温泉チルアウト

気が付けば年末なわけです。
そして多忙を極めているわけです。
そして1年て経つの早いなと感じ入ってるわけです。
如何お過ごしでしょうか。
皆様に於かれましては。


先日は忙中閑ありといった具合で1日休める機会があり、
さてどうするかと思案していると嫁から温泉に行くのはどうかと提案があり。
何やら聞くと亀有の方に天然の温泉施設があるらしく。
亀有というと両さんが平和と秩序を守っているというか、
むしろ乱していることでお馴染みの場所ですが、
そんなところに天然温泉があるのかと驚きつつもその提案に乗り、
いざ向かったわけです、亀有へ。


まあ亀有と言っても実際には北綾瀬という駅から徒歩で20分という、
一応都内だけど実に僻地ぽい雰囲気を醸した場所で、
しかもこの北綾瀬、綾瀬からさらに一回乗り換えないと行けないらしく。
その北綾瀬行きの電車は綾瀬の0番線という謎のホームから出ており、
鉄道の番線にゼロという概念があるんだとこれも驚きだったのですが、
綾瀬駅から隔離された奥にひっそりと佇むその0番線から北綾瀬へと移動をしまして。

その北綾瀬駅から嫁はバスで行こうと言うのですが、
私は徒歩20分なら余裕で歩ける距離だし、
知らない街の情緒を楽しみながら歩くのも良いじゃないか、
若大将並みにゆうゆう散歩するのもありじゃないかと主張しいざ歩き出したのですが、
北綾瀬の街は駅を出ると環七がどーんとでかく走っていて、
その周りには特に何もないのであり。
地元特有の商店街があるでもなく、味のある景色もなく。
ザ・地方都市といった様相で平たく言うとつまらない景色なのであり
(北綾瀬在住の方すみません)、
私は内心しまったと思いつつも環七沿いを寒さに震えながら歩き、
嫁の「てめーだから言ったじゃねーかよう」という厳しい形相を横目に
「ほら、こういうのも逆に思い出になるじゃん」と無理矢理フォローしながら移動すること20分、
ようやく目的の温泉施設に辿り着きまして。
辿り着いたその施設はいい具合に鄙びた
実に地方感満載な佇まいだったのですが、
まあ温泉なんてのはこのくらいがちょうど良いわけで。
中に入り私は「金麦セット」なるチケットを入手し。
これは金麦のCMの如く檀れいが躁病のようなテンションで料理を用意し待ってくれるわけではなく、
湯上がりに金麦と好きなつまみが付いて来るよん、というお得なセットでして。
しかしこれは嬉しいじゃないか、
金麦(第3のビール)と書いてあるのも何だか潔い、
俺は第3でも第4でもオーケーだぜと思いながら場内に入ると中はなかなかに立派な建物で。
食べて飲めて寛げる大きな座敷が中央に広がり。
各種マッサージ場もあり、うたたね出来るスペースなどもあり。
ふむふむと思いながら早速とばかり湯に入ったのですが、
男湯の方はというと年輩客というか、平たく言うとじいさんばかりでなかなかに混んでいて。
じいさん群は下半身を隠すでもなく丸腰状態の所謂チンチロリン状態で、
みんながお風呂内で思い思いの過ごし方をしていて。
ここは男湯なのになぜか従業員のおばちゃんが頻繁に入って来たりして、
堂々と備品を補充したり掃除をしたりしているので、
私はおばちゃんが側を通る度つい「きゃっ」と恥じらいボーイ然としたリアクションをしてしまったのですが、
相手のおばちゃんの方は全然余裕の佇まいで。
じいさん群も従業員のおばちゃんが入って来ても臆することなくというか、
むしろ「どうだっ」と見せつけるかの如くチンチロリン全開で
「ねえ、ドライヤーの具合見てくれる?」だの素っ裸で面と向かって話しかけており、
おばちゃんの方もそんなもの過去に何本も見て来てるわよと言わんばかりの態度で
「はーい」と余裕の対応をしており。
なるほどここではチンチロリンがデフォルト、
所謂チンデフォなのだなと納得しながら湯船に浸かったんですけどね。
(そんな納得はなかろうという感じですが)


中はというとぬるい湯や熱い湯、蒸し風呂や露天にサウナなど充実したラインナップで。
まずはぬるい湯に浸かると非常にいい塩梅で、
私は思わず「うううひい〜」とどこからそんな声が出てくるのだと
我が声帯を二度見するくらいの声を出して。
もう気持ちが良いわけですよ。
周りのじいさん群も似たような声を上げており。
そうしてしばらく湯船を堪能した後はサウナに臨み。
サウナ内はむせ返るほどの熱気で入るなり途端に汗が滲み出て来て。
デトックスデトックス、と己から汗という汗を放出するに至ったのですが、
サウナ内ではテレビの大画面で沢口靖子主演の「科捜研の女」の再放送が流れており。
沢口靖子はプライベートでもリッツパーティーしてるのかしらんと
リッチでリッツなパーリーに想いを馳せながら見ていると
犯行声明の声と被疑者の子供の声が分析の結果一致した、
などと科学の粋を駆使した緊張感溢れる捜査を展開しており。
それに対しサウナ内では生まれたままの姿のじいさん群が
「ううひ〜」だの「はふう〜」だの実に原始人然とした声を上げており、
テレビと現実の落差が凄いよと思いながら
沢口靖子の手腕とサウナの熱さ両方に唸ったりしたんですけどね。


その後も風呂を堪能し、体も洗いすっきりしまして。
そんなこんなで男湯を出た私は早速とばかり金麦とおつまみに枝豆をチョイスし。
風呂上がりのじいさんとばあさんがぽつぽつと座る座敷の端に陣取り、
枝豆をつまみながら金麦をくいくい飲むと大変いい塩梅なのであり。
テレビはいつの間にか「科捜研の女」から「相棒」の再放送に変わっており、
ミッチーが華麗に活躍するのを見ながら金麦を飲んでいると、
やはり檀れいが躁病の如きテンションで料理を出し、
途中ドジをかましてへぺろなんておどけた様を見せるかのように思われたのですが、
そんなことはなく。
私はごくごく静かに金麦を胃袋に染み込ませたのでした。
しかしこういうユルい空間にはなぜか再放送のドラマが似合うのですよね。
しかもテレ朝系のが似合うのです。
そんな実にゆったりした時間の中で金麦を飲んでいると嫁も女湯から出て来て。
彼女はハイボールをチョイスしたのでそれと金麦で乾杯し、
しばしユルさに酔いながら飲んだというわけです。
じいさんとばあさんに囲まれながら。
この年末、こんなユルい時間を過ごせるとは思ってもみませんでしたが。
北綾瀬まで来た甲斐があったというものです。
謎の0番線に乗って。


帰りは流石にバスで帰ったのですが
、たまには温泉なんてのもありだねと
湯上がりでぬくぬくした体と金麦でほろ酔いした頭でぼんやり思った次第です。


皆さんも如何でしょうか。
チンデフォで。