大久保レトロサウンズ

大久保に新しくオープンしたライブバー「ひかりのうま」でのfwjのライブ、無事終了しました。ご来場下さった方々、どうもありがとうございました。
会場のある大久保には初めて降りたんですが(新大久保とは違うのですね)、不思議な雰囲気の街で。駅前に良い感じの飲み屋がわんさか並んでおり、明るいうちからみんな飲んでいるのですよね。しかもみんな安いし。つい私もふらふら入りそうになりましたが。
会場がわからずふらふら歩いていると公園に猫がわんさかいたりして、何だここは猫の街なのかと思わず二度見しましたが、後で聞いたら地域猫として街全体で飼ってるらしいですね。ちゃんと手術もして餌も近所の人があげているそうで。撫でられるかなと思い、チッチッ!と舌を鳴らしてみましたが「お前なんかには撫でられないわ」といった風情でガン無視されましたけどね。
そんな猫公園を眺めつつ迷いながら会場を探し、ようやく見付けたと思ったら駅から徒歩30秒の近さで。何で何度も通り過ぎながら気が付かなかったのかというと以前営業していたのであろうカラオケスナックの看板がどでかく残っており、その前に「ひかりのうまっす。すんませーん」みたいな申し訳程度の手書きの看板がぽつねんと置いてあるだけなのであり、そりゃ気が付かなかろうと思った次第です。(しかしこのカラオケスナックの看板が良い感じのレトロ具合で、残しておいた方が良いんじゃないかと思いました。)
店内はやはり以前のカラオケスナックの風情がそのまま残っており、昭和の場末感満載で。妙に懐かしく心地良かったですけどね。店主さんと雑談しながらリハを行い、機材を整理していると共演者の神森徹也くんが現れ。
今回はそもそも神森くんからお誘いを受け、彼とのツーマンという形でイベント的に企画されたものでして。彼と会うのも久々だったんですが、会うとつい昨日まで会ってたかのような変わらなさで、屈託のない少年のような佇まいの神森くんっぷりに会うなりいきなり癒されてしまった次第です。
そんな神森くんとしばし近況報告などしつつ、一緒にリハなどしつつ、本番まで時間があったので私はその後ひとり大久保の街へ出て。目についた立ち飲み屋で軽くビールなんぞ飲んでしまい。
ポテサラが食べたいなと思い頼むと「今日はマカロニサラダしかないけど」と言われ、マカロニサラダを頼むと「作ったばかりで味が染みてないけど」と言われ、それでもまあ良いかと頼んでみたマカロニサラダは本当に味が染みていないのであり。マカロニの形をした味のない物体は哀しいという真理を大久保にて悟った私です。
隣のサラリーマンは会社を抜け出して飲んでるらしく「何だよまた会社からだよ」と電話に出つつ焼酎をグビグビ飲んでおり、そんなのでクビにならない会社が存在するのだなと社会の真理をさらに悟りました。そんな場末のマカロニビールを喰らってから会場に戻り本番を迎えまして。(私も本番前に飲むなよという話ですが。)
今回は私ソロでの出演ということで、足元に音をその場で録音してループさせる道具を置き、ギターやシンセでフレーズを弾いてはループさせ、そこにさらに様々なフレーズを重ねて行くという手法で演奏しまして。完全に即興でその場で思い付いたフレーズを重ねていくのでなかなかスリリングでしたけどね。
見に来ていたSSWのクノシンジ氏には後で「即興の構築が素晴らしく、曲によって森や丘の景色が思い浮かんだ」と褒めていただき、ひとりほくそ笑んだ次第ですけどね。
最後には会場にあったピアノも弾き、神森くんの持って来た小物楽器も駆使し(後で神森くんに「オチで使われた」と言われましたが)、楽しく演奏を終えました。このスタイルはほぼ初めてだったのでまだまだ色々なことやれそうだなと思いましたね。
MCでは神森くんとの馴れ初めなども語り。初めて会ったのが10数年前の鈴木茂さんのハックルバックのパーティーで、キリンジかせきさいだぁヒックスヴィルなど豪華面子に交じりなぜか私のバンドと神森くんも呼ばれ演奏したんですよね。不思議な少年がいるなーと思いながら見てたんですが。
そこから数年経て再会し、一緒にレコーディングしたりライブしたり、街でばったり会ったりなどし(偶然3回遭遇してるのです)、今回久々の共演と相成ったわけです。
その神森くんはというと今回ガットギターの弾き語りで。マイクを通さない歌声が彼の部屋で聞いているかのような親密さで、とても良かったですね。改めて彼の曲のコード進行の綿密さに感心しました。どの曲も細部まで考えて作られていてメロディーも美しく。改めて良いなあとしみじみ聞いてしまいました。
後半には持参した小物楽器のプチ演奏もあり。パンデイロの腕前を披露した後のザ・ドヤ顔には笑わせていただきました。
あたたかいお茶をすすりながらの演奏は落語家の風情もあり、実に楽しいステージでしたね。
アンコールでは私も合流し。さらには会場に見に来ていたクノシンジ氏、SACHI-Aさんも合流し、4人で神森くんの曲を演奏しました。クノシンジ氏のピアノが入ると曲がぐんと躍動するのであり、おおーと思いながら気持ち良く演奏出来ました。また一緒にやりたいなあと思いましたね。
最近コーヒーを飲み始めたという神森くんのそのきっかけがコンビニのコーヒーだそうで、店で淹れたコーヒーを飲んだ後にコンビニコーヒーを買いに行き飲み比べるなど謎のコーヒーはしごを展開したりして、相変わらず不思議な少年だなと思った次第です。(気が付けば彼ももう中年と呼ばれる年齢ですけどね)。
彼からは遅まきながら結婚祝いもいただき、あたたかい気持ちで帰りました。
次に彼と会うのはまたライブ会場か4回目の街でばったりか、どちらでしょうか。
果たして。