我が家に猫、到来

つい何日か前のことになりますが、我が家に子猫がやって来たのです。といっても子猫が「ごめんくださいな」と自らドアを叩いたわけではなく、知り合いの方が運んで来てくれたのです。嫁のお友達のチムニーちゃんのご近所の野良猫が子猫を4匹ほど生んだらしく、引き取ってくれる人を探していたところ我が家が候補に挙がり、飼わないかと打診されたというわけです。聞けばチムニーちゃんのご近所に野良猫を何匹も引き取っている猫おばさんがおり、その方が子猫を全員確保した後に引取先を探し、親猫の方は病院に連れて行き去勢させる段取りとのことで。どうやらそのような猫ネットワークが形成されている地域らしいのですね。とりあえず一度子猫を見に来てみれば良いよとのお誘いを受け、はるばる向ケ丘遊園まで出掛けまして。
駅でチムニーちゃんと待ち合わせテクテク歩いて行く途中にも「ここにも子猫の野良がいるんだよね」と見れば複数の子猫と親猫がアパートの庭にひっそり佇んでいたり、その後も路上に何匹もの猫の姿を見かけ、何だここは猫町なのか、猫の楽園なのかと思いながらチムニーちゃんのお宅に伺えばそこにも野良の通い猫がにゃーんとご飯を貰いに来ていて、飼い猫風情で堂々とご飯を食べているのであり。どうやら世界は猫で満ちているのかもしれないと思いつつ、くだんの猫おばさんを紹介され、「貰って欲しい子猫はご近所さんの方にいるのよね」とのことで子猫を預かっているお宅にごめんくださいと伺うとそこにはゲージに入った子猫が身を寄せ合って寝ているのであり。それはもう可愛いのであり。思わずオリラジ藤森のキミきゃわいいねーという言い草が口を突きそうになったほどなんですが、生まれて間もない小さな生き物が狭いゲージ内に集まって健気に息をしている様を見るに愛おしさを抱かぬ者があろうか、否ない、ということで気が付けば我々は「子猫くーださい」と即答しているのであり、中でも一番手前で堂々と寝ていた子猫を直感で選んで引き取ることを決めたのでした。子猫を電車で運ぶのも危険なのでチムニーちゃんの旦那さんが後日車で運んで来てくれることになり、子猫がうちにやって来ることに相成ったのです。
その後「うちに寄って行く?」とのことで猫おばさんのお宅にお邪魔したのですが、そこには大人の猫が屋内に7匹、外にも数匹いて、すごく人に慣れているので来客があると「こんにちはー」とばかりにわらわら寄って来るのですよね。成人した複数の猫に次々に寄られるという経験は初めてだったのでたじろぎながらも人懐こい猫はやはり可愛いのであり。それはもう撫でるしかないのであり。どの子も野良だったのを引き取ったとのことで、目を怪我していたり身体が小さかったり毛並みなども個性的な子が多く、色々な猫がいるんだなあと思いつつ結構な巨体の猫に寄りかかれたりペロペロと手を舐められたりたくさんの猫接待を受けまして。接待されつつ猫おばさんの人生論を拝聴しつつ、お手製のフルーツポンチをいただくという謎の時間を過ごし、猫おばさんのお宅を後にしたのでした。本当に猫の町に迷い込んだような不思議な時間でしたね。これほどたくさんの猫に触れた日は初めてでした。
後日チムニーちゃんと旦那さんが車で子猫を運んで来てくれて。病院で診てもらったら生後2ヶ月弱の男の子だそうで。猫を見に行った日に牛乳ラーメンという珍しいものをお昼に食べ、それが凄く印象に残っていたので猫の名前はミルクで良かろう、牛乳ラーメンのことも一緒に思い出すし、ということでミルクなんて女子ぽい名前を付けてしまったのですが、実際は男の子だったわけです。まあ男子がミルクでもおかしくはないですが。男らしく育ったら「魅留宮」なんて当て字をしても良いですし。まあ今のところ赤ちゃんなので「みるく」という平仮名が似合いますけどね。
それまで野良だった子なのでいきなり慣れるというわけにはいかず、来て早々ソファー下に籠城し、外へ出そうとすると「シャー!」と威嚇するのですが、いざ抱きかかえると「ふにゃあ」とされるがままになりゴロゴロ喉も鳴らし、慣れたかなと思いまた放すとソファー下に逃げ込みまた「シャー!」と威嚇するというツンデレっぷりを冒頭から発揮し、これが猫ってやつなのかと実感した次第ですけどね。ソファー下ならまだしも3センチくらいの隙間の棚の下にすっぽり収まって隠れていた時など「お前は収納上手のカリスマ主婦か」とつっこみたくなったのですが、どこに潜むかわからないのが子猫なのです。初日いきなり糞を粗相したのですが、それを片付けようとする私に「シャー!」と威嚇するので、「お前の糞を処理してやってるのやで!」と朝まで説教してやりたい衝動に駆られるも、その後見せる可愛い表情に「んもうしょうがないなあ〜」と結局デレデレしてしまう私なのであり、もう仕方ないのですね。猫にかかれば。
そんなわけで我が家に猫がやって来たのです。ツンデレ全開で。