霧の軽井沢

昨日から軽井沢に来ています。
信濃追分にある猫町ギャラリーで招き猫の展示を行うためです。
軽井沢までの移動は高速バスを使ったんですが、
当日バスの出る池袋まで移動するのに財布を忘れるというサザエさん的ミスを犯し、
途中で気付いて急いで家に取りに帰って再び戻ろうとしたら
雨で濡れた地面に滑ってすっ転ぶという失態を演じ、
肘に擦り傷を負いながら、
「わー転んじゃった〜」と恥ずかしさを誤魔化す独り言を言いながら、
何とかギリギリで池袋に着いてギリギリでバスに乗り込めたんですが、
これは五十嵐に軽井沢に行かせない会の会員による仕業かと
疑念を抱きながらのバス旅となってしまいました。
まあ財布忘れたのも滑って転んだのも自分の責任なんですけどね。
バスはというと乗客が私含め3人しかおらず、
途中に寄るバス停もスルーだし休憩も早目に終わるしで、
大分時間を巻いて軽井沢に着きまして。
そんな巻きの軽井沢はロンドンよりも深い霧に覆われており、視界がままならないくらいで。
ひょっとしてここは軽井沢じゃなくて黄泉の国?と、
真っ白に煙る街を前に不安な気持ちになったのですが、一応ちゃんと電車は動いていて。
切符も黄泉の国行きとは書いておらず。
(書いてあったら怖いですけどね)
そこから鉄道に乗って信濃追分という駅に降りたんですが、
ここがまたスイカも使えない無人駅でして。
本数も1時間に2本しかないという寂しさで。
駅員がひとりもいない駅がこんなに寂しいものとは思いませんでしたね。
買った切符を渡せない片思い的寂しさというか。
しかも私が着いた途端に土砂降りになるしで。
駅から会場まで歩こうかと思ってたんですが、
こんな雨足じゃなあと思ってたらギャラリーオーナーの板東さんからちょうど連絡があり。
何とか迎えに来ていただき、濡れずに会場まで辿り着けまして。


そしてようやく着いた猫町ギャラリーですが、
入ってる施設は油やといって、古い日本旅館を利用した建物で。
そこにギャラリーの他、古本屋やカフェ、中古レコード屋などが入っており。
旅館としても機能しているので宿は自ずとそこになるんですけどね。
軽井沢にこんな施設があるんだなあと驚きでしたね。
そこで早速飾り付けを行いました。
夜になってもまだまだ作業は終わってなかったんですが、
「あとは明日にして温泉でも行きませんか」と板東さんに誘っていただき、
温泉というキラーワードにやられた私はすぐに「行きます!」と、
残りは明日に回しちゃえ作戦を迅速に遂行し、
温泉に連れて行っていただき。
ろくに仕事してないのに財布忘れて走ったり滑ってすっ転んだりで
勝手に疲れた体をそこで存分に癒しました。
その後中華屋さんに連れて行っていただき、
美味しい料理をご馳走していただき。
すっかり落ち着いて宿に戻ったのですが、
この日は何と宿泊客が私しかおらず。
管理人さんも自宅に帰ってしまい、
古い日本旅館に私ひとりだけという状況だったんですよね。
雨のそぼ降る暗い夜に古い旅館の中にひとりポツネンとしている状況は
大人な私でも充分に怖いのであり。
誰もいないはずの廊下に足音が!とか、
襖の奥から誰かの視線が!とか、
ふと恐ろしい存在を想像しては震え、
昔のドリフの30分コントの舞台みたいだなと思い、
私の背後に何者かがいて
「五十嵐、うしろー、うしろー」と志村テンションで騒がれるほど接近されてたらどうしようと思っては
きゃ〜と悲鳴をあげて布団に潜るなどして過ごし、
これではラチがあかぬと酒をかっくらって速やかに寝るに至ったんですけどね。
誰もいない広い空間は持て余しますね。
宿自体は合宿所みたいな雰囲気で。
自己責任でお願いします的なノリなのであり。
私はこれも人生の合宿のひとつかもしれぬと思い、
部活にいそしむ学生のようなテンションで寝るに至りました。
(どんな寝方だという話ですが)
なかなか大変ですね。
人生というのは。