再開と再会 貸切り図書館81冊目

貸切り図書館81冊目、友部正人さんのライブも無事終了しました。たくさんのご来場ありがとうございました。4年振りの貸切り図書館でしたが、molnの空間が音楽で満ちる光景を再び見られて感慨深かったです。

友部さんと奥さんのユミさんと会うのも4年振りでしたが、会うなりこのぽっかりと空いたコロナ禍の隙間を埋めるようにお互いの話をあれこれし盛り上がりました。今後こういうアーティストさんたちとの再会がずっと続いて行くのだろうなと改めてライブの再開を嬉しく思いました。

そんなタイミングなのにあやが夏風邪でダウンし不在というのもらしいと言えばらしいですが。「最近子供たちの間で夏風邪流行ってるんだって。あやちゃんはまだ子供だから流行りに乗ったんじゃない、アハハ〜」と豪快に笑うユミさん。その後「家で寝てるあやちゃんに動画で励ましのメッセージ送ってあげようよ〜」と提案し送ってくれるユミさん。その優しさにあやは家で感激していたそうです。いつも明るい太陽のような方です、ユミさん。

そんなこんなで始まったライブ、「にんじん」「遠来」「朝は詩人」など40年のキャリアをまたがる名曲をたくさん披露してくれました。そんな中でもコロナ以降に作ったという新曲「銀座線が消えちゃった」がとても心に響きました。コロナが落ち着いて久々に渋谷駅に行ったら様変わりし過ぎて銀座線乗り場を見失った体験をユーモアに描いているのですが、私も渋谷駅で同じような体験をしたので共感してしまいました。「街はどんどん変わって行く 人々を置いてけぼりにして」という一節が現在批判を浴びている神宮外苑の再開発のことなどもよぎり、こういう視点が友部さんらしいなと感動しましたね。

その後貸切り図書館恒例の本の紹介のコーナーでは高階杞一著「早く家に帰りたい」と「千年の歓喜と悲哀 アイ・ウェイウェイ自伝」の2冊を紹介してくれました。元々ユミさんが好きだったという詩人高階さんの詩を友部さんが朗読してくれたのですが、友部さんの朴訥とした語り口も相まってとても良かったですね。アイ・ウェイウェイは父が詩人、自身は芸術家という立場で中国の国家権力の弾圧を受けて来た歴史が生々しく語られているのですが、友部さんの語りで紹介してくれてとても興味が湧きました。国家権力のよろしくない横行は日本も似たようなものじゃないかと聞きながら思いましたけどね。

そしてアンコールは名曲「一本道」からの「ぼくは君を探しに来たんだ」でフィナーレを迎え。素晴らしいステージとなりました。4年振りとなる貸切り図書館の第一弾として大成功だったのではないでしょうか。

終演後に友部さんに75年発売の「誰もぼくの絵を描けないだろう」の裏ジャケにサインをいただきました。若き日の坂本龍一さんと友部さんの2ショットが裏ジャケに映っている印象的なアルバムです。(このアルバムが教授の録音盤デビューなのです。)

「私が坂本龍一ってサイン書いてあげようか?」とユミさん。坂本さんと同じく今年亡くなった鮎川誠さんとここ数年バンドを組んでいた友部さん、そのバンドの曲も歌ってくれましたが、「周りの人たちみんな次々に亡くなっていくよ」と寂しそうにしておりました。

終演後には4年振りの再会の喜びを赤ワインで祝いました。(ワイングラスの隙間から覗いてみるとそこには幸せがありました。幸せはほっぺたを寄せ合っておりました。)色々な話をしてお見送りの際、「じゃあまた来年!」と友部さんと強い握手を交わしました。特別な一夜となりました。

次回貸切り図書館はカーネーションの直枝さんが登場です。直枝さんにお会いするのも4年振り。再開は再会を呼んでくれますね。