お米が繋ぐ演奏会

先日はmolnにて「風待雲の演奏会」と題し、HARCOくんのライブを催しました。彼には定期的にmolnでライブをして貰っているのですが、毎回異なる試みをしてくれていて、今回も今後の新たな展開を感じさせるようなステージングを見せてくれました。
そもそも今回のライブは陶芸家アセビマコトさんの作品展の一環として企画されまして。アセビさんは今回、お米農家の山崎さんのお米を原料とした釉薬を使った器を販売し、その売上げの一部を昨年鬼怒川の水害に遭われた山崎さん一家に寄付するというチャリティー企画も兼ねていたのですが、そこに以前から山崎さんと交流のあるHARCOくんにもライブで参加して貰い、やはり売上げの一部を寄付するという形で共に乗っていただいたのでした。我々もアセビさん夫妻もHARCOくんも水害直後の山崎さんの田んぼで一緒に稲刈りと片付けを手伝ったという縁があり、その時の面子が揃ったイベントとなりました。お米が繋げた演奏会とでも言うべきでしょうか。
HARCOくんは少し前に自分企画のフェスを終えたばかりで、今回は区切りがついたタイミングでのライブだったそうで。そのフェスで共演したGOMES THE HITMAN空気公団のカバー曲を披露してくれたのですが、これがとても良かったですね。原曲の良さが伝わるとても丁寧な歌唱で。歌い手としての魅力を遺憾なく発揮しておりました。
セットは新旧取り混ぜた内容で、今回は普段あまりやらない曲や変わったバージョンなんかも多く、新鮮で楽しめましたね。何と人前では初だというウクレレの弾き語りなんかも披露してくれました。リハの時に立って弾いていたら漫談ぽくなってしまったそうで(笑)、座って弾いておりましたが、慣れない楽器への真剣な眼差しと音のほんわかしたユルさのギャップが妙に良かったですね。カーペンターズのカバーが素敵でした。
あと今回は「親子のシルエット」という新曲も初披露してくれたのですが、これが素晴らしかったですね。父親になった彼の優しく温かい家族への眼差しが感じられる名曲で、私的には矢野顕子さんの歌に宿る母性に近いものを感じました。(彼の場合は父性と言えば良いのでしょうか。)子供が出来て作風が変わったという発言をしていましたが、特に歌詞の面でまた表現の幅が広がったような印象を受けましたね。この曲を聞いて早くも次作が楽しみになりました。
あと今回新たな試みとしてジングルワークショップという企画もあり。これはその場でCMソングなどの短いジングルを作ってその場でレコーディングするというもので、今回は「お米農家やまざき」を題材に作成しまして。まずは核となるメロディーを歌い(歌詞は勿論「お米農家やまざき」です)、そこにリズムを足したり、お米を炊く音を乗せたり、田んぼでカエルの鳴く音を乗せたりとリアルタイムで音を作って行くのですね。冒頭に語りなんかも入り(彼は普段ナレーションの仕事もしているのでその魅力を遺憾なく発揮しておりました)、15秒、30秒、60秒とバージョンを増やしながらあっという間にCMソングは完成しまして。会場で聞いていた山崎さん家族は「一生の思い出です〜」と感激しておりましたね。まあプロに目の前でCMソングを作って貰う機会などそうそうないですからね。お客さんもその過程に興味津々の様子でした。私もすっかり「おこめのうか〜、やまーざき!」というフレーズが頭にこびりついてしまいました。
そんな企画を挟みつつ、楽しいトークなども挟みつつたくさん歌ってくれて、2時間のステージも終わりまして。この日は遠方から来られたお客さんもいらしたようで、ありがたかったですね。みなさんには山崎さんへの募金などもしていただきました。
終演後に山崎さん一家と久々にお話したのですが、復興の見通しも立ちそうとのことで、前向きな話を聞けたのが良かったです。HARCOくんもCMソングを作った甲斐があったというものでしょう。アセビさんの器も連日大人気だったそうで、とても良い企画となりました。ご来場いただいた方々、本当にありがとうございました。お米が縁で斯様な演奏会を催すことが出来ました。
帰りは「おこめのうか〜、やまーざき!」という出来たてのCMソングを口ずさみながら家路に着いたのは言うまでもありません。近い将来本当にCMが出来たら面白いですけどね。