それぞれの暮らし 貸切り図書館45冊目

先日は恒例のイベント「貸切り図書館」の45回目を我々fishing with johnと、ゲストに大森元気さんを迎えツーマンでお送りしました。たくさんのご来場をありがとうございました。大森さんが最近北鎌倉に引っ越して来てご近所さんになったというのもあり今回の共演に至ったんですが、終始和やかな雰囲気で楽しい一夜となりました。
fwjはライブ自体久々だったんですが、今回はカルテット編成でライブに臨みまして。何しろ久々過ぎて昔の曲も新しめの曲もメンバー全員ほぼ忘れているという状況だったんですが、それを「確かこう演奏してた気がする」「こんな構成だったに違いない」などとフル回転で思い出しながら新たにアレンジを加えながら本番までに仕上げたんですけどね。セットリストは以下のようになりました。
1、タンスマウンテン
2、一人二役のスキップ
3、夏でもなく秋でもなく
4、ジャングルジムで鯨釣り
5、歩けリリー
6、サイクル曜日
7、読みかけの夏
今回弦楽器のアンサンブルをどう聴かせるかあれこれ考える上で、ギターのひじきさんとベースの鎌田さんにはかなり力になってもらい。さらにメロディ担当のあぐちゃんにも複数の楽器を演奏してもらい少人数での楽曲の再現に臨みました。鎌田さんがコントラバスで弓を駆使したのもあるのか「それこそ(ドラマの)カルテットみたいだった」とか「オーケストラみたいだった」などと感想をいただき励みになった次第です。衣装も「カルテットぽい」という理由で白に統一したんですけどね。私がMCでボケても誰もツッコミを入れないという様子に「五十嵐さんのボケがスルーされるの恒例なんですか」と質問されましたが(笑)、つっこまれたり放っておかれたりというユルい空気が持ち味なのです。久々の合奏は単純に楽しかったですね。
本の紹介では私は3冊、メンバーも1冊ずつ紹介しました。私の挙げたのは以下の作品です。
保坂和志「猫と散歩道」
小泉今日子「黄色いマンション 黒い猫」
山田稔明「猫町ラプソディ」
猫縛りの3冊という感じでしたが、保坂さんは鎌倉出身の作家で鎌倉を舞台にした小説も書いているし、このエッセイ本にも鎌倉のことが書かれているので紹介しました。鎌倉と猫という共通点もあり、以前にも増して保坂さんの文章が好きになり読む機会が増えました。キョンキョンの文章は以前読売新聞でアラーキーの写真集の書評を読んで「何て美しい文章を書く人なんだ」と感動して以来ファンになったのですが、そんな彼女の筆致を存分に味わえる1冊です。猫を看取るくだりは涙なしには読めません。山田氏の新刊は猫のことしか書いていない猫エッセイ本ですが、猫好きな方は勿論、そうでない人が読んでも楽しめる1冊です。仲間内で宣伝するのも何ですが(笑)仲間内が宣伝しないで誰が宣伝するのかという節もあるので紹介しました。本書に出て来る「猫の可愛さには慣れることがない」という文言は後世に残る至言かと思います。こちらに関しては公式の宣伝コメントも書かせていただきましたのでぜひそちらもご覧いただきたく。
ベースの鎌田さんは「伊丹十三記念館ガイドブック」という本をを紹介してくれました。こちらは伊丹十三記念館に行かないと買えない本だそうですが、文庫サイズながら写真もテキストも充実していて素晴らしい本でしたね。東京ポッド許可局というラジオ番組で紹介されていたのを私も鎌田さんも聞いていてその話で盛り上がったのもあり個人的にもタイムリーでした。そしてギターのひじきさんは「矢吹申彦音楽図鑑」という本を挙げてくれました。はっぴいえんどのジャケやニューミュージックマガジンの表紙でもお馴染みのイラストレーター矢吹伸彦さんの作品集ですが、ひじきさんは以前結婚祝いで矢吹さんに夫婦のイラストを描いてもらったことがあるそうなんですが、何とその絵もこの本に掲載されているそうで。本屋で見てびっくりしたのだそうです。私も中身を見せてもらいましたが、確かに若き日のひじきさんが載っていて驚きましたね。あぐちゃんは全国のライブ会場に出掛けてはそこでジャンプする写真を撮っているそうで、その写真をまとめた本を紹介してくれました。今やスマホで撮った写真を本にまとめたりなど簡単に出来る時代ですしね。面白いことしてるなーと感心してしまいました。メンバーの紹介する本に素でリアクションしてしまった私です。
続いて登場の大森元気さんですが、今回はペダルスティールの宮下広輔さんとアコーディオン、ギターのくりすあすかさんとのトリオ編成で演奏してくれまして。フォーク、カントリーを基調にした3人の確かなアンサンブルと大森さんの力強い歌声が素晴らしかったですね。さらに3人のコーラスワークも巧みでCSN&Yみたいな曲もあり。残像カフェ、花と路地、ソロと長きに渡るキャリアからたくさん歌ってくれました。良い曲ばかりでしたね。実は宮下さんも鎌倉在住なので地元同士の共演といった形になりました。(宮下さんは高橋徹也さんのバンドでも活躍しているので、個人的にタカテツさん話で盛り上がりました。)
そして大森さんの紹介してくれた本は以下のラインナップでした。
小学館「花と葉でみわける野草」
甲斐信枝「雑草のくらし」
「ジョージ・カックルの鎌倉ガイド」
百田直樹「永遠のゼロ」
ロッキンオン「コミックH」
小田島等「無 for sale」
元々植物好きな大森さんは北鎌倉に引っ越して来てさらに自然に囲まれた生活を楽しんでいるようで、草木に関する本が多かったですね。私も家の周りに知らない花や草が咲いているとこれって何だろうと思うことがあるので「花と葉でみわける野草」はちょっと気になる1冊でした。ジョージ・カックルさんは鎌倉在住のDJの方でラジオ番組などやられているそうで、宮下さん曰く駅でたまに見かけるそうなんですが、私は不勉強ながら知らず今後チェックしてみようかと思いました。百田さんの著書はその紹介と共に戦争観みたいなものを語ってくれたのですが、その後に歌ったさだまさしさんのカバーがしみじみ良かったですね。小田島さんの本はこれに収録されている「残像」という作品が残像カフェの名前の由来なのだそうで、言わばルーツ的な感じで紹介してくれました。
そして最後にはfwjと大森トリオ総勢7人で大森さんの「暮らし」という曲をセッションしまして。私も僭越ながら一部を歌わせていただきました。新生活を始めたばかりの大森さんですが、鎌倉周辺での暮らしに想いを馳せながら、共感しながら楽しく演奏出来ました。大森さんとは彼が在籍していた泰山に遊ぶというバンド時代に知り合ったのですが、時を経てこうしてご近所さんになったりするのだから面白いものです。また何か一緒に出来たらなと思った次第です。
大森さんと宮下さんと鎌倉周辺の美味しいお店についてあれこれ話したのに、打ち上げは結局どこも空いておらずどこにでもあるチェーン系の居酒屋に落ち着くというオチだったんですが、大勢であれこれ話して楽しかったですね。久々に会えた友人もいましたし。
貸切り図書館、次回は6月11日に朝日美穂さん、千ヶ崎学さん、高橋健太郎さんをお迎えしてお送ります。そちらもよろしくお願いしますということで。