レタス色の時代

そんなわけで鎌倉molnでのライブも無事盛況のうちに終了しました。
たくさんのご来場をどうもありがとうございました。


当日私は秋葉原で催事の搬出作業を終えてから鎌倉に移動というなかなかにタイトなスケジュールで、
秋葉でバタバタと作業を終えすぐ電車飛び乗って鎌倉着いたらすぐ会場準備し、
その後ギリギリまでリハやってそのまま本番に突入して、
終わったら速攻片付けをしてその後わらわらと移動して
気が付いたら打ち上げにて寿司を頬張っているというfrom秋葉原to寿司な一日で、
小さい弁当箱にぎゅっぎゅとおかずとご飯をたくさん詰め込んだかのような凝縮フルな一日でございました。
少々くたびれましたが、実に充実した時間を過ごせました。


前回書いた通り山田家ではかっちりとしたリハらしいリハはせず、
山田氏の口からは何度となく「ま、何とかなるでしょ」という素敵な言葉が繰り出され、
私は内心「何とかなるのかな」と微かな疑問を抱いたりもしたのですが、
何かしらのマジックのようなもので実際何とかなりました。
本番で初めて通した曲多数だったんですけどね。
まあリハの延長を公開で行ったかのようなリラックスした雰囲気が良かったのかもしれません。
トークも弾みましたし。
今回は新譜タイトルの「緑の時代」にちなんで緑のカーディガンを着用していったら
山田氏も同じ理由で似たような緑のカーディガンを着用しており、
期せずしてステージ上が目に優しい色で満ちました。
「俺買いに行った時、そのカーディガンも手に取ったわ。あぶね〜」と言っていたので
あわやペアルックの危機が存在していたことをここに報告しておきますが(笑)。
そんな緑カーディガンズの我々は新譜の曲やカバー曲やらGOMES THE HITMANの曲やらを多数演奏しました。
あんまり演奏される機会のないという「high tide」などは彼のiPadから流される波の音と共に鎌倉の雰囲気に合っており、とても良い塩梅でしたね。
当時の作詞メモなどを公開しつつ曲の生まれる経緯などが語られました。
今回私もゴメスの曲を選んだのですが、
「お、そんな曲選んだの?ダンナ流石だね」と選曲の妙で感心されたい己が一瞬顔を出したのですが、
最終的には普通に今聞きたいものを選ぶに至りまして。
結果直球なセレクトになってしまいましたが、
お客さんも喜んで(ましたよね?)いたので良かったんじゃないでしょうか。
そのうちの1曲「GOLDEN8」は金八好きな彼による金八オマージュ曲で、
同じく金八好きな私としては選ばずにはいられなかったのですが、
なんちゅータイトルだと思っていたこれが
「中3から大学卒業までの多感な8年間が人生に於いての大事な黄金期」という立派な意味があったことに驚いたと同時に
何で中途半端な中3からやねんという無理矢理な後付けにツッコミも入れずにはいられなかった私です(笑)。
そんなタイトルながら金八の最終回の教室を思いながら演奏していたら胸に沁みるものがございました。
選んだもう1曲「手と手、影と影」は結婚式で歌ってと頼まれることが多く、
その際は歌詞の「ほどけてく」を「ほどけない」に変えてさらに3割増くらい明るく歌うそうで、
そんなレアな明るい結婚式バージョンも聞けました。
(その際、この日一番のご陽気な彼の姿が見られました)
これは個人的にも思い入れのある1曲なので演奏しつつ様々な想いが去来し、
しみじみ胸に沁みるものがございました。(またか)
もう1曲の「思うことはいつも」の時もそうでしたが、
その曲が出来た時の背景などが詳しく語られ、
ライブタイトル通り彼がバンド時代から今に至るまでの道筋を辿るような内容になりましたね。
私もバンド時代から今に至るまでの自身を振り返りながら話を聞く感じになり。
その後札幌のたべると暮らしの研究所で聞いて感動した高野寛氏のカバーや、
さらには私が過去やっていたバンド各駅停車の曲
「きみと犬だけ連れていく」もカバーしていただくという流れになり。
思えば15年前に私がこの曲をリリースする際に彼にコメントを書いて貰ったのがファーストコンタクトだったわけで、
それからあれやこれやあって今一緒にこの曲を演奏し、
しかも彼に歌って貰っているというのは実に感慨深いものがありました。
また彼の歌唱で聞くと良い曲に聞こえるのですよね。
15年前の自分に「15年後この曲を彼と一緒に演奏することになるぞ」と教えてあげたく思った次第です。
猫の歌ばかり歌う彼の口から犬だけ連れて行くという言葉が出て来るレアな瞬間を見られました。
そんな長丁場のライブの最後の曲がまさかの「サニーレタス」でしたが、
新譜のタイトルの緑色を配したこの曲こそ実はアルバムを象徴する1曲なのではという確信が会場全体に生まれましたね。
会場全員で「サニ〜レタス〜」と合唱する様は端から見たら何だこれは生鮮市場の決起集会か、
金八でもこんなシーンなかったぞ、と異様にも見える光景だったんですが、
不思議と胸に沁みるものがありました。
サニーレタスだというのに(笑)。
彼も音楽活動20年で数々の名曲を生み出して来たキャリアの果てに
サニーレタスが降臨するとは思わなかったでしょうが。
そんなお野菜讃頌合唱スタイルで爽やかなエンディングを迎えました。


で、終演後は鎌倉の小花寿司というお店に移動し、打ち上げを行いまして。
ここはそれこそたべると暮らしの研究所の安斎明子さんのご実家だそうで、
札幌でライブを見る機会のあった私としても縁を感じた次第です。
伊集院静氏と夏目雅子さんも愛したという名店にて舌鼓をみんなでぽんぽん打ちました。
(山田氏は勿論イカを食しておりました)
そんなわけで濃い一日が美味しい寿司によって幕を閉じたわけです。
実に楽しい夜でございました。


帰りはずっとサニーレタスのフレーズが頭の中を巡り。
電車の走行音に合わせてサニーレタ〜スと口ずさんでいる私がおりました。
会場にいた方々も同様だったのではないでしょうか。
私は自分が着ている緑のカーディガンをふと眺め、
これはカーディガンではなくサニーレタスではないのかという錯覚さえ覚えました。
ステージ上でサニーレタスを身にまとう2人。
これからどんな道筋を辿って行くのでしょうか。
果たして。
それぞれ。
猫と犬を連れて。