梅田、ジョン・ケージ

もう11月も下旬に差し掛かっているという。本当に早いものです。時の流れは。
11月の24日までうめだ阪急の催事で大阪に来ており只今滞在中なのですが、梅田の繁華街の醸し出すムードに圧倒されながら過ごしています。私が宿泊しているホテルの隣が風俗の無料案内所、その隣がラブホ、その隣が風俗の無料案内所、その隣がラブホ、その向かいに風俗の無料案内所という実に欲望にまみれた立地で、世の中こんなに風俗の案内所への需要があるのかと驚愕の思いだったのですが、実際光源に引き寄せられる羽虫の如く野郎たちがそこに吸い込まれて行くのを見て、需要があるのだなあと実感した次第です。さらにホテルの向かいには秘密BARという謎のバーがあり、毎日制服姿の女子が入口に立ちおじさん共を秘密へと誘う光景が見られ、凄いなあと感心しながら眺めています。みなさん秘密には目がないのでしょうか。私も客引きのおじさんに「お兄さん、夜遊びの方はどうですか」「女の子の方、どうですか」「スケベ、スケベ」などとしきりに誘われるのですが、きゃーやめてーこわいーと乙女の如く頬を赤らめながら足早に逃げています。
近くのナントカ女学園みたいなピンクなお店の看板に「体験入学20分4900円」みたいな文言があり、20分で4900円というのは相場的に安いのか高いのかわかりませんが、それだと1分で245円かかるということであり、カップラーメンを待つ3分で735円、ジョン・ケージ4分33秒を聞くのに約1102円かかる計算になり、本格的な女学園入学ともなるとなかなかお金がかかるものだなあと思った次第です。その手の店で4分33秒を演奏すると(実質しないんですが)欲望が滲み出るサウンドになるのでしょうか。
客引きといえば、先日道を歩いていたら「アニキ!アニキ!飲み放題どうすか!」と突然声を掛けられ、果て、梅田に私の弟などいたであろうかと見やれば飲み屋の客引きで、その客引きは道行く人全員に「アニキ、アニキ!」と声を掛けているのであり、長年客引きをしているうちに身に付いたのがこのアニキスタイルなのであろうとその慣れた口調から察せられたのですが、アニキと呼ばれて「何だよ〜でへへ〜」と満更でもなさそうに応えている男性もいたので一定の効果はあるのでしょう。この客引きの後釜募集の際には「アニキと呼ぶだけの簡単なお仕事です」などと書かれるのでしょうか。彼は今日もアニキを元気に連発しておりました。夜の梅田の路上で。
期間中は連休を挟んでいたのもあってかなり忙しく、遅い時間に終わってビールなど飲んだらもうバタンキュー状態です。猫のミルクに会えないとかくもさみしいものかと写真を眺めながら過ごしています。アニキと呼ばれながら。