師走レス

気が付けば師走なのです。もうすぐ2018年も終わりなのです。本当に早いのです、時の流れは。
今月は貸切り図書館のtico moonさんのライブがあったり、山田稔明with夜の科学オーケストラのライブがあったり、ミルブックス藤原さん宅でのお鍋会があったり、年末の催事の準備があったり、バタバタしているうちに過ぎて行きました。このままの勢いであっという間に新年を迎えるのでしょう。
そんな師走ですが、ソフトバンクによるスマホ決済サービスpaypayが100億円あげちゃうキャンペーンなるものを行うと聞き、100億円くれちゃうの?なら私も欲しいわん!とばかりに早速アプリをインストールし、ビックカメラで家電でも買おうかしら年末にでも!と構えていたらあっという間にキャンペーンが終了してしまい。私のpaypayにはアプリを入れると貰える500円だけがぽつんと残されることとなったのですが、何だったのでしょうかあの騒ぎは。スマホに映る「500円」という表示を見て、これは本当に500円なのか?ただの数字ではないか?と思う一方、そんなこと言ったら財布の中の1000円札も果たして1000円なのか?ただの凝ったデザインの野口英世ポートレートなのでは?と思えて来るので、貨幣ってつくづく概念であるのだなと実感させられますね。野口英世ポートレートで国民が経済を回していると知ったらご本人は何と思うのでしょうか。「え、俺のポートレートで日本人買い物してんの?やだやだ、恥ずい〜!」と思うのでしょうか。ATMや自販機に吸い込まれる己の顔を見て「やだ〜吸い込まれる〜どんだけ〜」とか言うのでしょうか。
以前フィンランドを訪れた際にペットボトルの水1本買うにもカードを使うという徹底したキャッシュレス文化に驚いたのですが、キャッシュを維持するコストや利便性から言っても日本もいずれそうなるよなあとは思いつつも、それをスマホ1本で担うのは大丈夫なのかなあとこの間のソフトバンクの通信障害騒ぎを見るにつけ思いますね。私にしたって音楽聴くのも動画を見るのもラジオを聴くのもスケジュール調整も、電話やメールなどすべての連絡もこのブログを書くのだってスマホを使用しており、そこにさらに財布の機能まで負わせたら「ちょ、俺に頼り過ぎじゃね?も〜どんだけ〜」とパニックになりそうなものですが。最近はチケットもスマホだし、スマホ依存が過ぎるのではとちょっと心配してしまう私です。夏に突然スマホが死亡した時は文字通り何も出来なくて(まず電話やメール、ラインなどの連絡が一切出来ないのがきついです)、全機能をスマホに入れておくのは危険だなとつくづく思ったものです。ある程度機能を分散しておくのが良いのかもしれません。
しかしキャッシュレス文化が定着すると失われるのはお釣りをジャストにする支払い文化でしょうか。1866円の買い物に2416円払うみたいな芸当です。ちょうど今日378円の買い物に533円払ったお客さんがいて実感しましたけど。端数を0か5に落ち着かせる計算厨が世の中にはいるものです。私なんかはレジの前でちまちま小銭を探している時間が嫌なのでパッと紙幣を出してしまい常に小銭が溢れてしまうのですが、キャッシュレスになるとそういうこともなくなるのですね。
あと祝儀に入れるピン札という文化もなくなるのでしょうか。最近は神社の賽銭もICカード対応のところがあると聞きます。ご祝儀もスマホ払いとかになるとピン札に代わる文化が現れるのでしょうか。水引きの絵文字を一緒に送れるとかはありそうですけどね。祝儀や香典をスマホで、みたいなサービスは本当に登場しそうな気がします。色々な文化がキャッシュレス化に変わって行くのでしょう。貨幣が物体化されない世界がやって来るのです。
まあそれにしたって高輪ゲートウェイなるネーミングのダサさたるやです。世の片仮名で後ろに付けるとダサい単語選手権があったらぶっちぎりの優勝がゲートウェイなのではないでしょうか。辺野古埋め立ての件もそうですが、水道民営化だの入管法だの民意が反映されずに様々なことが勝手に決定されて行く世の中がおそろしいです。アメリカ様から戦闘機100機買うなんてニュースを見て「戦闘機が買えるくらいのはした金ならいらない」というブルーハーツの歌う皮肉を思い出しました。阿呆が権力を持つと碌なことになりません。キャッシュレスならぬ阿呆レスな世界になることを願うばかりです。
そんな師走です。猫の可愛さだけが正義です。みなさん風邪などひかぬようご自愛下さい。

sweet december 山田稔明with夜の科学オーケストラライブ

先日は恵比寿天窓Switchにて山田稔明with夜の科学オーケストラのライブでした。たくさんのご来場、どうもありがとうございました。毎年恒例のこのライブを終えると年末だなあと実感しますね。
今回私はベース担当ということで、山田氏と近藤さんが楽し気に演奏するのを背中から眺めながら(これがなかなか良い眺めなのです)、低音をブイブイと奏でておりました。毎回セットリストが直前まで決まらないので、「この辺りの曲はやるだろうな」とだいたい予想して事前に練習するのですが、いざそれらの曲がリストに入ってないと「あの曲は今回落選か…」と少しさみしい気持ちになるものです。落選された曲の肩を優しくポンと叩いて「次回こそ出番があるよ」と励ましたくもなるものですが、まあそもそもコンテストでもないし、曲の肩って何やねんという話なんですけどね。今回はそんなセットリスト会議を勝ち抜いた常連曲に加えて新曲あり、各メンバーの曲をフィーチャーした場面あり、盛りだくさんの内容となりました。
「どこへ向かうを知らないなら〜」で幕を開けたこの日は「太陽と満月」で早くも熱い展開になり。みんなのソロが炸裂しておりました。そして「glenville」を経て恒例のくじ引きタイムになり。バンドの熱い演奏の合間にユルいくじ引きのくだりがあるという、年末特有の緩急あるステージは終始楽しかったですね。
最初にくじを引いた安宅さん賞発表の後には安宅さんのソロ曲披露もあり。久々に安宅さんの歌を聴きましたが、ぐっと来てしまいましたね。山田氏から「上野くんソロ!」という無茶振りがあったのにとっさに対応していた上野さん凄いなと感心してしまった次第です。そして「月あかりのナイトスイミング」「日向の猫」とライブはドラマチックに盛り上がり。ポチが亡くなった後に泣きそうになりながらこの曲演奏したなあ、などと過去を回想したりなどしました。
そしてくじ引きタイムが私にも回って来まして。景品に招き猫のだるまを5個出したのでくじを5枚引いたのですが、今回くじがトランプのカードになっており。カードの色が2種類あるとその場で聞かされたのですが、数字の色と勘違いしたり、「えーとダイヤ?スペード?」と絵柄を混同したり、グダグダしているうちに山田氏が「あーもう俺が発表する!」と代わってくれたのですが、何しろトランプを手にしたのが超久々なのです。カードにまつわるグダグダを許して欲しい私なのです。「トランプって絵柄とかパッと見わかりにくいよね〜」「ねっ、そ、そうですよね!」と後でみんなに慰めてもらった私です。あとダイヤのカードばかりやたらと引かれてたので、あんまりカードを切らずにくじ箱に入れたんじゃないか説が楽屋で流れておりました。まあそれはさておき当たった方はぜひ飾っていただきたく思う次第です。(私が張子作家として独立する話もここの場でさらっと発表させていただきました。)
その流れで草とten shoesの「冬の日の幻」の山田氏によるセルフカバーを披露したのですが、本人が歌うとまた違った雪の光景が浮かびましたね。山田氏から借りたギタレレが良い音で鳴っておりました。キーが違うのにすぐ対応していた上野さん凄いなと感心してしまった次第です。
その後はまた「光の葡萄」「my favorite things」と熱い演奏が続き。くじ引きタイムでは近藤さんによるソロでのインスト曲の演奏もあり。美しいギターの調べにさすが猫町のプリンスと思った私です。続けて演奏された新曲「小さなハートブレイク」「セラヴィとレリビー」はこの日のハイライトだったのではないでしょうか。ラストの「calendar song」を演奏しながら「もう今年も終わりか〜」と1年を振り返ってしみじみしてしまいました。
アンコール時にはサプライズで山田氏へのバースデーケーキが渡され。やたら山田氏が「サプライズとかなしだからね!」と前振りしていましたが、「本当にサプライズあったんだ!」と楽屋でみんなで驚いておりました。
そして再びバンドが呼び込まれ「hanalee」を演奏し、続いて山田氏が景品用のウクレレで「sweet december」を弾き出したのですが、何だか聞いたことないリズムなのです。安宅さんが「あれ?違くない?」という顔をしていたら山田氏も「あ、違うわ!」と気付きやり直すことになり。直前のMCで「sweet december」を毎年レコーディングして後ろに年代を付けようという話をしていたので、近藤さんが「今のは『sweet december2018』だからちょっと違ったのかな」と笑っておりました。くじに当たったお客さんの前で歌ってくれる場面もあり、サービス満点のライブだなあと演者側にいながら感心してしまいました。
終演後には当たった方に招き猫を手渡したり、草テンメンバー全員来ていたのでCDにサインしたりとお客さんと交流が出来ました。お土産などもいただき感謝です。本当にありがとうございました。
山田氏へのバースデーケーキをみんなで食べながら「1年てあっという間だなあ」と実感した次第です。そして12月24日には現場所ではラストとなる巣巣でのライブがあります。山田氏と草テンが出演し、福田利之さんによる張子へのライブペインティングもあるそうです。(張子は私が提供します。)とてもスペシャルな内容になりそうです。こちらもぜひよろしくお願いしますということで。



言葉と音 草とten shoesレコ発ライブ

先日鎌倉molnで行われた草とten shoesレコ発ライブ、おかげさまで大盛況のうちに終了しました。たくさんのご来場をどうもありがとうございました。共演のけものさん、高橋久美子さんと草テンメンバーでセッションなどもさせていただき、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。3組で良い空間を作れたのではないかと思います。当日は店内の商品を片付けて機材をセッティングしてリハーサルをして受付をしてドリンクを出して演奏をして物販をして清算をして店内を片付けてとフル回転で、店主業をやりながら演者としてステージにも上がるというのは思ったよりも大変でしたが(転換時のBGMや照明も自分らで操作するのです)、メンバーや共演のみなさんで協力し合って何とかこなせました。しかしまあバタバタでございました。
この日のトップバッターはけものさんで。今回はボーカルの青羊さんと吉田ヨウヘイgroupなどで活躍するギタリスト西田修大さんとのデュオでの演奏でした。青羊さんの歌声は大人の色気とあどけなさが同居していて、とても魅力的なのです。ご本人と話していてもすごく大人びて見える時もあれば、少女のように見える瞬間もあり。そのエレガントな歌声と楽曲の良さが直に伝わる良いライブでした。歌に寄り添う西田さんのギターも素晴らしかったです。(意外に天然な青羊さんにツッコミを入れつつ優しくサポートするお兄さんといった図でした)
続いての登場は高橋久美子さんです。自作の詩をたくさん朗読してくれました。お客さんに鈴などの鳴りものを配って朗読中に鳴らしてもらったり、掛け声を出してもらったり、会場全体を巻き込んでの盛り上がりに朗読とはかくも自由なものなのかと、はっとさせられました。客席にいた西田さんもたまたま小物を手に取って鳴らしていたのですが「わ、今の音良かった!」と久美子さんからピンポイントで褒められておりました。そりゃプロの演奏だから当然です。普段から久美子さんはみんなの良いところを見付けて褒めて引き出してくれる達人で、私の書いた歌詞も褒めてくれたので嬉しかったです。「最初あやさんが書いた歌詞かと思ったら五十嵐さんが全部書いていて驚きました」と私の作家性について言及してくれて「そうなんですよ!全部当て振りで書いているんです!」とテンション上がってしまいました。
そんなテンションで「選ばれし」という彼女の詩にギターと掛け声で参加したのですが、やたら「アーモンド!」と久美子さんと叫び合うという奇妙な図になってしまい(詩の中にそんなフレーズが出て来るのです)、あとであやから「放送事故みたいだったね、良い意味で」と言われてしまいました。放送事故に良い意味などあるのでしょうか。教えて欲しいのです。岩崎さんとアユミさんもピアノと鍵盤ハーモニカで朗読に参加し。事前に曲を作って来たという岩崎さんの演奏は図らずもスティーライヒの如きミニマルな演奏になっており、朗読とマッチしておりました。あやも以前久美子さんと連詩した作品を朗読して、巣巣以来の再演となりました。後半の掛け合いはちょっとラップのようでもあり。この連詩、すごく良いのでどこかに発表して残しておいたら良いのにと思った次第です。青羊さんもこの日のために久美子さんと連詩したものを朗読してくれたのですが、往復書簡のようなリアルな言葉のやり取りがまるで映画のワンシーンのようでとても心に残りました。青羊さんの言葉は都会的というか、東京の風景だなあといつも思うのです。(東京への憧憬と言えば良いのでしょうか。)貴重なセッションを見られました。
そして草テンですが、あやの緊張が半端なく(知り合いが多数近距離で見ている状況なのです)声も震えがちだったのですが、お客さんのあたたかい応援によって徐々に落ち着いて来て、何とかアルバム全曲と新曲も披露出来ました。もう何と言うかお客さんに感謝しかなかったですね。無茶振りで数曲、久美子さんに鳴りもので参加してもらったのですが、リズムが入るとこんなに演奏しやすいのかと思いながら楽しく演奏出来ました。(元チャットモンチーのドラマーにリズムを取ってもらうだなんて!)タカテツさんにいただいた「波の音が聴こえたら」も鎌倉で演奏出来て良かったです。
終演後はまたバタバタと片付けして記念撮影して打ち上げして店内を片付けて帰りました。打ち上げで青羊さんがレモンハートというお酒を飲んで「ちょっと強いお酒で酔ってしまいました」と顔を赤らめている横で岩崎さんが「大丈夫?」とお世話をしている様が姉妹のようで、普段から青羊さんが岩崎さんを慕っている様子が伝わって来て良い関係だなーと思って見ておりました。
草とten shoes、次回のライブは12月24日巣巣にて山田兄さんとご一緒します。何と福田利之さんによるライブペインティングもあるそうで。そちらもぜひお願いしますということで。





梅田エレガントガール

突然ですが、仕事で大阪に来ています。デパートの催事で1週間滞在しているのです。デパートの閉店が20時(金土は21時)なので、終わってからどこかに遊びに行くこともなく(初日にディスクユニオンには行きました)、まっすぐホテルに帰って草テン台湾ツアーについてブログに書いたり、GYAOM-1グランプリの準々決勝の模様を視聴したりして過ごしています。大阪にいるのに毎日台湾のことを書いているのも不思議な感じだなと思ったのですが、台北の雑多な雰囲気が梅田の街に似ているのですよね。街の作りとか人の流れとか匂いみたいなものが。梅田の街を歩きながら台北の街の空気を思い出し、せっせとブログを書いておりました。誰からも頼まれてない旅のレポートですが。自分で自分に頼んで書いているのです。ぜひ初日のSっ気女教師レイコのくだりから全日分読んでいただきたく。
デパートでは毎日社食でお昼を食べているのですが、今日レジで私の後ろに並んでいた20代くらいの女子が、定食のサラダにドレッシングをかける際に自分の洋服の袖がみそ汁にポチャンと浸かったのを目撃してしまい。女子の服によくある、袖がびろーんと広がったエレガントなデザインだったため、その端っこがみそ汁にダイブしてしまったのです。エレガントがあだになるパターンです。「もしもし、袖がみそ汁に浸かってますよ」と注意しようかと思ったのですが、周りに人がたくさんいたし、その子のドジっぷりを周囲に披露するのも何だしなあなどと思っているうちに会計の順番が来てしまい。「注意すれば良かったかなあ」と思いつつ会計を終えて空いているテーブルに己の頼んだチキン南蛮定食を置いて食べ始めていたら、その子が何と私の目の前にやって来て着席し。もぐもぐとチキン南蛮定食を食べ始めたのです。さっき自分の袖がみそ汁に浸かっていたのまだ気付かないのかしらと思いながら見ていると、その子はスマホをいじり出し。ラインなどしながら食べているのです。「集中して食べなさい。だから袖がみそ汁にダイブしたことにも気付かないのよっ」と私の中のお母さんが登場し心の内に注意していたのですが、彼女はマイペースにスマホをしながら食べているのです。そうこうしているうちに5分は経ったでしょうか。彼女が何かの動作の際に自分の袖が濡れていることに気付いたのです。はっとする彼女。急いでバッグからハンカチを取り出し拭きながらもエレガント袖を鼻に近付けてクンクンと匂いを嗅ぐ彼女。「こ、これはみそ汁っ!?」とそこで初めて気付いたのです。己のエレガントがみそ汁まみれになっていたことを。袖がみそ汁に浸かったのに気付くまでのタイムを争う競技があったのならおそらく彼女は最下位であったことでしょう。鬼太郎の目玉の親父がお椀風呂に浸かるくらいの浸かりっぷりだった彼女のエレガント袖にはみそ汁のみそと出汁が吸われ、いい味わいになっていたに違いありません。ハンカチで袖を拭きながら、スマホをいじりながら、引き続きチキン南蛮定食を食べる彼女。その所作は妙にエレガントでありました。私は心の内に「すぐに注意しなくてゴメン」と謝り、チキン南蛮定食を完食し、テーブルを後にしました。
エレガント袖の女子のみなさん、みそ汁ダイブにはくれぐれもお気を付け下さい。以上、梅田からの報告です。

草とten shoes台湾ツアー記その6 台北〜帰国編

怒涛の草テン台湾ツアーも無事行程を終え、最終日はオフにしてみんなで観光でもしようということになり。取りあえず台北市内へバスで移動しようとしたのですが、バスの乗り方が今いちわかりにくいのです。みんなでグーグルさんところのマップを頼りに乗り場を探し、「あ、あれに乗るんじゃない?」と目的のバスを見つけるも、我々の前をそのバスは無情にも素通りして行くのです。どうやら台湾ではバスが来たら「乗りますよ」の合図として手を上げないと止まってくれないらしいのです。そんなタクシーみたいなシステムがあろうとは。次に来たバスにみんなで「止まって〜」と一斉に手を振り、何とか乗り込めたのですが、私の交通カードだけ料金が足りなかったらしく、ピコーンピコーンと警報が鳴り止められてしまったのです。「どうしたことかっ!これは五十嵐に台湾でバスに乗らせないの会の会員による妨害行為なのかっ?」とパニクり、「ならば現金で支払いたいんですけど!」と言うも運転手さんは英語を喋れない様子で。見かねた岩崎さんがささっとカードを貸してくれて、その場で2人分を払ってくれたので何とか乗り込めたのですが、想定外のことが起こると焦りますね。どうやら初日に地下鉄に乗るのに使った交通カードにはデポジット分しか入っておらず、チャージがされてなかったせいではと推測されたのですが、その割に地下鉄に乗れたのは何なのでしょうか。その謎の答えは風に吹かれてるのさ〜と心の中でディランを歌って自らを落ち着かせた私ですが。海外ではバスに乗るだけで冒険なのです。
「これから女性陣はヘアサロンに行くけどゆうくんはどうする〜?」と聞かれ、台湾の地でおじさんがヘアに輝きを増してもらっても何なので、事前にネットで調べておいた中古レコードを扱っているリサイクルショップに行く旨を告げると、岩崎さんがその場でその店の名前を検索して。「あ、そのショップ、私たちの行く店から近いよ〜」と言うので、ヘアサロン近くのバス停でみんなで降りたのですが、いざそこからマップでそのリサイクルショップを探してみると「現地点から3.5キロ」と表示されるのであり。3.5キロて!全然近くないじゃん!と呆然としたのですが、どうやら岩崎さんの検索にヒットしたのは同じリサイクルショップの別店舗で、私の行きたい店とは違う場所だったのです。今からまたバスやタクシーに乗るのも何だし、まあ3.5キロくらいなら歩くか、と徒歩で向かいまして。見知らぬ台北の街をひとりで歩く心地良さです。自分は旅人なのだなあと悦に入りながら、風景を眺めながら50分ほど歩くと目的地のその店に到着しまして。
そこは日本で言うハードオフみたいな店で、CDやDVD、おもちゃや本などが雑然と並んでいるのです。その一角にレコード棚があったので早速掘り出しまして。やはりレコードを掘っていると落ち着くものです。1時間くらいは掘っていたでしょうか。途中岩崎さんから「終わったらみんなでSOGOに行って食事するのでそこで合流ね」と連絡が来ていたので、果てSOGOはどこにあるのかと調べたら現地点から3キロ離れているのであり。そうこうしてるうちにあやから電話があり、「もうSOGOに着くけど場所わかる?」と聞かれたので「実は目的の店がヘアサロンから3.5キロあって50分歩いて来て、ここからSOGOへはさらに3キロ離れているのだ」と答えると「3.5キロ?50分も歩いたの?馬鹿じゃないのっ?」と呆れられ。「もうタクシーで急いでSOGOに来て!」と言うのですが、レコードを買ってしまったので手元に現金が少なく、タクシーに乗れなそうなのです。どうしたものかと歩いていたら目の前に地下鉄の駅があったので、「そうだ電車で行こう」と相成り。交通カードにチャージして電車に乗ろうとすると再びあやから電話があり、「大変だ!ともちゃんが財布をなくした!」とのことで。岩崎さんがタクシーで支払いをした後、財布を置き忘れてしまったらしいのです。「今カード止めたり対応してるからゆっくり来て良いよ〜」とのことで。色々な事件が起こるものだと思いながらほどなくSOGOに着き、みんなと合流しまして。岩崎さん曰く海外用の財布だったので被害額が小さかったのが何よりですが、「隣であやちゃんがゆうくんと電話してて3.5キロだ、50分だと大騒ぎしてたから財布置き忘れちゃったよ〜」と風が吹けば桶屋が儲かるくらいの距離感で私が3.5キロ歩いたことに原因がある旨を報告して来るので、「それは言いがかりと称す案件では?」と静かに思った私です。台湾財布喪失桶屋繁盛事件として記憶に残る案件となりました。
そしてSOGOの地下でヘアに輝きを増した女性陣と鼎泰豊という有名店で食事をして。今回の旅の締めとなりました。ここもすべてのメニューが美味しく。とにかく毎回ご飯に外れのない旅でしたね。
その後はみんな自由行動となり、私とあやは折角だからとmoln商品の買い付けに行き。両手に買い付けた洋服を抱え、誠品書店というお洒落なショップを見学した後、ホテルに帰りました。(TAIPEIというオブジェの前で記念撮影しました。)最終日も盛りだくさんの内容でした。かなりの距離を歩いたので、さすがにくたびれましたけどね。
そして一行は次の日の早朝の便で無事に帰国しまして。まあ病気や怪我もなく旅を終えられたので良かったです。バンドも少しながら成長出来たのではないでしょうか。我々、帰宅して速攻ミル坊を撫で回したのは言うまでもありません。ミル坊のおかげで台湾の方々と交流出来たよ、と報告したら「へー、それは良かったにゃ」というような表情をしておりました。また機会があれば台湾に行きたいものです。
ぜひ11月24日の台湾凱旋ライブに足を運んでいただけたらと熱望する我々です。心からお待ちしておりますということで。






草とten shoes台湾ツアー記その5 台南〜台北編

台湾ツアー、ライブも残り1公演となりました。この日は朝からみんなで台南名物のサバヒー粥を食べに行きまして。サバヒーとは台南地域で獲られるミルクフィッシュと呼ばれる白身の魚で、ミルクとフィッシュの2つが名前に入っているとなれば食べないわけにはいきません。ホテル近くの人気店に行き岩崎さんが全員分注文したのですが、人数を間違えてあやの分だけ注文が通ってなかったというプチ事件もありつつ、いただいたサバヒー粥がめちゃくちゃ美味しく。出汁の効いたスープとご飯とサバヒーの組み合わせが抜群で、毎日食べたいくらいの味でした。
みんなで美味しい美味しいと食べていると何やら店内に明らかに芸能人オーラを放った綺麗な女性がテレビカメラや照明、音声さんと共に入って来まして。おもむろにそこでグルメロケが始まったのです。台南の有名な女優さんなのでしょうか。スタンバイの時には「このロケたりーな、まじで。私ほどの大女優にこんな仕事振るなよ事務所も。あー早く帰りて〜」然とした態度だったのに、いざカメラが回ると笑顔で「何て美味しそうなんでしょう〜!」ときちんと仕事していたのでみんなで「プロだな〜」と感心した次第です。「追加で頼んだあやちゃんの分のオーダー、忘れてないかなあ〜?」と岩崎さんが厨房に確認に行ったついでにカメラにフレームインしていたので、台南のグルメ番組に岩崎さんがチラリと映っていたかもしれません。私も「あやの分のオーダーは今作ってるのかしら〜」とつぶやきながら女優さんの顔を頻繁に確認しに行ったりしたので、あの日本人の集団何なんだと撮影クルーに思われたことでしょう。
そして一行は台南から再び台北へ移動しまして。あやこさん夫婦はそこから帰国するとのことで、撮影や物販などお世話になったお礼を言いつつお別れしまして。空港近くのホテルにチェックインして、また車移動で初日に挨拶に行ったVoben雑誌図書館へ向かう一行、いよいよ台湾での最後のライブです。
本番まではまだ時間があったので、買い物したりランチをしたりと過ごしまして。ランチは飛び込みで入った路地の小さな定食屋さんで、メニューに英語表記もないし、定員さんは英語喋れないし、我々は漢字をどう読むのかわからない中、身振り手振りで何とか注文出来ました。(アユミさんが指差しで注文した丼が美味しそうだったので「私も同じやつ!」と乗っかるという手法を用いました。)ここも適当に入った店なのに安くて美味しかったですね。何て名前の料理を頼んだのか結局わからずじまいだったんですが。
そしてVobenに戻りサウンドチェックとリハーサルを行い、いよいよ本番です。美しい本棚を背景にしたステージは見映えも良く、「ここでアー写撮れるね」ということで何枚も撮影し、本番も少しインスタでライブ配信しました。日本の雑誌がたくさん置いてある中、ミル坊の掲載された「ねこ」という雑誌も置いてあったので、「この子うちの猫なんです!」とライブ中に紹介したらリアクションが良く。終演後にはお客さんやスタッフさんたちから「うちにも猫がいるんです!これうちの子です!」とスマホで猫の写真を見せ合い、「可愛い〜!」とみんなで盛り上がるというアジアプチ猫会議が開催されました。犬と猫は世界を繋ぐのです。ハナさんのお店で招き猫を買ってくれた人も来てくれて嬉しかったですね。ミル坊もまさか自分が台湾の地で交流のきっかけになるとは夢にも思っていないでしょう。台湾ラストライブ、楽しんで演奏出来ました。サインしたり記念撮影したり、お客さんと交流出来ました。
撤収後は近くのお店で軽く食事して、一行はすぐにホテルに帰り休みました。4日連続移動してライブというのはなかなかのハードスケジュールなのです。「さすがに入れ過ぎかな〜」とみんなで話したのですが、まあ良い経験になりました。ツアーはバンドを鍛えるのに良い機会ですね。それを実感しました。
そんな草テンの台湾凱旋ライブにしてレコ発第二弾ライブが鎌倉で行われるのです。 これを見逃す手はありません。
11月24日(土)鎌倉moln
草とten shoes 1stアルバム「月曜日にさえずる」発売記念ライブ
出演:草とten shoes/高橋久美子/青羊(けもの)
開場17:30 開演18:00
料金\3000(+1drink)
チャットモンチーで作詞家、作家として活躍されている高橋久美子さんは自作の詩を朗読してくれます。ラジオのパーソナリティーとしてもお馴染みの彼女の語りがまた素晴らしいのです。草テンとも連詩や伴奏などでセッション予定です!青羊さんはこの日は吉田ヨウヘイgroupのギタリスト西田修大さんとのデュオで登場です。けものさんをずっとmolnに呼びたかったので念願叶いました。こちらも見逃せません!台湾ツアーを経た草テンの演奏をぜひ聴きに来て下さい。このツアー記を読んだ方はぜひに!
という告知で締めましたが、台湾にはまだあと1日オフで滞在するのです。こうして見るとなかなかの長期滞在です。台湾ツアー記、最終回もぜひお楽しみにということで。

草とten shoes 台湾ツアー記 その4 台南編

台湾ツアーも4日目となりました。この日は台中から台南へ移動してライブというスケジュールです。大人数でえっちらおっちらスーツケースを引きずり、新幹線に乗って台南へ大移動です。南というくらいだから暖かいのだろうな、くらいの認識だったのですが、いざ台南に着いてみたら猛烈に暑いのであり。30度近い真夏の気候なのです。よくよく地図を見てみたら沖縄より南側に位置していたのでさもありなんです。まさか11月に半袖を着るとは思いませんでした。
この日の宿泊先は築何十年という古い建物をお洒落にリノベしたとおぼしき民宿のような場所で。置いてある家具や小物などもセンス良く、素敵な空間でしたね。元々アパートだったと思われるこの建物は周りも民家やアパートなどに囲まれており、ベランダに干された洗濯物などで地元住民の方々の生活の様子を垣間見られました。そんな建物なので当然エレベーターがなく。重たいスーツケースやギターを4階まで運ぶのが大変だったのですが、それもまあ旅の醍醐味なのです。管理人の美人のお姉さんから流暢な日本語で「今回はポケモンのイベントで来たんですか?」と聞かれ、「いや違います、今回はライブしに来たんです、私たちバンドやってるんです!」と答えると、「え〜、そうなんですか?じゃあライブ見に行きますよ!」と、後で本当に見に来てくれてCDも買ってくれたのでありがたかったですね。(メンバー誰もポケモンをプレイしてないのでイベントのことは初耳でした。)
今回のライブ会場は屋外ということで、我々からしたら外での演奏は初体験なのです。ホテルから20分ほど歩くと正興街という地域があり。この地域には飲食店や露店などが賑やかに並び、日曜日ともあってここは原宿かと言いたくなるほどの人で溢れているのです。そこかしこで路上パフォーマンスを行う芸人がいたり、天才ドラマー少年がドラムを叩いていたり、おじさんが路上カラオケを披露していたり、何というかカオスと化しているのです。まさかこのカオスな感じの中で我々も演奏するのではあるまいなと思ったのですが、そのまさかだったのです。人気アイスクリーム屋の目の前と聞いていた会場に着くと人がさらに溢れかえっており。この暑さでアイスクリーム屋は大人気です。こんな人の多いところでライブをするとはと一同驚きつつ、今回の現場を仕切ってくれるコウさんの事務所にまずはご挨拶に行き。コウさんは小林賢太郎似で、話していて頭の良さが伝わって来るナイスガイで。元々何もなかったこの地に店を開き、現在の原宿並みの人通りを呼び集める先駆となった方だそうで。海外でしかも屋外、我々どんな悪環境でも頑張りますよ〜という心意気だったのですが、コウさんの仕切りでPA環境もキーボードも譜面台も用意してくれ、まさに至れり尽くせりの状況でライブを出来ることになり、感謝しきりでしたね。スタッフさんに何と草テンの看板まで作っていただき。(「東京職人」という肩書きが付いていたのが面白かったです。)取りあえず我々は会場近くのそば屋で腹ごしらえをし。ここの5歳くらいの男の子とブルドッグが可愛くて、すでにミル坊ロスになりつつあった私は「わ〜、可愛い〜」とわしゃわしゃとブルドッグくんを撫でまくって癒されてしまいました。猫と犬は世界を繋ぐのです。(「撫でる姿が異様でこわい」とメンバーから再び評されました。)
そしていよいよ本番です。我々がセッティングしている間にも「何だ何だ、何が始まるんだ?」と人がさらに集まり。超満員といった様子です。不思議なもので人がたくさんいると逆に緊張しないというか、みんな我々を目的に来ているわけではないし、全体リラックスして演奏出来ましたね。PA環境が整っていたので演奏もやりやすく。あやの歌も今までで一番良かったように思います。岩崎さんが英語でMCをしたのですが、英語がわからない人もいるだろうからという判断でスタッフさんが通訳してくれ、お客さんの反応も上々でした。アイスを食べながらライブを聞くという、みなさんの日曜日のお楽しみを演出出来たのではないでしょうか。(かおりんに頼んでインスタで生配信もしてみたのですが、いかがだったでしょうか。)
ライブ後にはいつものようにCDを売ってサインをして記念撮影をして交流が出来ました。ハナさんもわざわざ来てくれてライブを見守ってくれました。終演後には事務所でフルーツとアイスをご馳走になり。疲れていたので甘いものが身体に染みましたね。
休憩をしてコウさんのお店で買い物して、夕方にはご近所の食堂で打ち上げを行いました。観光客というよりは地元の人が食べに来る家庭料理のお店といった様相で、ジャッキー・チェンが映画内でもりもりご飯を食べるようなお店だなと思いながらふとテレビを見たら偶然ジャッキー・チェンの映画を放送しており。チラチラとそれを見つつ、みんなでライブの感想など話しながら食べたのですが、これがまたどれも美味しく。台湾は本当に料理にハズレがなかったですね。メニューにビールがなかったのでコウさんがわざわざコンビニで買って来てくれて、食べながらそれをぐびぐびいただいちゃいました。(ビールのない店では持ち込んでも大丈夫なのだそうです。)テレビではジャッキーが悪人に追い詰められ、すわ、どうなるジャッキー!あやうしジャッキー!というシーンになっており、「ここからどうやって切り抜けるんだろう〜」と思って見ていたら、そこでおもむろに店主がテレビのチャンネルを変えるのであり。「ええっ?一番良いところで変えちゃう?ジャッキーあの後どうなるん?気になる気になる〜!」と思ったのですが、みんなと会話しつつもチラチラジャッキーを見ていたことに気付かれても何なので、店主に抗議することなく黙ってコップのビールを飲み干しました。私の中で台湾のジャッキーはピンチのままです。あの後どうなったんでしょうか。
その後台南の街並みを眺めながらエレベーターのないホテルに帰り。今回は広めの和室にメンバー4人が寝るという修学旅行スタイルだったのですが、毎日移動してライブを繰り返して疲れていた我々は枕投げをしたりトランプをしたり「クラスに好きな子いる〜?」などと話す元気もなく、すぐに寝ました。暑さの中を路上で演奏したというのもあり。
台湾ツアー、明日もまだ続くのです。我々の体力は保つのでしょうか。果たして。