10月のABC 貸切り図書館11冊目

fwjと朝日美穂さん出演の「貸切り図書館11冊目」も無事終了しました。
ご来場いただいた方々、どうもありがとうございました。
我々fwj、今回は4人編成でこじんまり演奏しようと思っていたんですが、
中村好伸くんがたまたま上京してるとのことだし、
横山夫妻も当日見に来るとのことだったので、
ならばフルメンバーでやるかということになり、
狭い空間に7人並んでほぼリハなしで演奏しました。
少人数も緊張感あって楽しいんですが、大勢で演奏するのはやはり楽しいものですね。
以下、セットリストです。
1、夏でもなく秋でもなく
2、歩けリリー
3、透明図書館
4、くちびるに秋桜
5、ねことくらす
6、サイクル曜日
7、読みかけの夏
8、夕方ループ


貸切り図書館では毎回出演者がお勧めの本を紹介するんですが、
今回私が紹介したのは佐々木健一著「辞書になった男 ケンボー先生と山田先生」という本で。
三省堂国語辞典」を作ったケンボー先生と「新明解国語辞典」を作った山田先生という、
2人の辞書作りの天才の軌跡を辿るノンフィクションで、
東大の同級生でかつては同じ辞書を作っていた2人がなぜに別々の辞書を作るに至ったのか、
その関係性を実際に2人が編纂した辞書の用例をヒントに探り当てていくという
まるで推理小説のような展開が面白く、ぐいぐい読ませる作品で。
読み進めるうちに2人の複雑なライバル関係が徐々に明らかになって行くのですよね。
無機質な言葉の解説が並んでいるだけと思いきや、
実は生々しい人間のドラマが語釈や用例に滲み出ていることがわかり、
読後は辞書に俄然興味が湧くこと間違いなしの作品です。
三浦しをんさんの「船を編む」を楽しめた人なら楽しめるかと思います。
辞書は実は2千万部とか売れてる隠れた大ベストセラーなんですよね。
私はこれを読んで新明解国語辞典を「読みたく」なりました。
ライブではこの本の解説を長々とお客さんに喋り、
新明解国語辞典の実際の語釈を読み上げたりして(これがウケました)、
紹介させていただきました。
如何だったでしょうかね。
ちなみに鎌田さんは泉昌之さんの「食の軍師」を、
ひじきさんは久住昌之さんの「昼のセント酒」を紹介し、
メンバー内で久住さんの著作が被るという現象が見られたのですが(実は私も愛読してますが)、
酒と食べ物が好きな2人らしいチョイスだなと思った次第です。
あぐちゃんはお勧めの本を紹介というか、
逆に探している本があるので見つけたら買っておいて欲しいという、
古本ウォントを我々メンバーとお客さんに投げかけるという新しい展開で。
探しているのは小林恭二著「ゼウスガーデン衰亡史」という本だったんですが。
これが何と終演後に鎌田さんの奥さんが近くの古本屋でその本(しかもサイン入り)を見つけて
あぐちゃんに買って来るというプチミラクルが起き。
彼女はお願いしたそばから探してた本を入手することが出来たのでした。
この引きの強さたるやです。
で、横山さんも同じく探して欲しいという古本ウォントを投げかけまして。
奥様は魔女よ、永遠に」というドラマ「奥様は魔女」のデータ本だそうで。
こちらはさすがにライブ後に入手というわけにはいかなかったですが、
見つけたら買っておこうと心に留めた次第です。
(中村くんとたまみ嬢は急な参加だったので本は持参せずでした)
鎌倉には何店か古本屋があるんですが、
探してる本がポンと置いてあったりするから面白いものです。
つくづく古本は出会いだなと。


でもって次は朝日美穂さんの登場で。
前に良原リエさんが貸切り図書館に出演した時に朝日さんが客席に見に来ていて、
それが縁で今回の出演と相成ったんですが、
お店の雰囲気にも凄く合っていて良かったですね。
朝日さんは小さいお子さん連れで来ていて、
最近はお子さんとママさん向けのライブが多いらしく。
久々の大人向けのライブとのことで、
ギターの高橋健太郎さんと共に凛とした歌声を聴かせてくれました。
歌を全身で楽しんでる感じが伝わって来てとても良かったですね。
今のところの新アルバムの「ひつじ雲」からたくさん歌ってくれました。
途中、本の紹介の辺りからはお子さん向けモードになり。
朝日さんが紹介したのは全部絵本で、
「魚がすいすい」
「アニマルアルファベットサーカス」
かいじゅうたちのいるところ」というラインナップでしたね。
「魚がすいすい」はジャバラ式の大型本で、
本を広げると一匹の魚が現れる壮大な作りで。
こういう触って楽しめる仕掛けのある本は電子本では味わえない魅力だなと思いました。
(朝日さんが両手を広げて本を全部広げてくれました)
「アニマルアルファベットサーカス」は
AからZまでのアルファベットをサーカスの動物たちを紹介する形で教える教材絵本で、
イラストも可愛くて見てて欲しくなってしまいましたね。
その流れから朝日さんが「さあ、ABCの歌を一緒に歌おう!」と客席に呼びかけ、
やがてABCの歌の合唱となったのですが、
客席にはシャイな大きなお友達ばかりで(笑)なかなか合唱とならず。
「聞こえないよー!」と朝日さんが呼びかけ、
ようやく客席の大きなお友達もえーびーしーでぃーいーえふじーと歌い出し、
会場がアルファベットで一体化するに至ったのですが、
歌のお姉さんの指導力たるやと感心した次第です。
これはお子さんとママのいる会場では盛り上がるだろうなあと。
朝日さんの発音もまたネイティブ然としていて、
先生の授業を聞いてるかのようでした。
かいじゅうたちのいるところ」の紹介のくだりでは読み聞かせもしてくれ、
さらにはこの本のオリジナルソングも作って来たとのことで
(何と前日に作ったそう)、初披露してくれました。
これがとても良かったですね。
こんな感じのお子さんとママ向けのライブを企画したいなーと見ながら思った次第です。
個人的には普段読まない絵本を紹介してもらえたのは良かったですね。


そんなこんなでライブも無事終わりまして。
終始ピースフルな空気が漂っていて良い空間だったと思います。
朝日さんのお子さんが外の鎌倉駅に電車が来る度に
「でんしゃだー、でんしゃー!」とテンション上がっていたのが可愛かったですね。
男の子は電車が好きなのだなと。
我々fwjは大きなお友達ばかりなのでライブ後は打ち上げに繰り出し、
みんなで酒盛りをしてほろ酔いで帰るといういつもの光景が見られました。
(でんしゃだー、でんしゃー!と同じ電車に乗って帰路に着きました)
みなさんお疲れさまでした&ありがとうございましたということで。


次回の貸切り図書館は11月3日、山田稔明さんとアアルトコーヒー庄野さんが登場します。
こちらもぜひに。