空気を残すサイン

デキシード・ザ・エモンズが解散するそうですが。
私はあのバンドのアナログにこだわった音作りと
ひねたポップセンスがかなり好きだったのですよね。
ライブも何度か見に行ったことあるんですが、
ステージでのアグレッシブな感じもかっこ良くて。
20年近く活動を継続してきたのはただただ感心するばかりです。
やはり解散は残念ですけどね。
お疲れさまですと言いたいところです。


ところでデキシーと言えばふと思い出したことがあるんですが、
もう7、8年前になりますが仕事で毎日浅草に通っていた頃、
お昼に食事を終えてさて仕事場に戻ろうかと
浅草寺の近くをぶらぶら歩いてたら、
ふと古本屋の前にどこかで見たような人が立っていて。
それがデキシーのドラムのハチマ氏だったんですよね。
「あれ、ハチマさんですよね?僕ファンなんですよ。」
と思わず話し掛けて、
「こんな浅草で何やってるんですか?」と聞くと
「いやーマントを買いに来たんだよ。
今度のアルバムのジャケット写真で使うんだ。」と言っていて。
その時は「衣装を自分で買いに来るなんてさすがだなー」と
妙に感心してしまった覚えがあるのですが。
(実際その後リリースされた「ROYAL LOUNGE」というアルバムで
彼のマント姿を見ることが出来ました。)
それから頑張って下さい的なファントークをして別れたんですが、
何とそれから3、4日後にまた同じ浅草の路上で
ハチマさんに会ったんですよね。
しかもこの前と全く同じ古本屋の前で(笑)。
思わず「あれ、また会いましたね?」と話し掛けると
向こうもあれまたこいつかみたいな感じで
「いやー今日はプライベートで来たんだよね。」とか言ってて、
それから「きみこそ浅草で何やってるの?」という話になったので
これこれこうで張子人形を作っていて、と説明したら
「じゃあ、あとで見に行ってみるよ。」
とのことでその場は別れたんですが、
まあ本当に来るかどうかわかんないよなーとか思ってたら
それからしばらくして本当にハチマ氏が来たんですよ。
私の実演している売り場に。
で、招き猫とかしばらく眺めながら
「へーこういうの作ってるんだー。」とかしばしお話しして。
何話したか詳しく記憶に残っていないんですけど。
(多分「僕もバンドをやっているんです」的なことを
話したと思うんですが。)
ただひとつ確かなのは「今日の記念にサインいただけますか?」と
彼に一筆お願いしたことで、
その日の日付けとハチマさんの名前を書いていただいたんですよ。
浅草でデキシード・ザ・エモンズに2度会う機会も
なかなかないと思ったもので(笑)。
そのサインは当時出てたデキシーの7インチ盤のジャケットの中に
大事に仕舞っておいたので、今でも残っているはずです。
(ちょっと今7インチを探してる時間がないので
現物を見られていませんが。)


何か当時の浅草でのひと時がそのサインに残っていると思うと
感傷的にすらなってしまいますが
そういう不思議な縁もあるものですね。
ハチマさんがその出来事を覚えてるかはわかりませんが。
まあ私も解散の記事を見るまで忘れていた出来事でしたが(笑)。
ああ、解散かあ。と感慨深くなった私です。


思えばちょうどあの頃も今と同じ
夏の終わりから秋にかけてだったような気がします。
あの頃の空気を思い出すために7インチ盤と一緒に仕舞った
彼のサインを探してみたいと思います。