、私はあえてビールを飲んだんですけどね。
夏休みにおばあちゃんの家に来たみたいな雰囲気で良かったです。
その後山田氏によると「大原美術館はマストよ」とのことだし、
さっきの器屋のおばあさんも
大原美術館に貴重な物があるおかげで空襲に遭わなかった」
大原美術館マジリスペクトだし」という旨のことを語っていたので、
美術館を見学したんですが大変に見応えあって素晴らしかったです。
日本、西洋、東洋の絵画や工芸など幅広く展示されており。
教科書や本で見た著名な作家の名作のあれやこれやが生で見られたし、
歴史的に貴重な物の他に新しい現代美術もきちんと展示されていて。
個人的には児島虎次郎の絵画と芹沢銈介の文様、
上田暁子さんという若い作家の人の作品が良かったです。
あとジャクソン・ポロックの作品見て
浅草で目撃したブルーシート柿ピーアートを思い出したりしました。
そんなこんなで美術館を堪能した後、
夜は郷土玩具館の館長さんと娘さん夫婦と食事に誘われ、
地元の人しか来ないという隠れ家的なお店に連れて行っていただき、
地酒なんていただいたりしてすっかりご馳走になってしまいました。
(倉敷でご馳走になっちゃった事件と命名。事件じゃないですが)
娘さんの旦那さんが建築士なので
伊勢神宮の建築について盛り上がったりしました。
楽しかったです。
暑かったですが、とても有意義な滞在になりました。
それから丸亀まで足を伸ばし猪熊弦一郎現代美術館も堪能したんですが、
それはまた違う機会に書きます。
やっぱアートだよねと思ったりした8月の冒頭です。