レコードと焼き鳥の夕べ

先日、高橋徹也氏から「これから鎌倉に行くのですが食事でもどうですか」というお誘いがあり、それは是非にと落ち合う事になったのですが、というのもタカテツさんの去年リリースされたアルバムの推薦コメントを我々も書かせていただいたのでそのお礼も兼ねてとのことらしく、何とも律儀な人だなあと感心しながら待っていると果たしてタカテツさんは「こんにちは!」と風のように颯爽と現れ。
現れるなりタカテツさんは「これ、お礼です!」とレコード袋を渡してくれて、中を見るとSibylle Baierというシンガーのレコードで。これはタカテツさんが数日前にツイッターで紹介していたレコードで、それを見て気に入った私が「これ良いですね!」などと言っていたらそれをプレゼントしてくれたのであり。何とも男前な行為であることよと思ったのですが、さらに見るともう1枚入っており。取り出してみるとタカテツさんの98年リリースのファーストアルバム「夜に生きるもの」のアナログ盤なのであり。これは当時プロモオンリーで限定数プレスされたというレアなアイテムで、こんな貴重なものをいただけるとはと驚き、思わず「ひゃっほい」という歓喜の声を上げてしまった私なのですが、レコードというのは手にするとなぜにかくも嬉しいものなのでしょうか。この「夜に生きるもの」はジャケも中の歌詞カードも素晴らしいデザインで(裏面が懐かしのカセットテープのインデックス仕様!)、ついその場でじっくり眺めてうっとりしてしまった私です。タカテツさんの気遣いには本当に感謝です。
そんなタカテツさんと食事前に鶴岡八幡宮を散策したのですが、昼間の夏のような暑さも去り、プール帰りの気怠さを含んだかのような夕方の時間帯は何だかとても心地良かったですね。観光客も少ない時間ですし。紫陽花も鮮やかに其処彼処に咲いていました。一応お参りもしたのですが、お賽銭を入れて二礼二拍一礼という所作もタカテツさんは侍のようにきりっとしていて、絵になる人だなーと感心してしまった次第です。
その後タカテツさんのリクエストで以前一緒に行った焼き鳥屋を再訪したのですが、人気店ゆえ行列が出来ており。仕方なく並んだのですが、焼き鳥を待ちながらあれこれ世間話をするのも何だか心地良く。タカテツさんは新しいギターを買ったばかりで(買った直後に「ギターを買ってしまいました。果たして買って良かったのかスタバで自問自答しています」という謎の報告メールが届いたんですが)、楽器の話やレコードの話などしつつ待っているとようやく店内に入れまして。タカテツさんは入る直前に「よし、俺今日は酒を飲もう!」と驚きの飲酒宣言をしたので、打ち上げでホットコーヒーを飲むでお馴染みのタカテツさんが珍しいこともあるものだと思い「大丈夫ですか?」と聞くと「最近よくノンアルコールビールを飲んでいるんですよ」とのことで。そしてビールを注文して乾杯したのですが、タカテツさんはビールをひとくち飲むと「うん!ノンアルコールビールと同じ味だ!美味い!」と言うので「タカテツさん、それ逆ですよ。ノンアルコールビールがビールの味に寄せてるんですよ」と教えたのですが、これはちあきなおみを見て「コロッケに似てる!」と言う逆転現象みたいなものなのでしょうか。(違うでしょうか。)
その後ようやく焼き鳥が出て来て、美味い美味いと口々に言いながらみなで食べまして。タカテツさんは焼き鳥を食べる所作も侍のようでキリッとしておりましたね。そこで食べて飲んで喋って、鎌倉ナイトを存分に楽しんでしまいました。タカテツさんもすっかりこの店を気に入ってくれたようで良かったです。そしてアフター焼き鳥は別なお店でコーヒーなど飲み(ここに来てようやく定番のホットコーヒー)、ひと息ついた後、「じゃっ!」と言ってまた風のように颯爽と去って行きました。素晴らしいレコードと夕方の八幡宮散歩と焼き鳥の思い出をそっと残して。
そんな風のようなタカテツさんですが、8月にまたmolnでライブをしてくれる予定です。そちらもぜひよろしくお願いしますということで。