9月のモスキート

デング熱を漢字で書くとすれば伝愚熱になるのであろうか、
愚なるものを伝えるという意味で。
もしくはあえて表記は「天狗熱」で、
読み方だけ濁るパターンであろうかなどと想像しつつ、
そういえば今年の夏はあまり蚊に食われなかったなーと、
己と蚊の関係を振りかえってみた私です。
相葉くんがはひょーと発声するでお馴染みのムヒの出番も少なかったですし。
蚊がいるような屋外で活動しなかったという五十嵐インドア派説もさながら、
ひょっとして私の血の味が以前より落ちたせいではないかとの疑念も浮かぶのであり。
「最近あの店の味落ちたよな」
「先代が引退してからだよな」
「接客態度も良くねーしな」などと蚊たちの間で噂になり、
蚊業界におけるぐるなびみたいなサイトに
「老舗に胡座をかいた商売」などと酷評を書かれ、
(別に商売じゃないですけど)
低い点数を付けられているせいで私の血に群がる蚊が激減したのかもしれず。
蚊に刺されるのは基本ノーサンキューですが、
私の血の評価が下がるのも何だか気分がよろしくないわけです。
「五十嵐の血、最高っしょ!」と常に人気が高く、
発売日には気の遠くなるほどの行列が出来、
「五十嵐の血ケット買います」と書いたプレートを掲げて水道橋駅前に佇むファンが溢れ、
ヤフオク妖怪ウォッチ並みに高騰するくらいの価値を蚊業界から得ながらにして、
いやでも俺の血はそう簡単にはあげないぜと、
蚊取り線香のパフュームを華麗に纏い安易に寄せ付けぬ、
所謂いい女のような自分でありたいと思うわけです。
しかし今年は不思議なくらい蚊に食われなかったのですよね。
蚊よ、俺の血はそんなに不味いのか?と直接問うてみたいものですが。
果たして真意はどうなのでしょうか。
流石にアラフォーともなると血もフレッシュネスならぬフレッシュレスになるのかと
遠くを見やるロンリーな私がいます。


それにしても蚊にはデング熱などという愚かなものではなく、
「恋する想い」とか「人を癒す優しさ」とか、
「キリンが逆立ちしたピアス」とか、
シャガールみたいな青い夜」のような素敵なものを運んで欲しいものです。
そうであれば私の血などいくらでも差し出すものを。


この先20年30年経ち未来の世界が到来しても
蚊を除ける装置は蚊取り線香なのかと思うと凄いなあと感心するばかりです。
伝愚が広まらぬようその煙で蚊たちを蹴散らして欲しいものです。
そんなことを思う9月です。