北欧旅日記 ラトビア編3

旅の3日目と4日目はラトビアの旅のメインとも言える森の民芸市に買い付けに行きまして。昨日から合流したくりももちゃんも交え早朝全員でタクシーに乗り込み、目的地に着くとすでにお客さんの行列が出来ており。会場は森ならではの冷んやりした空気に包まれていて、街とは全然違う雰囲気でしたね。入場券を買って入ると中にはたくさんの露店が立ち並んでおり、手作りのスプーンやフォーク、おもちゃなどの木製品、バスケットなどの柳や白樺細工、民族衣装や手袋、ストール、敷物などの毛織製品などラトビアの手仕事がわんさか宝の山の如く売られているのです。「うわ〜、テンション上がるな〜」と私が森の様子をスマホで撮っているうちにもベテランの岩崎さんとあやこさんは「さあ仕事やで!仕事!」とばかりに早速買い付けを始めたので、我々も負けじとそこから買い付けに奔走しました。ここではみな個別行動です。前にmolnのイギリス買い付けにも同行した私なので、ある程度は心得ているのです。計算機片手に「これはこの値段でどうだ」「これは可愛いから買おう」などと吟味しながらわっさわっさと商品を買い付けて行くのです。当然荷物は増えて行く一方なので、それを日本から持参した大きい袋に入れ替え荷作りしながらまたわっさわっさと買い込むのです。これがなかなかの重労働なのです。途中岩崎さんたちとすれ違い、「あの店でこれ買ったよ〜」などと見せ合うとやはり不思議なもので、店主のカラーがきちんと見えるセレクトなのですね。「あっちにあれあったよー」などと情報交換しつつ、またわっさわっさと買い込みまして。
会場には民族衣装を着てラトビア民謡を歌う人や、民族楽器を演奏する人などがあちこちいて、その調べが森の雰囲気に合っていて心地良いのです。(たまにお客さんもコーラスで参加してセッションしていました。)会場奥にはステージもあり、たくさんの子供たちが可愛い民族衣装に身を包み音楽に合わせてダンスを披露していて、そのあまりに可憐な姿に「天使や、森に天使が降臨や〜!」と思わず口に出してしまった私です。何でしょう、ここは楽園なのでしょうか。
さらに奥には食事の店もたくさん出ており、昼には全員で集合して芝生の上に座り、わいわいとラトビア料理を食べました。気温も上がって夏のような天候だったので、ビアが美味しかったですね。ピクニック気分で楽しい昼食になりました。なかなか日本でも集まらない様々な職種の7人がリガの芝生の上で宴を催すという不思議さです。
午後もまたわっさわっさと買い込み、去年も来ていたあやは馴染みの店主と「久しぶり〜」などと挨拶したり、私も張子の作家から猫のお面を買い「私も張子を作っているんですよ」などとコミュニケーションも楽しみつつ。夕方になってまた全員で入口に集合しまして。
そこからホテルに帰ることになったのですが、みなそれぞれ大きな荷物を抱えているので、3組に分かれてタクシーで帰ることになり。私とあやがまず先に来たタクシーに乗り込んでホテルに向かって貰ったのですが、しばらくしてどうも様子がおかしいことに気付くのです。メーターの数字が異様なスピードで上がって行くのです。あまりの速さに「あれ、これはスピードメーターかな」と思ったのですが、車両が止まっていても数字が上がって行くし、どう考えても料金のメーターなのです。「ぐんぐん」という形容がこの上なく似合うスピードで上昇して行くのです。ぐんぐんは子供の成長だけに使用してくれい、タクシーのメーターにはノンぐんぐんでいてくれいと思いながら「何だこりゃ、おかしくないか?」と狼狽していると、道を把握しているあやが「あれ、遠回りしてない?」と言うのであり。料金が爆上がりの上に遠回りされるとは。何でしょう、ここは地獄なのでしょうか。地獄に閉じ込められてしまったのでしょうか。さっきの森の天使たちは何処へ?もうこの時点ですでに行きのタクシー料金を悠々と上回っており、ホテルに着くまで手持ちの現金が足らなくなると判断し、あやが「降りよう!」と言い、運転手に「てめーこのやろストップじゃボケ!」と止めさせて、何とか地獄タクシーから脱出することに成功し。そこからとぼとぼ歩いて帰ったのですが、えらい目に遭いました。
聞くと岩崎さんたちも地獄タクシーだったらしいのですが、「メーターの速さがおかしい!」と強く抗議したら途中からみるみるメーターのスピードが下がったらしく。流石海外での修羅場をいくつも潜ったベテランは対処が違うのです。千秋さんやaCaeさんらのチームも「メーターがおかしい!」と気付き同じく途中で降りたら、たまたまそこがバス乗り場だったらしく、バスに乗って帰って来れたそうで。みな大変だったようです。海外でのタクシートラブルは付き物なのでしょうか。
その後、岩崎さんの部屋をお借りして(我々の部屋は最上階でエレベーターがそこまで通ってなかったので)、今日買った商品を早速荷作りしました。タクシー酷かったねー、などと愚痴を言い合えるのも仲間がいるありがたさです。そして買って即荷作りというベテランの仕事モードたるやです。流石です。
そんなわけで楽園から地獄までを体験した森の民芸市初日でした。まあ総じて楽しかったです。(楽しかったんかい。)