日向の猫を見送る

恵比寿天窓switchにて行われた「夜の科学45」も無事終了しました。
たくさんのご来場をどうもありがとうございました。
「ポチに願いを」と題された今回のライブは8人のメンバー(プラスゲストのカポウさん)と、
お客さん総勢でポチを見送る盛大な音楽会となりました。
この日は昼の部が押していたせいでリハの開始も遅れ、
結果開演も遅れたので暑い中待っていただいたお客さんには申し訳なかったですが。


リハ時からステージ上にはポチの遺影が飾られ(これがまた可愛い写真!)、
さらに8人がぎゅうぎゅうに集まり密度の高い空間となり。
音数が多いからモニター調整とかなかなか大変だったんですけどね。
さらにイントロとして「日向の猫」を冒頭にも入れようと当日急きょ決まり。
あれこれアレンジした結果、真里姉さんの「いよっ!」という掛け声と共に威勢良く始まる運びとなりました。
音響さんも照明さんもかなり気合い入れて準備してくれ、
バンドも濃密なリハをじっくり行いまして。
本番前には真里さんがハンガーを使ったストレッチ法をみなに伝授し、
楽屋で刑事物語武田鉄矢よろしくハンガーを回すという謎な光景が見られ。
さらには上野さんがフルートで「ハイウェイスター」のギターソロを吹きながら解説するという謎の講座なども開かれ。
(おかげで次の日無性に聞きたくなってyoutubeで聞きました)
この日の衣装は「綺麗な色で」という指定があったのですが、
リズム隊がピンクで被るというコンビネーションも展開されました。
(イトケンさんはピストルズのシャツというデストロイなチョイスだったので笑いました)
そんなリラックスムードで本番を迎えまして。
今日はずっと楽しくやれるなー、なんて思ってたのですが、いざ日向の猫のイントロが始まり、
冒頭から感無量な感じでお客さんに挨拶している山田氏の声を聞いていると私も感無量になってしまい、
いきなり泣きそうになるという事態だったんですけどね。
おかげで次の「ココロ/コトバ」ではずっとピアニカで裏打ちする際、
呼吸を整えるのに苦労してしまいました。
そんな始まりだったんですが、
それからは落ち着いて1曲1曲を演奏出来ました。
山田氏がポチを看病しながら作ったという「ポチの子守唄」ではお客さんが泣いている様子なども見られ。
(この日はライブ中に泣いている方が本当にたくさんいらっしゃいました)
コーラスの綾香ちゃんがポチに似ているという感想がいくつか見られましたが、
ひょっとしたらポチが様子を見に降りて来ていた瞬間があったのかもしれませんね。
(おいこら身体借りるぞ、と上から目線で)
高野寛さんのカバー曲ではカポウさんがゲスト入りし。
カポウさんとは私は札幌で一度お会いしているのでステージ上で共演出来て嬉しかったですね。
リアレンジされた「些細なことのように」もこの夜は特別に響いたような気がします。
そして終盤再びの「日向の猫」です。
最後の「ラララ」のコーラスが会場中に鳴り響くのを聞きながら、
私は朝の光を浴びながら寝転がっていた元気な頃のポチの姿を思い出し、
「ああ、あの子もういなくなったんだなあ」と思うと無性に泣けて来てしまい、
終わりの頃はうるうるしながら必死に落涙を耐えながらピアニカを吹いておりました。
(別に泣いてもいいにゃーとポチは思ってかもしれませんが)
満席のお客さんとメンバーによる想いの詰まった歌と演奏はきっとポチにも届いたことでしょう。
胸がいっぱいになった瞬間でした。
そして本編が終わりアンコールでは山田氏がメンバーをひとりずつ呼び込み。
誕生日だったイトケンさんと、お子さんが産まれた上野さんに山田氏からプレゼントが渡され、
一同和むくだりがありました。
エビちゃんは「脱法ハーブやってそうな格好だな」と身なりをいじられており、
後輩には厳しい山田先輩の姿も見受けられましたが。
そして山田氏ひとりが再びステージに戻った第二アンコールです。
セットリストに入ってなかったGOMES THE HITMANの1stシングル収録曲「スティーブン・ダフィー的〜」を歌っているのを見て、
「この間も歌ってたし、今の心情にしっくり来る歌なんだろうなー」と思ったのと同時に
「おや、ゴメススイッチを入れたのかな」とも私は思いましたよ。
そして満を持して発せられたゴメス復活のアナウンスです。
何とGOMES THE HITMAN7年振りのライブ決定のアナウンスです。
オールドファンの方は驚いたことでしょう。
これを聞いたお客さんのリアクションが見たいと私とイトケンさんは早々と客席に戻りましたからね。
そして案の定どよめきと一部悲鳴が上がるのを見て「来たー!」とにやにやしておりました。
私はだいぶ早い段階からこの計画を聞いていたので「ようやく
話せるなー」という思いでしたけどね。
そして改めて「やるんだ〜」と興奮した次第です。
そしてゴメス時代に作られ、アルバムに入らなかったという未発表曲をお客さんも巻き込んで歌いあげ。
今回の夜の科学は幕を閉じました。
ポチを見送りつつ、7年振りにバンドを再始動する意思表明という意味でも節目となる良いライブだったんじゃないかと思います。
楽屋での山田氏とメンバーの表情もとても晴れやかでした。
撤収後に「また川崎麻世いるかな〜」といつもの打ち上げ会場のお店で飲んでると
「呼んだ?」とばかりに川崎麻世氏が現れるというプチ奇跡も起き。
(別に起きなくても良い奇跡ですが)
泣き笑いの忙しい一日がようやく終わりました。


この先ポチがいなくなった後もポチの歌は鳴らされることでしょう。
そして鳴らされる度に聞く人はポチのことを思い出すことでしょう。
こんな幸せなことはなかなかありません。
自分のためにたくさん曲を作ってもらったポチは幸せ者だなとしみじみ思いながら、ポチの子守歌を口ずさみながら、ゆっくりと家路に着いた私です。
メンバーもスタッフもお客さんも、そしてポチもお疲れさまでした。
ということで。