散髪の風景

4月も半ばになりようやく春も本腰入れて来たのでしょうか。
朝晩の肌寒い空気も昼間の暖かさの方に寄り始めた気がします。
このまま寒の戻りなどなきよう暖かさキープオンでよろしくと
誰にかはわかりませんがよろしくお願いしたく思っているところです。


しかし髪の毛というものはいつの間にか伸びてしまうものですね。
ついこの間散髪したと思ったらもう散髪前の状態に戻っているのです。
いつの間に伸びたのかその過程を詳しく知りたいくらいです。
年齢も40近くになると最早背丈などは伸びないし、
走り幅跳びの記録も100メートル走の記録も伸びないし
(そもそもそんな競技に挑まないし)、
律儀に伸び続けるのは髪の毛と爪くらいじゃないかと思うわけですが、
これもある種の成長と呼んで差し支えないのでしょうかね。
その割に髪の毛も爪も伸ばし続けていると「だらしない」などと他人から思われがちゆえ、
定期的に手入れをしなくてはならないわけで、
そんな面倒くさいものばかり成長を続けられても困るんですけどね。
(どちらかと言うと人間としての内面に成長していただきたく思うわけですがそちらはなかなかで)
若い頃は自意識という厄介者を抱えがちで、
私も己の髪型が気になって仕方が無いという不毛な病に罹った時期もありましたが、
今や髪型に関しては寝癖上等の放置主義を貫いているゆえ、
毛髪氏にはあまり成長せずに現状維持していただくと楽だよなあと思ってしまうのですよね。
毎回美容院に行くのも大変ですし。
(形状記憶髪型が導入されないかなと半ば本気で思うほどです)
伸び放題の髪を見る度に庭に生え放題の雑草を思い出し、
「またこんな伸びやがって!」
「ついこの間筋肉痛になりながらむしったばっかりだろうが!」と、
忌々しく思う瞬間があるのです。
若い頃はそんな雑草でもちまちまワックスで毛先を軽快に遊ばせたり、
鏡の前で何度も前髪を整え直したりしていたんですけどね。
「前髪をいくら直しても5分前と微塵も変わってないぞ!」
「そもそもお前の髪になんか誰も注目してないぞ!」と
タイムマシンに乗って過去の己に注意しに行きたいところですが。
しかし放置主義の私でも髪の毛が伸びっぱなしだと視界の邪魔になるゆえ、
やはりある程度になったら切らざるを得ないわけで、
髪型の更新をすべく美容院なり床屋に行かねばならないのです。
大変面倒くさいのです。
(美容院に行くのが大好き、ストレス解消という方とは一生相容れないのだろうなと思います)


いつも街を歩いていて思うのは美容院や床屋が至るところにある、ということで、
日本全国どこにでもあるチェーン店が立ち並びすっかり個性をなくした地方都市の風景に於いて
唯一差異が見られるのは個人経営の美容院なのかもしれないと思う時があります。
地元マダムに支持されそうなセンス、お洒落に目覚めた中学生が初めて訪れそうな店構え、
おばちゃんが長年通ってそうないなたい雰囲気、
若いママ友同士のネットワークの中に配置されてそうな内装、
などと店々の様相を客層を予想しながら見ていると
街に住む人々それぞれに一軒ずつ通う美容院や床屋があるのだよなあと当たり前の事実に気付かされます。
下手したら隣同士に美容院と理容店が並んでたりとか、
ひとつの通りに5軒も美容院が並んでるなんて場合もあったりします。
コンビニの次に多い店舗なのかもしれません、美容院。
散髪ばかりはアマゾンで購入というわけにもいかないですしね。
(これをポチることが出来ればどんなに楽かと思いますが)
まあ人々の髪の毛が伸びなければ日本全国の美容院と床屋が閉店を余儀無くされるし、
地方都市の風景はますます均一化されるし、吉田拓郎も永遠に結婚出来ませんしね。
日本経済と街の景観の没個性化を支えているのは美容院、床屋であり、
それを支えているのはこの日々伸び続ける髪の毛なのかと思うとその成長を喜ぶべきなのかもしれません。
髪の毛が成長するだけいいじゃないかという声も一部の方から上がりそうですしね。
(毛髪の薄い方はそれはそれで成長のしなさに苛立つのでしょう)
爪にしても伸びなければ日本全国のネイルサロンがなくなるわけですし、
爪切りがこの世からなくなるわけですしね。
髪の毛と爪が伸びることによって人は自身の手入れに思いが向き、身だしなみに気を付けるようになり、
年月の経過を身を以て感じるのでありましょう。
よく出来たシステムだなと感心せずにはいられません。
しかし昨今はチェーン系の1000円カットなどのお店が増え、
理容のファスト化が進んでいる気がしてちと不安なのですよね。
街の風景の没個性化に飲まれて来ているのではなかろうかと。
お店に行くのが面倒くさいという持論を展開している私が言うのも何ですが、
個人経営によるお店は独自の路線をキープオンし続けて欲しいものだと思ったりしています。



髪の毛が伸びるのが早いというちょっとした小話を書こうと思ったら
美容院の在り方についての話に変化してしまいましたが、
まあこのブログもそうやって少しずつ変化、成長しているということなのでしょう。
髪の毛と爪の伸びる早さに合わせてうまく成長出来るよう
着実に歩みを進めて行こうと思ったりしている4月の私です。