渚のバルコニーで待ち合わせ 貸切り図書館22冊目

柴田聡子さんと小鳥美術館さんをゲストに迎えて行われた貸切り図書館22冊目も無事終了しました。ご来場下さった方々、どうもありがとうございました。
小鳥美術館さんはまだ音源も出ていないのにも関わらず各方面で評判が高く、今回も貴重なライブを見逃すまいと熱心なお客さんが来られておりました。私も今回生では初見だったんですが、ギター担当の館長さんとボーカル担当の学芸員さんの2人だけで織りなす芳醇な音世界に魅了されてしまいましたね。館長さんのギターはトラッドフォーク調の美しいコード感と繊細なアルペジオ、時にはリズミカルなストロークという抑揚あるプレイが素晴らしく、そこに学芸員さんの力強く奔放なボーカルが乗り、物語性のある歌詞も相まって独自の世界を創り上げておりました。トランペットの口真似も上手でしたね。最初映像で見た時は金延幸子さんみたいな歌唱だと思ったんですが、もっとパンチがあるというか、米国の黒人女性が唸るブルースとかゴスペルみたいな歌唱でしたね。「my favorite things」のカバーがとても良かったです。
本の紹介のくだりでは館長さんは松家仁之著「火山のふもとで」を挙げてくれました。軽井沢の設計事務所別荘を舞台にした所員と所長の老建築家の姪との夏のひそやかな恋物語だそうで、装丁含めとても興味が引かれる内容でこの夏読んでみようかなと思いましたね。館長さんは丁寧に内容を説明してくれました。
片や学芸員さんは小林カツ代さん著「お料理入門」を紹介してくれました。このイベント、何回か重ねてますが料理本を紹介してくれたのは彼女が初めてでしたね(笑)。「家にあるもので簡単に作れるのが魅力」と語っておりました。紹介する本でキャラクターが出るなあと思った次第です。
次に登場の柴田聡子さんはイノセントな歌声と耳に残るメロディーと独自の歌詞が素晴らしく、不条理な漫画のような寓話のような物語性のある歌世界にぐいぐい引き込まれてしまいました。可愛い童謡のようでありながらピリッとした毒気もあり、何とも言えない魅力ある「うた」がそこにありました。メガネがずり落ちながらもまっすぐに歌い、1曲終わる毎に深々と礼をする佇まいもとてもキュートでしたね。松田聖子渚のバルコニー」のカバーもとても良かったです。
本の紹介のくだりでは夏目漱石草枕」を挙げてくれました。彼女曰く「きちがいの出戻り女と画家の話」とのことで(笑)、「実にいい本」と絶賛しておりました。斯様に独特な歌詞を綴る人は普段何の本を読んでるんだろうと興味あったんですが、普段はあんまり本を読まないんだそうですね。本じゃないとするとどういうところから歌詞の発想が浮かぶのか興味を引かれてしまいました。彼女自身がオリジナルの物語を内包しているのでしょうか。個性的な歌ばかりでした。
アンコールでは「折角だから一緒に」ということで、小鳥美術館のお2人も合流し。何か出来る曲はないかとその場で相談し、冒頭にやった「渚のバルコニー」を再び全員で演奏することになりました。しかしいきなりのぶっつけで学芸員さんが原曲をあまり知らないというのもあり、途中かなりグダグダになり(笑)。本人たちも客席からもクスクス笑いが起きるというまさかのバルコニーっぷりが展開されておりました。これはこれで面白いセッションでしたね。生ならではの。勿論トランペット口真似によるソロとかギターの絡みとかセッションならではの妙味も堪能出来ました。
ライブ後、柴田さんにサインをして貰いながら熱心に話し掛けているお客さん多数で、愛されている様子が伝わって来ましたね。小鳥美術館さんと両方を見に来たお客さんが多く、良い組み合わせのブッキングが出来たんじゃないかと思います。(自画自賛)
終演後は柴田さんと小鳥美術館のお2人と近くのお店で軽く打ち上げをしまして。柴田さんに「お酒飲むんですか?」と尋ねると「飲めるけど今は控えてまして」とのことで、「体調でも悪いんですか」と聞くと「や、前にお酒でミスがあって自重してるんです」とのことで。お酒控えるくらいのミスって何だろうと興味引かれたんですが、そこは聞けずにスルーした次第ですけどね(笑)。みんなで楽しくご飯食べながらお話して帰路に着きました。ぜひまたライブに呼びたいなと思った次第です。
貸切り図書館、次回は8月22日にYeYeさんをお迎えしてお送りします。そちらもよろしくお願いしますということで。