バンドワゴンツアー記初日 森、道、市場2013

そんなわけで2日間3公演の山田稔明バンドワゴンツアー、無事終了しました。
ご来場下さった方々、どうもありがとうございました。
前半の11日は愛知県蒲郡にて開催の「森、道、市場2013」という野外フェスに出演ということで、
バンドメンバー一行ワゴンに乗り込み東京を出発しました。
当日は生憎の雨で会場の足場が心配されたのですが、
強烈な晴れ男という自負を持つ山田氏は「本番までにはあがるさー。何なら虹がかかかるさー」と、
虹のオプションまで付けて晴れ宣言をしていたのですが、
実際には晴れ間が出るどころか一回も雨が止むことがなかったんですけどね(笑)。
逆に雨男の安宅さんは「俺のせいじゃないかなあ」と心配していましたが、
何しろ今回は出演者が多いですからね。
様々な雨男雨女晴れ男晴れ女の思いが渦巻いて荒れた天気になったのかもしれません。


ワゴン内は機材と荷物とメンバーでぎゅうぎゅう詰めで、
もうこれ以上入りませーんという状況だったんですが、
その隙間をかいくぐって見覚えのない猫のぬいぐるみが鎮座していたので、
「この子は何ぞ?」と問うと山田氏が「ふふふ」と不敵な笑みを携えながら猫のお尻のスイッチを入れ手を叩くとそれに合わせて突然わさわさわさ!と猫が踊り出し、
一同は「おおっ!」と驚いたのですが、何やら聞けばセンサーが付いていて音に反応して動く仕組みらしく。
この猫は即座に車内一同の心を捉え、そのユニークな動きでいちやく(文字通り)主役に躍り出たのですが、
この子がステージで脚光を浴びるのは明日まで待たねばならないのです。
(まあ初めて見る人が多いフェスでいきなり動く猫のぬいぐるみが置いてあったらお客さんざわざわするでしょうしね・笑)
そんなメンバーと猫のブルーくん(そういう名前なんだそうです)を乗せた車は愛知県へとひた走り。
主に山田氏自ら運転し、途中休憩など挟みつつも数時間後には会場に一同到着しまして。
山へと至る坂道途中に作られたいくつかの広場にはすでにたくさんの業者のテントが立ち並び、
合羽姿のフェス参加者で会場は早くも賑わっており。
こんな雨降りの中凄い人出だなと驚きつつ車で乗り込むと
スタッフさんが「進んでくださーい」と言うので車で進もうとするも人でいっぱいで前に進めず。
これ以上車では行けないのではという疑念が車内に生まれた頃、
「降りて聞いた方が良いよ!」とイトケンさんがいち早く飛び出しスタッフさんに確認し、
「やっぱ戻ってだって!」とのことで再び戻ることになったのですが、
流石イトケンさん数々のフェスに参加しているベテランだなと
その仕切りっぷりに感心しつつ後部座席にて茫と成り行きを見守るだけの私なのでした。
そして無事車を所定の位置に停めて「山田稔明様」と書かれた楽屋であるところのテントに入り。
まずは腹ごしらえということで用意していただいたお弁当を食べました。
お弁当もそこらの唐揚げ弁当だのノリ弁だのとは違い、洒落たカフェごはんが出され。
自然酵母のパンだの豆料理だのカフェ女子が好みそうなメニューで、
ZAZEN BOYSのいかついメンバーもこれを食べるのかなあなどと思いつつ美味しくいただきました。
出演者のお弁当にこんなメニューを用意する辺りひと味違うフェスだな!と感心しつつ。
(まあ他のフェスに参加したことないので比較出来ないんですけどね。)
我々がお弁当をいただいている間、すぐ隣のステージでは在日ファンクがリハをしており。
ファンキーな演奏に体を揺らしながらの食事となりました。
その後リハまで時間があったものの、この雨ではフェスの参加ショップを見て回る気も起きず。
取り敢えず在日ファンクの本番をステージ真横で見学し
(ボーカルハマケンの姿しか見えませんでしたが、最高でした!)、
あとは携帯でフェスの状況を確認するなどしていたらリハの時間になりまして。
(携帯越しじゃなくて肉眼で見たまえよという話ですが。)
車で機材を我々の出演するステージへ運び、サウンドチェックを行いました。
我々が演奏するステージはちょっとした広場といった感じで、雨で会場の足場はかなり悪くなっていましたが、
ショップのテントを見て楽しむお客さんたちでいっぱいで。
リハの様子をカレーをもぐもぐ食べながら凝視している男の人や、
本番を楽しみにしている様子でお喋りしている女の子だのステージ上から見やりながらリハを行いました。
ほっしゃん。に似たクルーの人がメンバーとPAの間を取り持ってモニターのチェックなどしてくれまして。
私は「嗚呼、この人ほっしゃん。に似てるな」と3回くらい思いながら演奏しましたけどね。
(他に思うことあるだろうという話ですが)
何しろこの雨で湿度100%ゆえ譜面もしなしなになっており。
機材を運ぶのにも合羽着て雨に濡れぬよう注意を払ったり、
雨天の野外演奏はなかなか大変なのだなとフェス初体験の私は実感した次第です。
そんな感じでまあ無事リハも終わり。
本番までの時間トイレに行っておこうと思ったらトイレが結構な長蛇の列になっており。
仕方ないから並ぶかとも思ったのですが、
並んでいる間に本番の時間になってしまったら元も子もないのであり、
「あれ五十嵐は?」「いないみたいだから先に始めちゃおうぜ〜」と、
私が用を足している間にバンドの演奏が始まってしまったらロンリー過ぎるのであり、
人生初フェスに於いてそれはそれこそ水に流せない痛恨の極みなのであり、
そんなのは嫌だわと思った私は仕方なくトイレを諦めるに至ったのでした。
(後で聞いたら出演者用トイレがあったらしいんですけどね。)
その後またふらふらと楽屋に戻り「ZAZEN BOYS様」と書かれたテント内をそっと見やり、
「わ、向井さんだ(きゃは!)」などとミーハー心全開でテンションを上げたりしながらやがて本番を迎えまして。
(私はザゼンのファンなもので)


結局本番の時間になっても雨は降り止みませんでしたが、
たくさんのお客さんがステージ前に集まってくれまして。
いい雰囲気で楽しく演奏出来ました。
色とりどりの合羽を着た人たちが笑顔でゆらゆら揺れながら聞いてくれている様子と、
その後ろで雨に煙る山々の景色を見ながら鍵盤ハーモニカで旋律を奏でていると何だか胸がいっぱいになり、
「うわーほんまフェス最高やん〜」と何故か関西弁で思い感激した私なのでした。
前の方で一緒に歌ってくれている人などもいて。
足場は最悪だし雨で肌寒いし見てる方は大変だったと思うんですが、ありがたかったですね。
ステージ上もひんやりした風が吹き込んで何度か譜面が飛びそうになり慌てたりしましたが。
安宅さんなどは実際途中で譜面が風で飛ばされ、スタッフさんが拾う場面もありましたが、
後で聞いたら「どうせならお客さんの方に飛んじゃうくらいのハプニングだったらネタになったのにね」と、
余裕の発言をしていたので流石場数踏んでるなあと感心した次第です。
途中朗々と歌う山田さんの目前にツツツーと毛虫が糸を垂れて姿を現し、
私は「うわ、何あれ第6のメンバー?山の神降臨?」と驚いたのですが、
お客さんには見えていたのでしょうか。
我々にだけ見えていたのなら本当に山の神様が降臨し一緒にステージ上で盛り上げてくれたのかもしれません。
そんな山の毛虫神と共に演奏するという思い出が出来ました。
(後でみんなで「毛虫突然現れたねえ〜」と盛り上がりました。)
時折雨が吹き込んだりの雨の野外ならではのステージでしたが、
充実の40分の演奏を無事終えました。
その後物販で売り子の手伝いをしたりしつつ
(何故か私がTシャツをがんがん売りました)、撤収作業に移り。
ZAZEN BOYSの演奏を聞きながらバンド一行は再び車に乗り込んで、
次の目的地京都へ向けて出発したのでした。
(ZAZEN BOYSの歌う「泥まみれの少年、泥だらけのメッセージ」という歌詞が
当日の状況にぴったりだなあと印象に残りました。)
それにしてもあの雨の中、熱心に働いていたスタッフさんたちには頭がさがる思いです。
特に濡れ鼠になりながら仕切っていたチェック柄の合羽を着ていたお兄さんは
次の日風邪を引きやしないか心配になった私です。
そんな感謝の念を抱きつつ会場を後にしました。


車が京都へ向かう間に雨はいつの間にか止み、
目前の空が赤みを帯びて来たなと思ったらやがて恐ろしいほどに真っ赤になり、
何たる美しい夕焼けなのだと感激して写真を撮りまくる山田氏を横目に
「あれ地震雲じゃない?」「この世の終わりみたいじゃない?」と不吉発言をするイトケンさんでしたが(笑)、
ちょうど海辺の工業地帯で、工場の黒い影をバックに鮮やかな紅が織りなす空模様は
まさに世界の終わりのような恐ろしさと美しさで、思わずみんなで息を飲みました。
そんな壮大な光景をみんなで共有出来るというのもツアーならではだなあと私はちょっと感動したのでした。
そんな光景を眺めながら移動し、一行は無事京都に到着しまして。
この日の宿は古い日本家屋を改装したレトロな様相で。
和風な共有スペースや情緒ある庭が「京都どすえ〜」と物語る味わい深い宿で。
我々は「京都ですね〜」とその味わいに感動しつつ取り敢えず荷物を置いて。
すぐに一行で京都の街へ繰り出しまずはラーメンなど喰らい、その後スーパー銭湯へ赴き。
みんなでジェット風呂だの露天風呂だの様々な趣向の湯に浸かりフェスの疲れを癒したのでした。
「ビバ風呂!」などとお湯を賛美しながら。
風呂上がりには山田氏やイトケンさんやらと「最近白髪が増えちゃってさ」などとオヤジトークなど交わし。
湯上がりのビールなど楽しんだのでした。
スーパー銭湯まで何だかんだで片道20分くらい歩いたんですけどね。
よく湯冷めしなかったなという感じでしたが、
みんなで色々な話をしながら夜の京都の街をそぞろ歩いていると
「嗚呼、私は旅路にいるのだなあ」と急に旅情が己のハートを掴み、
後々こういう光景が思い出に変わるのであろうかとしみじみしたりした次第です。
その後宿に戻り我々相部屋にて自分で布団を敷いて寝支度をし。
この宿、トイレもシャワーも洗面所も共有だし戸を開けると隣が受け付けという、
ほぼプライベートがない感じだったんですが(笑)、
修学旅行気分でそれはそれで楽しかったですね。
枕投げしたり「クラスで好きな子いたら言い合おうぜ〜」などという学生ノリは勿論なく、
安宅さんは疲れていたのかすぐに眠り、イトケンさんも「俺寝るー」とやがて就寝、
若いエビちゃんは「何だかまだ寝るの惜しいっすね」と携帯でゲームなどに興じ。
私はアルコールで今日一日を静かに締めくくりたいのさ、
男酒で京都の夜を演出したいのさと言いつつ、
単に酔わないと寝られないという酒好きの生態そのままに氷結など飲んでたら酔っぱらっていつの間にか寝てしまいました。
結局酒で締めているという(笑)。
そんなわけで長い一日が終わったのでした。
(2日目へ続きます)