街を歩き、歩く

昨日から宇都宮に来ています。
13日まで東武百貨店の催事に出店するためです。
(私は11日には交代で帰ってしまいますが)
宇都宮に来るのは実に9年振りで、
それまでは福田屋という大型ショッピングモールに(それも催事で)毎年来ていて、
馴染みがあった街なんですけどね。
そこでは同世代の職人仲間と一緒だったのでよくつるんで遊んでいて、
その頃の楽しい記憶と共に宇都宮という街は私の中に鮮明に残っていて、
駅を降り立ったら「あーそうだそうだこんな感じだった」という懐かしい思いが去来しました。
またその一方で「あれ、こんなに寂しい感じだったかな」という思いなども抱き。
駅前の商店街など結構シャッターが閉まってたり、空き店舗になっていたりして。
東武の宇都宮からJRの宇都宮まで歩きながら、まんだらけが出来たのかーとか
(ビル内はオタク系のお店が集い北関東のオタク文化を担っているかのようでした)、
ドンキが出来たのかーとか前回と違う面を見つけながらそぞろ歩きをしました。
(ひょっとしたら前回来た時すでにまんだらけはあったかもしれないですけどね)
仕事で地方都市に行く度にチェーン系のお店ばかりの光景を目の当たりにし、
日本の地方都市の景色の均一化を実感するのですが、
思えば宇都宮は9年前に来てた時からそういう傾向があったわけで、
そういう意味ではあんまり変わってなかったですね。
東京とほぼ同じ中身のPARCOがあり。
JRの駅前にあったロビンソンというデパートはだいぶ昔になくなりましたが、
今はララガーデンという施設になっていて、中に入ってる店舗はやはりお馴染みの顔ぶれたちでした。
実際住んでいる人たちからしたら地元ならではの面白いお店もたくさんあるんでしょうが、
ふらっと他の土地から来た人から見たら「え、この店ここにもあるの?」という感じで、
ほとんど同じような風景に見えてしまうのですよね。
日本全国の若い子たちは思い出の味がマクドナルドで青春の味がスターバックス
無印やユニクロが青春の衣装として共通の思い出を持つようになるんでしょうか。
(別に宇都宮をdisってるわけではなくてそういう状況なんだよなあという実感だけ書いてます)
まあ東京でもあちこちに複合施設が出来ていて、
中に入ってる店舗はどこも同じような顔ぶれという感じですからね。
個人的には東京内でも景色の均一化が起こっているような印象です。
何でそういう現象が起こっているのか、街の(日本の)設計は誰が行っているのか
私にはよくわからないんですけどね。


私が地方に来ると必ず立ち寄る古本屋と中古レコード屋がこの街にはあんまりないんですが
(調べたら1軒あった中古レコ屋は定休日でした)、
ブックオフは大抵の地方都市にあるんですよね。
国道沿いなどに。
私の知るブックオフはそれこそ福田屋の近くにあるんですが、
折角だからそこまで行こうとJRの宇都宮から30分くらいかけて歩きました。
歩きながら「ああそうだこんな景色だった」と福田屋に至る道の表情を思い出し懐かしくもなり。
(よくある車移動がメインの地方都市の国道沿いの平坦な景色で面白くはないんですけどね)
そこを歩きながら9年前の自分の考えていたことなどをぼんやり思い出したりして。
それこそ福田屋にも久々に立ち寄りました。
何度も書いてますが東京にもある(ていうか日本全国にある)チェーン系の店舗ばかりで、
中身は全然面白くないんですけどね。
それでも「ああ、ここに毎年来てたなあ」と懐かしさは感じました。
その懐かしさは風景から所以するものではなくて人との思い出からなんだろうなと結論付けましたけどね。
ここで仲間とこれを食べたとか、あんな会話をしたとか。
ここのスターバックスでコーヒー飲みながら企画会社の人の悪口言い合ったなとか。
(私は東京にいても滅多にスタバに行かないのに
ここのスタバには思い出があることに気付いてはっとしました)
そこから10分くらい歩いてブックオフに行き。
「ああそうだここだったわ、ここであのDVD買ったわ」とかそこでも記憶が蘇り。
金八先生のノベライズが108円で30冊くらいまとめて出てて一瞬買いそうになりましたけどね。
(単純に重たいのでやめました)
それからまた40分かけて駅方面に戻り、さらに小1時間くらい歩き。
結局3時間くらい休みなしに散歩してたんじゃないでしょうか。
流石にくたくたになりましたけどね。
すっかり夜になってしまいましたし。
歩きながらずっとヒップホップを爆音で聞いてたんですが、
(宇都宮レペゼンのラッパーの人がいるとしたらこの街のどこでその文化に触れるんでしょうか。
外様の私が知らないだけでそういう文化圏があるんでしょうか)
ちょうど帰り際、イヤフォンが突然片方断線してしまい。
急に風景が片方なくなるような、傾くような奇妙な感覚を覚えました。
私はこれが散歩の終わりの合図なのかもしれないなと思いそれからすんなりホテルに帰りました。
夜ともなると商店街はいよいよ人気がなくなり。
音楽の片方が欠けている景色としては似合っていなくもないと思ったりしましたけどね。
そんなわけでただただ歩き回って滞在初日を終えました。
靴をすり減らし。
耳を片方落として。