KAMADA FES後記

そんなわけで鎌倉molnでのライブ、無事終了しました。
ご来場下さった方々、どうもありがとうございました。
この日はKAMADA FESと称して
ベーシスト鎌田将が参加する全てのユニットが集結するイベントということで、
鎌田さんは最初から最後まで出ずっぱりでした。
リハの段階から彼だけはずっと定位置に立ち、
エレキベースコントラバスにギターに果ては歌まで(!)と大活躍でございました。


生憎と天気の方はリハの最中から暗雲立ち込め、
どうかと思うほどの土砂降りの雨が屋根を叩くサウンドが鳴り響き、
これは鎌田フェスにお客さんを越させない会の会員による妨害行為であろうかと
疑念を抱きながら外を眺めているとあぐちゃんが
「そういやリハも毎回台風だったしなー」
「fwjバンドのリハやライブの日は毎回荒れるなー」と五十嵐雨男説を唱えるので、
「いや、本番までには止むさ、俺はそんな男さ」と余裕をかましながらも
「止んで!雨!お願い!」と天に祈ったんですが、
まあ何とか本番始まったら止んだので良かったです。
そのまま雨が続いていたらあやうく五十嵐雨男説が定着してしまうところでした。
そんな雨の中なのに来ていただいたお客さんには本当に感謝です。


そんな雨の気配がよく似合う深い森のような空間を作り出したのがトップに出演の浅野達彦さんで。
映像をバックに流しながらギターの独奏で魅せてくれました。
彼のギターは独特なコード感も良いんですが、音色も良いんですよね。
浅野印とでも言うのか。
途中アコギで盆踊り的な不思議なダンス音楽を展開していたのが印象に残りました。
彼の寝床を毎日定点撮影したというスライド映像も面白かったですが、
夏でも毛布仕舞わないのかなとか、シーツはどんなサイクルで洗濯してるのかなとか、
生活目線で気になりました(笑)。
あと今回もイベント名の図書館にちなんで、
出演者がお勧め本を紹介するコーナーがあったんですが、
浅野さんは木原武一さんの「孤独の研究」という著書を紹介しておりました。
様々な著名人の孤独について書かれた本だそうですが、
浅野さんも孤独について研究した結果、
自身の寝床の定点撮影に至ったのかと推測したんですがどうなんでしょうか(笑)。
後半は本日の主役、鎌田さんのエレキベースも加わりまして。
彼の鳴らす通奏低音の上を浮遊する浅野さんのギターが心地良く、
グッドなコンビネーションでした。
もっとデュオでの演奏もたくさん聞きたかったです。


そして続いての出演はOraNoaさんで。
ガットギターも歌声もマイクを通さない生音仕様でしたが、
会場の隅々までその朗々とした声が響いてとても良かったですね。
歌に於ける感情の機微もじんわり伝わって来ました。
鎌田さんのコントラバスとの相性もばっちりで。
後半はfwjからあぐちゃんもピアニカやグロッケンなどで参加してましたが、
コーラスがまたOraNoaさんとの相性が良く、あぐちゃんグッジョブじゃん、と感心した次第です。
さらに途中鎌田さんがボーカル(!)で細野さんのカバー曲をやったり、
鎌田さんがガットギターを演奏しサンガツ時代の曲をやったり、
まさに鎌田祭りといった様相で楽しめました。
さらに後半そこにQuinka,with a yawnさんも加わって。
前日のツアーファイナルで声を酷使したとのことでマイクを通してましたが、
その分優しく歌われる歌唱がOraNoaさんのコーラスと重ねって、
大変美しいハーモニーを奏でておりました。
(最後に歌われた「悲しみよこんにちは」は名曲だなとしみじみしました)
強い女性シンガー2人に若干虐げられ(?)つつも、
しっかりサポートする確かな演奏に彼の男気を見たような気がします。
本の紹介コーナーですが、OraNoaさんは自著の「月のこよみ」を紹介しており。
月にまつわる事象がわかりやすく書かれた本だそうで、
「これが売れないと次作が出せない」という彼女の切なる思いが届いたのか(笑)、
物販でみなさんが手に取っておられました。
Quinkaさんはというと坂口安吾の「不連続殺人事件」を紹介して。
彼女の歌世界からすると意外な印象を受けましたが、
あの可愛い声の裏には仄暗い側面も実はあるのでしょうか。
(実は浅野さんも坂口安吾を持って来ようか迷ったそうで、まさかの安吾被りが裏でありました)


でもって最後に演奏したのが我々fwjバンドです。
今回のセットリストはこんな感じです。
1、猫とくらす
2、歩けリリー
3、札幌市電のテーマ
4、透明図書館
5、マッチ擦る刹那のダンス
6、サイクル曜日
(with 浅野達彦、OraNoa、Quinka.with a yawn)
7、微睡ワルツ

鎌田祭りということで、折角だからと彼と一緒に作った札幌市電のCM曲を初披露しました。
しかも彼がそのCM映像(ロングバージョン)をこの日のために用意して来たとのことで、
バックにその映像を流しながらの演奏となりました。
音源とはまた違ったアレンジでお届けしましたが、如何だったでしょうか。
あとは新曲の「透明図書館」も今回初披露となりました。
図書館独特の空気感や、ページが静かに捲られる動きなどをギターのアンサンブルに乗せたんですが、
たまたまお客さんの中に図書館司書の方がいて、
イメージが鮮明に浮かんだという旨の感想をいただいて嬉しかったです。
今後も色々な図書館の表情を鳴らして行こうと思った次第です。
そしてここでの本の紹介ですが、全員分の紹介をする時間がないので、
代表で鎌田さんに数冊紹介してもらいました。
深沢七郎の「言わなければよかったのに日記」と伊丹十三の「女たちよ!」という名著2冊と、
(実に鎌田さんらしいナイスなセレクト)
最後は武田百合子の未発表小説が載っている雑誌「海」という変化球で。
しかも3冊ともお客さんにプレゼントするという太っ腹ぷりで、
イベントを盛り上げてくれました。
で、最後には出演者全員参加で「サイクル曜日」を演奏しまして。
OraNoaさんはリコーダーでハモり、Quinkaさんと浅野さんは小物を鳴らしてくれて。
賑やかな演奏でイベントは大団円を迎えました。
背の高い浅野さんがエッグ型のシェイカーを小さく振っている様が妙に可愛かったです(笑)。


そんなわけで鎌田さんの長い一日も無事終わりまして。
(しかも鎌田さんは3日連続のライブだったそうで)
終演後の打ち上げではみなさんそれぞれお酒を嗜んでおられました。
私はそんな量は飲まなかったんですが、
空腹で飲んだせいか帰りの電車で熟睡してしまい、
みなさんにご挨拶出来なかったのが心残りなんですが。
まあこの場を借りて関係者のみなさんとお客さんにお礼申し上げたい所存です。
お疲れさまでした&ありがとうございました。
ということで。
しかし改めて鎌田さん、いいベーシストだなとプレーヤーとして感心した次第です。
もっと彼の演奏をみなさんに聞いていただきたいものです。
また斯様な機会でも設けたいところです。
新たな祭りを。