猫とコヨーテのオーケストラ

もう先週のことになりますが、山田稔明バンドと高橋徹也バンドの共演ライブ、題して「猫とコヨーテのオーケストラ」が吉祥寺スターパインズカフェで催され、私もオーケストラの一員として出演させてもらいました。
この日は昼からスタジオでリハーサル、その後会場入りしてリハーサル、そして本番というなかなかのタイトなスケジュールで。しかも朝から土砂降りの雨というコンディションだったんですが、まあこういう日の方が逆に燃えるというものです。スタジオではビューティフルハミングバードさんとも再会し(隣のスタジオでした)、昼からがっつりリハを行いました。山田氏がエレキギターを忘れて来るというまさかの八兵衛ぶりを発揮し、エレキを弾く曲を外すというセットの変更などありましたが(家に取りに帰るという選択をしないのが彼流・笑)、何とか全曲通しまして。その後会場のスターパインズに移動し、また同様のリハを行いました。
会場に着くとすでにタカテツさんが到着しており。タカテツさんと私は前回下北沢で共演しセッションもしてますし、彼が現在レコーディングしている曲のエンジニアを山田バンドの上野さんが担当していることもあり、両者和やかな雰囲気で合流しまして。お互いリハーサルをがっつりして本番を迎えました。
この日は大雨にも関わらずたくさんのお客さんにご来場いただき。みなさんの熱い期待がひしひしと伝わって来るようでしたね。まず登場は高橋徹也バンドのみなさんで。彼は相変わらず独自で不穏で美しい歌声を聴かせてくれましたが、バンドサウンドに乗るとまた味わいが違うのですよね。バンドのフロントに立つ彼はアクションも佇まいもロックスター然としており、弾き語りの時の静かなる秘め事のようなパフォーマンスがぐっと押し出される感じで、見ていて引き込まれました。鹿島さんの凄腕ベースが曲をぐいぐいひっぱり、クールなドラムと共にタカテツワールドを拡散し、sugarbeansさんの鍵盤によるコード感がギターの響きと協調し、とても素晴らしかったです。「サマーピープル」という曲がストーンズの「ビースト・オブ・バーデン」という曲を彷彿とさせ凄く気持ち良かったので後で「あれってストーンズですか?」と聞くと「そうなんです、ビースト・オブ・バーデン好きなんですよ〜」とのことで。私も大好きな曲なのであのテイストを共有出来て嬉しかったですね。ストーンズサウンドでもタカテツさんの声が乗るとタカテツオリジナルにしか聞こえないのも流石だなと思った次第です。
途中、山田氏がタカテツバンドに合流し歌った「星空ギター」という曲も良かったですね。これは元ネタがスミスの「セメタリー・ゲイツ」なんだそうですが、山田氏もタカテツ氏もスミスの曲で一番これが好きという話で盛り上がったそうで。(便乗させてもらえば私も好きな1曲です・笑)これもそう言われればスミスっぽい曲でしたが、タカテツオリジナルにしか聞こえないのが流石でした。山田氏の爽やかな声で歌われるとこんなポップになるんだなあと新鮮でしたね。あとタカテツさんの曲って結構キーが高いんだなあと山田氏の声を聞いて発見がありました。ボッサやジャズなどのコード感のイメージが強かったのでスミスというのが個人的には意外な感じもしましたが、あの独特の佇まいはモリッシーにも通ずるものがあるのかもしれないと思ったりした次第です。バンドのグルーヴが後半さらに乗って来て、最後まで素晴らしいステージでした。
その後、いよいよ山田バンドの出番になりまして。リラックスして楽しもうと思いつつ1曲目が終わったら何と山田氏のギターの弦が切れるというアクシデントがあり。1曲目から切るとはどんだけ気合い入ってんねんという感じでしたが、よくよく考えたら昼からリハーサルを2度も繰り返しているのであり。すでに結構な演奏量だったのですよね。まあ安宅さんがすぐに裏に回って張り替えをしてくれて、ほどなくして再開出来ましたが。(安宅さん頼りになるなあ〜とメンバーながら感心してしまった私です。)そんなアクシデントがありつつも、この間のレコ発をぎゅっと濃縮したようなライブになり、楽しめました。スタジオリハでは試せなかった綾香ちゃんのピアノ曲も荘厳に響いておりました。今回ドラムはタカテツバンドの鍵盤のsugarbeansさんで、ダブルヘッダーとなったわけですが、疲れを見せることなくバンドをぐいぐい引っ張ってくれました。(流石に衣装を変える余裕はなかったそうで同じ格好で出演しておりました。)彼のマルチっぷりも素晴らしいなと感心してしまいましたね。
最後にはタカテツさんも山田バンドに合流し。山田氏がタカテツさんの「真夜中のドライブイン」という曲に影響されて作ったという「僕たちの旅〜自己嫌悪97」という曲をセッションしました。コーラスアレンジを加えて、よりタカテツ曲に寄り沿った形での演奏となりましたが、山田氏とタカテツ氏のハーモニーがすごく新鮮で良かったですね。前にfwjで共演した時も彼とお互いの曲をセッションしましたが、新たな魅力の発見があってこういうのイベントぽくて良いなあと思いました。最後まで楽しいステージでしたね。
そんなわけで「猫とコヨーテのオーケストラ」も無事終了となりまして。しかしそんなタイトルなのによくよく考えたらタカテツさんコヨーテの曲をやらなかったなあと思い、そこら辺も彼らしいなと思った次第です。現在上野さんと共にレコーディングしているという新作が今から楽しみです。良い夜だったなと思いながら雨の中を帰路に着きました。またこういう機会があれば良いなと望みながら。
そんなことを言いつつタカテツさんとはこのライブの数日後に個人的にまた会うことになるんですが、その話はまた別な機会にということで。