月あかりの貸切り図書館

そんなわけで鎌倉molnでのtico moonとの2マンライブ、無事終了しました。
ご来場下さった方々、どうもありがとうございました。
この日はライブの前に朝からフルートのレコーディングをするという、
タイトなスケジュールを組んでいたのでバタバタだったのですが、
何とかこなしました。


しかしそこがたまたま空いていたとはいえ、
ライブ当日の朝9:30から小岩のスタジオで作業というのは如何なものかと
朝の爽やかな空気を眠気と共に感じながら思ったのですが、
まあスケジュールを入れてしまったものは仕方ありません。
(また諸々の都合で小岩という微妙に遠い場所になったのです。)
しかも前の晩にベースの鎌田さんと浅草橋で飲んだくれてしまうという予想外の事態も起きまして。
(まあのこのこ出掛けて行った時点で予想ついたんですけどね。)
夕べの酒の名残りを払拭すべく「これは部活の朝連だ」と思う作戦を遂行し、
「先輩おはようございま〜す!」と後輩のテンションでスタジオに入り、
せっせと作業を行いました。
前に「疾風スカート」という曲でもフルートを吹いて貰ったT嬢に今回もお願いしたのですが、
彼女はというと「よろしくー」と顧問の先生のように余裕な感じで演奏してくれました。
最初こそ後輩テンションで作業していた私でしたが、
顧問の先生然と演奏する彼女に「そこもっと間を持って!」「もっと優雅に!」などと、
後半あれこれ指図してしまったんですけどね。
彼女は「はいはい」と余裕で応えてくれましたが。
そんな彼女の頑張りで何とか無事時間内に作業を終えることが出来ました。
そこからダッシュで撤収してダッシュで鎌倉へ移動したのですが、
もうこういうスケジュールはやめようと快晴の空を眺めながら
ダッシュで決意してみた次第です。


そんなダッシュの甲斐もあり、何とか時間内に鎌倉に到着しまして。
駅前の隠れ家的空間の雑貨屋molnにてライブを行いました。
ここでライブをするのは3年振りで、移転後は初めてだったんですが、
近くを通る電車の音も相まって良い感じで音が鳴っておりました。
我々、メンバーが多いのでステージきゅうきゅうだったんですけどね。
満員電車かというような状況でしたが、
持ち前の譲り合い精神(?)を遺憾なく発揮し何とかうまく収まりました。
今回はありがたいことに客席も満席になりまして。
関係者も含めると結構な人数で、まさに大盛況といった様相でした。
そんな大入りの会場で今回は新曲も初披露しまして。
なかなかに好評だったようでほっとした次第です。
ちなみにセットリストはこんな感じです。
1、夏でもなく秋でもなく
2、猫とくらす
3、歩けリリー
4、サイクル曜日
5、草原ヘッドフォン
6、5月の庭
7、マッチ擦る刹那のダンス
8、虹


今回はイベント名の「貸切り図書館」にちなんでメンバーお薦めの本を紹介するというくだりがあったのですが、
折角だからメンバー全員分のお薦め本を紹介しようと盛り込んだら結果的に7冊紹介することになり、
持ち時間をかなりオーバーするという事態になったのですが、
お客さんのリアクションもなかなか良く、
紹介した本をメモってる方などもいて好評だったようなのでまあ結果オーライ(?)でした。
ちなみに私が紹介したのはかくたみほちゃんの写真集「キラリキラリ」で、
彼女はfwjの1枚目から3枚目までのアルバムのジャケット写真を撮ってくれたカメラマンなのですが、
そんな当時の思い出話を絡めながら紹介しました。
中村くんは「東京カレー旅行」という紹介し(この本、山田氏からいただいたそうなんですが)、
自身のカレー好きをアピールしておりました。
この本、tico moonのゆかさんも載っているのだそうで。
その後打ち上げではtico moonのお二人と中村くんによるカレー談義が繰り広げられておりました。
鎌田さんは殿山泰司の「JAMJAM日記」を紹介し。
「日記を読むのが好き」という彼の読書傾向を披露しておりました。
だいぶ読み込まれた感じのちくま文庫に彼の古本好きを垣間見た次第です。
ひじきさんは「世界のシェー」という世界各国の人たちが現地でシェーのポーズをしている写真集を紹介し、
先日彼がロンドンを訪れた際にアビーロードにてシェーのポーズをし、
それを写真に収めたというナイスなエピソードを披露しておりました。
あぐちゃんは「よつばと!」という漫画を紹介し、
間違えて持っている12巻をダブって買ってしまったので良かったら持って行って下さいとお客さんに呼び掛けておりました。
(結局それは鎌田さんが持って帰ったらしいですが)
横山さんは吉田秋生の「ラヴァーズ・キス」を紹介し、
鎌倉が舞台のこの漫画で何度も泣いたという乙女エピソードを披露すると共に、
こちらも良かったら持って行って下さいとお客さんに呼び掛けたところ、
実際持って帰った方がいたようです。
その方はぜひまた次回のライブに来て横山氏に感想を語っていただければ幸いです。
たまみ嬢はアラーキーの「東京猫街」という猫の写真集を紹介し、自身の猫好きを語っておりました。
この話をした後に「猫とくらす」を演奏すればうまく繋がったのにねという話になったのですが、
まあメンバーそれぞれ本番で初めてネタを聞いたので仕方ありません。
そんなわけで本の紹介トークで時間をオーバーするという鎌倉ナイトでしたが、楽しく演奏出来ました。
また機会あればそんな感じでテーマを決めてトークをしてみたいものです。


で、我々のあとはtico moonさんだったんですが、相変わらず素晴らしい演奏でしたね。
tico moonさんとはステージ上では確か6、7年振りの共演だったんですが、
ギターの影山さんとは3年くらい前に鎌田さんの家での忘年会の時にご一緒してまして。
その時彼はすっかり酔っ払ってしまったらしく、帰り道駅の場所もわからず彷徨っていたところを
私が「影山さん、駅こっちですよ!」と導いたおかげで終電に間に合ったんだそうで、
「あの時は五十嵐さんのおかげで助かった」という話をMCでも打ち上げでもしておりました(笑)。
影山さんをあの夜東京砂漠から救い出したのは私であることを今後みなさんに覚えておいていただきたい所存です。
まあそれはさておき、tico moonさんの演奏はギターとハープの美しいアンサンブルと豊かな響きが美しく、
ゆかさんの凛とした歌声も素敵で、私はビールを飲みつつ、
自分の出番が終わってあとは楽しむだけだもんねーという安堵感も相まってすっかり癒されてしまいました。
また影山さんのトークが相変わらず面白く、静かなトーンで繰り出される抱腹話に改めて魅力させられてしまいましたね。
「世界一静かに爆笑話を語る男」というコピーを彼に付けようと私は静かに決意したほどです。
まだtico moonのライブを見たことがない方はぜひ彼の妙味トークも味わっていただきたいものです。
ところでこの日のお題のお薦めの本ですが、彼らはいったい何を推薦するのかと楽しみにしていたら、
影山さんが「すみません、実は今日会場に入る三歩手前で本を忘れたことに気付きました」とまさかのお題の忘却を告白し、
私は「出来れば会場に入る数千歩手前で気付いて欲しかった!」と、
彼らの歩みを戻すタイムマシーンの発明を急ぎたい衝動に駆られたのですが、
残念ながら発明に至らず。
まあそれはまた次の機会に回してもらえば良いやと諦めに至った次第です。
「えー、本は忘れたんですが次は本にまつわる曲を演奏します〜」と、
自身の忘却を無理矢理次の曲紹介に繋げた影山さんのMCスキルに
「この手腕、学ばなければなるまい」と強く決意した私です(笑)。
まあそれも含め面白かったですね。
いいイベントになったなあとしみじみと思った次第です。


終演後は見に来てくれたQuinka.with a yawnの面々も交え
(彼女らも来月ここでライブを行うのです)、みんなで打ち上がりました。
打ち上げに向かう途中、駅のホームの片隅で抱き合うジャージ姿の学生カップルを目撃し、
影山さんと「微動だにせず抱き合ってますね」
「あれはまだキスに至ってないですね」
「終電まであのままでしょうか」
「あれで終電をわざと逃すのでは」などと考察に至ったのですが、
あれは我々にだけ見えていたカップルの幽霊だったのでしょうか。
微動だにせず抱き合っていて最初人形かと思ったくらいですし。
そういえば月も妖艶な輝きでしたしね。
そんな抱擁カポーを眺めながら打ち上げに向かい、みんなで乾杯し、楽しく打ち上がりました。
(打ち上げ中はすっかりカップルのことなど忘れてしまいましたが・笑)
そんな感じで長い一日を終えました。
関係者のみなさん、お疲れさまでしたということで。
ご来場下さった方々、本当にどうもありがとうございました。


帰り、ちらっとホームの片隅を見たところ誰もいなかったようなのですが、
あのカップルは帰ったのでしょうか、そもそも最初からいなかったのでしょうか。
よくわかりませんが、どちらでも良いような気もします。
月の妖しい夜でしたし。
とにかくまた機会あればぜひ斯様なイベントに参加したいものです。
また月の眩しい夜にでも。