ピンクの癒し

先日、仕事終わりにブックオフ新春セールを覗いたのですが、かなりの盛況っぷりで。全品20パーセントオフということで何か良いものがあれば買うてやろうと棚を見つつも、物が多いから整理しろよテメーこの野郎、新たに物を増やしてんじゃねーぞ、という罵声が妻の声色で聞こえて来るという謎の現象が起きたので、まあ控えめに1冊だけ抱えてレジに並んだわけです。
セールなのでレジはかなり混んでいて行列が出来ていたのですが、私の前に並んでいた50代くらいのサラリーマン風情のおじさんがカゴいっぱいにエロ漫画を入れているのです。30冊くらいはあったでしょうか。「あー、全部エロ漫画だなあ」とピンク色に染まったカゴを見て、これかXJapanだったら「ももいろだぁ〜!」と紅のテンションでトシが叫んでヨシキがツーバスを踏み、「も〜もいろ〜に染まった、このカゴを〜、なーぐさめ〜るや〜つーは〜、も〜ういーない〜」と歌うのかなと思いながらそのピンクなタイトルを眺めていたのですが、私の後ろにもすでに10人ほど並んでいるのです。若い女子もいるのです。みんながみんな「このおじさんエロ漫画を大人買いしてるなあ」とカゴの中身を目視しているのです。でもおじさんは恥じらうこともなく、むしろ堂々と「我、エロ漫画を大量購入するなり!」と武士の如き佇まいでエロ漫画を抱えているのです。これだけの量のエロ漫画を家に持ち帰れる環境ということは独身なのでしょうか。それとも家族公認の趣味なのでしょうか。いずれにせよおじさんの癒しなのでしょう。ふとそれよりも上流を見ると40代くらいの女性がジャニーズアイドルの雑誌をやはり30冊くらいまとめ買いしており。みんな癒しを求めているのだなあとブックオフのレジにて思った次第です。自分の好きな物にどしどしお金を使うのだ!癒されるのだ!という気概のようなものを新年早々感じました。癒し狩りとでも言うのでしょうか。たくさんの癒しが狩られておりました。
正月三が日は催事で帝国ホテルに通っていたのですが、近くの宝塚劇場の前を通る度に毛布にくるまりながらチケットを得るために朝から行列している女性たちを見て、「宝塚って凄い人気なんだなあ〜」と感心すると共にやはりみんな癒しを求めているのだなあとしみじみ思った次第です。極寒の中、長時間並んでまで観劇する情熱が自分にあるだろうかと思わず問うたほどです。彼女たちはその苦労を厭わず朝から並び宝塚公演を観て癒されるのでありましょう。風邪ひかないよう気をつけて!と劇場前を通る度に(心の中で)声をかけておりました。癒しを根性で得ている女性がたくさんいるのです。
エロ漫画おじさんもやがてレジの順番が回って来て、うら若き女子が会計を担当したのですが、それでも恥じらいなど皆無なのです。まあ目の前の商品捌くのに必死だから店員さんもいちいちタイトルなど見ないでしょうけどね。しかし「大量にエロ漫画買うなあ」くらいの思いはよぎるでしょう。レジを終え、両手いっぱいにエロ漫画を抱えておじさんはブックオフを颯爽と去って行きました。おじさんの部屋の本棚にはずらりとピンクの背表紙が並ぶことでしょう。ももいろに染まったこのおじさんをなぐさめるやつはエロ漫画なのです。トシのシャウトとヨシキのツーバスがピンクに炸裂するのです。何というかまあ、「お互い頑張りましょうや〜」というメッセージをおじさんに送りながらブックオフを後にした私です。
みんな何かに癒されながら、救われながら日々を生きているのです。そんなエンターテイメントを私も作らねばなるまいとぼんやり思いながら池袋の街を歩いて帰りました。そんな2019年の年明けです。

猫の頭レンタル

あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願い申し上げます。
ライブやSNSなどでは報告したのですが、わたくし20年勤めた春日部張子を辞めて、2019年から「カマクラ張子」として独立する運びとなりました。張子作家として鎌倉molnを拠点にして活動する他、「貸切り図書館」などのイベント運営や、molnの業務、勿論音楽活動の方も色々精力的にやっていきたいなと思っております。今後共にどうぞよろしくお願い致します。カマクラ張子と地名を片仮名にしてるのは、かつて同じく鎌倉張子という名前で鎌倉で張子を作られていた方がいたので名前が被らないようにしたまでです。決して「高輪ゲートウェイ」に影響されたわけではないのです。まだ名刺も作ってないので活動はこれからという感じなのですが、ぜひハワイよりもグアムよりもコタツよりもぬくぬく温かく見守っていただけたらと思う次第です。
年末はクリスマスライブの後に風邪で喉を痛めてしまい、催事繁忙期なのに大きい声が出せず、船場吉兆のささやき女将くらいの声量で「い…いらっしゃいませ…」と接客していたのでお客さんは何事かと思われたことでしょう。「あたまが…まっしろ…」くらいの声の小ささで対応していたのですが、やがて咳も出るようになり拗らせてしまい大変でした。これでもかとうがいをし、のど飴を舐め、魔法や呪文の類いも駆使して何とか乗り切りましたが、声が出ないというのは本当につらいですね。(船場吉兆のささやき女将がわからない人は動画を検索して下さい。)
咳をしながら寝ているとミル坊が心配してくれるのか布団の上に乗って来るのですが、おかげで寝返りが打てず、腰も痛めるという被害もあり年末年始は大変でした。猫にお正月という概念などないのでしょうが、元旦はミル坊が朝から「今日から新しい年の始まりだよね?ね?」とにゃーにゃー騒いでいて、何となくめでたいような空気がわかるのでしょうか。ずっと猫の手も借りたいくらいの忙しさでしたが、帰宅してミル坊の頭を撫でていると疲れも取れるので、ある意味猫の手というか、猫の頭を借りて乗り切った感じでした。
そんなわけで2019年、どうなるのか全くわからない状況ですが、とりあえず全力で頑張ろうと決意しながらミル坊の頭を撫でています。冬毛でふわふわの決意です。みなさまも良き1年になりますよう。

小さな巣をつくるように 巣巣のクリスマスライブ

イブに巣巣にて行われた山田稔明with佐々木真里、草とten shoesによるクリスマスライブも無事終了しました。巣巣の等々力でのラスト営業日となったこの日はぎゅうぎゅうの満員御礼でございました。たくさんのご来場どうもありがとうございました。
思えば巣巣と出会ったのも山田氏経由で、その後もfwjのライブをやらせて貰ったり、絵付けワークショップをやらせて貰ったりとお世話になって来ましたが、まさか岩崎さんと一緒にバンドを始めるとは夢にも思いませんでした。人生とは面白いものです。巣巣に来る度、良い空気が流れている空間だなあと思ったものでしたが、その空間でのラストライブとあっては感慨深いものがあるのです。
そんな記念すべきライブは草とten shoesの演奏から始まりまして。新曲でもあり今年リリースしたアルバムタイトルでもある「月曜日にさえずる」という曲からスタートしました。思えば2年前の巣巣でのクリスマスライブがこのバンドのデビューだったのです。「その時は持ち曲が2曲しかなくて〜」と話す岩崎さん。増えたものです、レパートリーが。そして次にいきなりゲスト高橋徹也さんの登場です。山田氏から「当日タカテツさん来るから歌って貰うんだよね〜」とライトにこき使う発言が出されたので、我々も乗っかろうと思いお誘いしたのです。彼が提供してくれた「波の音が聴こえたら」を一緒に演奏しました。当日のリハで初めて合わせたのですが、あやはご本人とのデュエットに「エモい〜」と興奮し、タカテツさんも「何かエロいっすね〜」と手ごたえある感じで。本番でもバッチリでした。演奏しつつタカテツさんの歌唱の艶に改めて魅了された我々です。
そして巣巣で初めて披露した「夏はまっしろ」と「猫にしか見えない色」を続けて演奏しまして。思えば今年はひたすら草テンレコーディングの日々だったのです。ミックスの確認をしに上野さんのスタジオへと歩いた夏の風景が思い出されました。
そしてクリスマスということで「モミの木」を合間に演奏し、そこからゲストに高橋久美子さんに参加していただきました。久美子さんとの演奏はほぼぶっつけ本番だったのですが、カホンやシェイカーなど打楽器でバンドをぐいぐい引っ張ってくれました。ひとりのパワーが加わるだけで演奏は変わるのです。最後の「草とテンシューズ」では久美子さんの指揮で客席から手拍子もいただき。盛り上がって終えることが出来ました。岩崎さんも自分の店のラストを自分のバンドの演奏で締められて嬉しかったことでしょう。みんなで最後まで駆け抜けました。
そして続いては山田氏の登場です。山田氏も巣巣との出会いやこれまでの歩みを振り返りつつ、多彩なゲストでステージを盛り上げておりました。まずは近藤研二さんを迎えて、2人で共作したというクリスマスソングを披露してくれました。先日この曲の初披露の様子をディモンシュで見ていたのですが(何と本番前日に完成したそう)、もうすっかりレパートリーとして定着してる感があって流石だなと思った次第です。そして真里さんとの美しいピアノ曲を経て、私も1曲「やまびこの詩」でゲスト参加させて貰いました。数年前に山田氏と私とで共同のイベントをやったなあとか、ゴメスのファーストを振り返るトークも一緒にやったなーなどと巣巣でのあれこれを思い出しながらお客さんたちの輪唱を心地良く聴いておりました。
そして再びタカテツさんの登場です。巣巣でのタカテツさんの単独のライブは実現しませんでしたが、山田氏にライトにこき使われて何回も出演しているので(笑)、同じくらいの縁が出来ていると言って良いのでしょう。最早馴染みとなった「幸せの風が吹くさ」でソウルフルな歌声を披露してくれました。そこにさらにカホン高橋久美子さんも加わって「my favorite things」と来れば盛り上がらないわけにはいきません。この豪華な組み合わせたるや。
そして続いてはイラストレーターの福田利之さんが登場してのライブペインティングです。事前に岩崎さんから福田さんに絵付けしてもらうからと頼まれて私が素材の張子を用意したのですが、ご本人もまさかステージ上で、横で誰かが演奏している状況で描くとは思っていなかったことでしょう。山田氏は「我々の演奏を聞くことによって張子の絵付けがさらに良いものに仕上がりますから!」と、クラシック音楽を聞かせて野菜を育てるのと同じテンションで熱弁するも「それとこれ、同じですかね〜?」と冷静にツッコミを入れる福田さんが面白かったですね。困惑しながらも絵付けをする福田さんと、それを横目に傍らで歌う山田氏というレアな光景を見ることが出来ました。
そして続いてヒックスヴィル中森さんも登場し、ディランの「くよくよするなよ」の永井宏さんカバーバージョンを披露してくれました。前に巣巣で片桐はいりさん、カーネーションの直枝さんらと一緒に草テンで出演した永井さんのイベントでも歌われていた曲です。そんなシーンもあったなあと、さらに巣巣での良き思い出が蘇りました。
そして草テンメンバーもゲストに加わりまして。山田先生書き下ろしの「冬の日の幻」を一緒に演奏しました。初披露したあの日から2年、感慨深いものがありました。そしてここで我々草テンチームと山田氏から岩崎さんにサプライズで贈り物を渡しまして。かねてから村長さんになりたいと公言する岩崎さんに酋長さん(?)をイメージしたレイと花かんむりをプレゼントしたのです。「え〜聞いてなーい」とリアクションする岩崎さん。そうです、教えてないのです。それがサプライズなのです。いつも山田氏が岩崎さんを泣かそう泣かそうと演出するも、本人はあっけらかんと笑ってるパターンが多いのですが、流石に今回は涙がキラリといった様子でした。そんな頭上と胸元に麗しき花を、瞳に小さな湖を浮かべた岩崎さんと共に、彼女の著書から生まれた名曲「小さな巣をつくるように暮らすこと」を演奏しライブは大団円を迎えまして。お客さんのラララ、というコーラスが鳴り響き、とても感動的な空間になっていたと思います。こうして等々力に於いての巣巣の歴史に幕が閉じられたのです。物語だったら「第1章完」「第2章へ続く」というテロップが入るところでしょうか。

終演後にはCDにサインしたり、お花やお土産などをいただいたり(本当に感謝です!)、お客さんと交流出来ました。福田さんの描いた張子も素晴らしく、私がコレクションとして欲しいくらいだったのですが、岩崎さんとのジャンケンに勝ったお客さんへとプレゼントされました。福田さんとは私の作ったリンゴの張子に福田さんがイラストを描くというお仕事でご一緒したのですが、ライブでも共演出来て嬉しかったです。みんなに声をかけられる岩崎さん、そして笑顔に溢れる巣巣の様子を見ながら、このピースフルな光景をいつまでも覚えておこうと誓った私です。まあ等々力での営業が終わっただけで、また新しい地で再開しますしね。来月には商品の売り尽くしのセールもあるようなので、ぜひチェックしてみて下さい。
そんなわけで2018年、なかなかに激動な1年でした。来年もそこそこ激動にして行けたらなと思っている私です。頑張りましょう!それではみなさん良いお年をということで。




師走レス

気が付けば師走なのです。もうすぐ2018年も終わりなのです。本当に早いのです、時の流れは。
今月は貸切り図書館のtico moonさんのライブがあったり、山田稔明with夜の科学オーケストラのライブがあったり、ミルブックス藤原さん宅でのお鍋会があったり、年末の催事の準備があったり、バタバタしているうちに過ぎて行きました。このままの勢いであっという間に新年を迎えるのでしょう。
そんな師走ですが、ソフトバンクによるスマホ決済サービスpaypayが100億円あげちゃうキャンペーンなるものを行うと聞き、100億円くれちゃうの?なら私も欲しいわん!とばかりに早速アプリをインストールし、ビックカメラで家電でも買おうかしら年末にでも!と構えていたらあっという間にキャンペーンが終了してしまい。私のpaypayにはアプリを入れると貰える500円だけがぽつんと残されることとなったのですが、何だったのでしょうかあの騒ぎは。スマホに映る「500円」という表示を見て、これは本当に500円なのか?ただの数字ではないか?と思う一方、そんなこと言ったら財布の中の1000円札も果たして1000円なのか?ただの凝ったデザインの野口英世ポートレートなのでは?と思えて来るので、貨幣ってつくづく概念であるのだなと実感させられますね。野口英世ポートレートで国民が経済を回していると知ったらご本人は何と思うのでしょうか。「え、俺のポートレートで日本人買い物してんの?やだやだ、恥ずい〜!」と思うのでしょうか。ATMや自販機に吸い込まれる己の顔を見て「やだ〜吸い込まれる〜どんだけ〜」とか言うのでしょうか。
以前フィンランドを訪れた際にペットボトルの水1本買うにもカードを使うという徹底したキャッシュレス文化に驚いたのですが、キャッシュを維持するコストや利便性から言っても日本もいずれそうなるよなあとは思いつつも、それをスマホ1本で担うのは大丈夫なのかなあとこの間のソフトバンクの通信障害騒ぎを見るにつけ思いますね。私にしたって音楽聴くのも動画を見るのもラジオを聴くのもスケジュール調整も、電話やメールなどすべての連絡もこのブログを書くのだってスマホを使用しており、そこにさらに財布の機能まで負わせたら「ちょ、俺に頼り過ぎじゃね?も〜どんだけ〜」とパニックになりそうなものですが。最近はチケットもスマホだし、スマホ依存が過ぎるのではとちょっと心配してしまう私です。夏に突然スマホが死亡した時は文字通り何も出来なくて(まず電話やメール、ラインなどの連絡が一切出来ないのがきついです)、全機能をスマホに入れておくのは危険だなとつくづく思ったものです。ある程度機能を分散しておくのが良いのかもしれません。
しかしキャッシュレス文化が定着すると失われるのはお釣りをジャストにする支払い文化でしょうか。1866円の買い物に2416円払うみたいな芸当です。ちょうど今日378円の買い物に533円払ったお客さんがいて実感しましたけど。端数を0か5に落ち着かせる計算厨が世の中にはいるものです。私なんかはレジの前でちまちま小銭を探している時間が嫌なのでパッと紙幣を出してしまい常に小銭が溢れてしまうのですが、キャッシュレスになるとそういうこともなくなるのですね。
あと祝儀に入れるピン札という文化もなくなるのでしょうか。最近は神社の賽銭もICカード対応のところがあると聞きます。ご祝儀もスマホ払いとかになるとピン札に代わる文化が現れるのでしょうか。水引きの絵文字を一緒に送れるとかはありそうですけどね。祝儀や香典をスマホで、みたいなサービスは本当に登場しそうな気がします。色々な文化がキャッシュレス化に変わって行くのでしょう。貨幣が物体化されない世界がやって来るのです。
まあそれにしたって高輪ゲートウェイなるネーミングのダサさたるやです。世の片仮名で後ろに付けるとダサい単語選手権があったらぶっちぎりの優勝がゲートウェイなのではないでしょうか。辺野古埋め立ての件もそうですが、水道民営化だの入管法だの民意が反映されずに様々なことが勝手に決定されて行く世の中がおそろしいです。アメリカ様から戦闘機100機買うなんてニュースを見て「戦闘機が買えるくらいのはした金ならいらない」というブルーハーツの歌う皮肉を思い出しました。阿呆が権力を持つと碌なことになりません。キャッシュレスならぬ阿呆レスな世界になることを願うばかりです。
そんな師走です。猫の可愛さだけが正義です。みなさん風邪などひかぬようご自愛下さい。

sweet december 山田稔明with夜の科学オーケストラライブ

先日は恵比寿天窓Switchにて山田稔明with夜の科学オーケストラのライブでした。たくさんのご来場、どうもありがとうございました。毎年恒例のこのライブを終えると年末だなあと実感しますね。
今回私はベース担当ということで、山田氏と近藤さんが楽し気に演奏するのを背中から眺めながら(これがなかなか良い眺めなのです)、低音をブイブイと奏でておりました。毎回セットリストが直前まで決まらないので、「この辺りの曲はやるだろうな」とだいたい予想して事前に練習するのですが、いざそれらの曲がリストに入ってないと「あの曲は今回落選か…」と少しさみしい気持ちになるものです。落選された曲の肩を優しくポンと叩いて「次回こそ出番があるよ」と励ましたくもなるものですが、まあそもそもコンテストでもないし、曲の肩って何やねんという話なんですけどね。今回はそんなセットリスト会議を勝ち抜いた常連曲に加えて新曲あり、各メンバーの曲をフィーチャーした場面あり、盛りだくさんの内容となりました。
「どこへ向かうを知らないなら〜」で幕を開けたこの日は「太陽と満月」で早くも熱い展開になり。みんなのソロが炸裂しておりました。そして「glenville」を経て恒例のくじ引きタイムになり。バンドの熱い演奏の合間にユルいくじ引きのくだりがあるという、年末特有の緩急あるステージは終始楽しかったですね。
最初にくじを引いた安宅さん賞発表の後には安宅さんのソロ曲披露もあり。久々に安宅さんの歌を聴きましたが、ぐっと来てしまいましたね。山田氏から「上野くんソロ!」という無茶振りがあったのにとっさに対応していた上野さん凄いなと感心してしまった次第です。そして「月あかりのナイトスイミング」「日向の猫」とライブはドラマチックに盛り上がり。ポチが亡くなった後に泣きそうになりながらこの曲演奏したなあ、などと過去を回想したりなどしました。
そしてくじ引きタイムが私にも回って来まして。景品に招き猫のだるまを5個出したのでくじを5枚引いたのですが、今回くじがトランプのカードになっており。カードの色が2種類あるとその場で聞かされたのですが、数字の色と勘違いしたり、「えーとダイヤ?スペード?」と絵柄を混同したり、グダグダしているうちに山田氏が「あーもう俺が発表する!」と代わってくれたのですが、何しろトランプを手にしたのが超久々なのです。カードにまつわるグダグダを許して欲しい私なのです。「トランプって絵柄とかパッと見わかりにくいよね〜」「ねっ、そ、そうですよね!」と後でみんなに慰めてもらった私です。あとダイヤのカードばかりやたらと引かれてたので、あんまりカードを切らずにくじ箱に入れたんじゃないか説が楽屋で流れておりました。まあそれはさておき当たった方はぜひ飾っていただきたく思う次第です。(私が張子作家として独立する話もここの場でさらっと発表させていただきました。)
その流れで草とten shoesの「冬の日の幻」の山田氏によるセルフカバーを披露したのですが、本人が歌うとまた違った雪の光景が浮かびましたね。山田氏から借りたギタレレが良い音で鳴っておりました。キーが違うのにすぐ対応していた上野さん凄いなと感心してしまった次第です。
その後はまた「光の葡萄」「my favorite things」と熱い演奏が続き。くじ引きタイムでは近藤さんによるソロでのインスト曲の演奏もあり。美しいギターの調べにさすが猫町のプリンスと思った私です。続けて演奏された新曲「小さなハートブレイク」「セラヴィとレリビー」はこの日のハイライトだったのではないでしょうか。ラストの「calendar song」を演奏しながら「もう今年も終わりか〜」と1年を振り返ってしみじみしてしまいました。
アンコール時にはサプライズで山田氏へのバースデーケーキが渡され。やたら山田氏が「サプライズとかなしだからね!」と前振りしていましたが、「本当にサプライズあったんだ!」と楽屋でみんなで驚いておりました。
そして再びバンドが呼び込まれ「hanalee」を演奏し、続いて山田氏が景品用のウクレレで「sweet december」を弾き出したのですが、何だか聞いたことないリズムなのです。安宅さんが「あれ?違くない?」という顔をしていたら山田氏も「あ、違うわ!」と気付きやり直すことになり。直前のMCで「sweet december」を毎年レコーディングして後ろに年代を付けようという話をしていたので、近藤さんが「今のは『sweet december2018』だからちょっと違ったのかな」と笑っておりました。くじに当たったお客さんの前で歌ってくれる場面もあり、サービス満点のライブだなあと演者側にいながら感心してしまいました。
終演後には当たった方に招き猫を手渡したり、草テンメンバー全員来ていたのでCDにサインしたりとお客さんと交流が出来ました。お土産などもいただき感謝です。本当にありがとうございました。
山田氏へのバースデーケーキをみんなで食べながら「1年てあっという間だなあ」と実感した次第です。そして12月24日には現場所ではラストとなる巣巣でのライブがあります。山田氏と草テンが出演し、福田利之さんによる張子へのライブペインティングもあるそうです。(張子は私が提供します。)とてもスペシャルな内容になりそうです。こちらもぜひよろしくお願いしますということで。



言葉と音 草とten shoesレコ発ライブ

先日鎌倉molnで行われた草とten shoesレコ発ライブ、おかげさまで大盛況のうちに終了しました。たくさんのご来場をどうもありがとうございました。共演のけものさん、高橋久美子さんと草テンメンバーでセッションなどもさせていただき、とても充実した時間を過ごすことが出来ました。3組で良い空間を作れたのではないかと思います。当日は店内の商品を片付けて機材をセッティングしてリハーサルをして受付をしてドリンクを出して演奏をして物販をして清算をして店内を片付けてとフル回転で、店主業をやりながら演者としてステージにも上がるというのは思ったよりも大変でしたが(転換時のBGMや照明も自分らで操作するのです)、メンバーや共演のみなさんで協力し合って何とかこなせました。しかしまあバタバタでございました。
この日のトップバッターはけものさんで。今回はボーカルの青羊さんと吉田ヨウヘイgroupなどで活躍するギタリスト西田修大さんとのデュオでの演奏でした。青羊さんの歌声は大人の色気とあどけなさが同居していて、とても魅力的なのです。ご本人と話していてもすごく大人びて見える時もあれば、少女のように見える瞬間もあり。そのエレガントな歌声と楽曲の良さが直に伝わる良いライブでした。歌に寄り添う西田さんのギターも素晴らしかったです。(意外に天然な青羊さんにツッコミを入れつつ優しくサポートするお兄さんといった図でした)
続いての登場は高橋久美子さんです。自作の詩をたくさん朗読してくれました。お客さんに鈴などの鳴りものを配って朗読中に鳴らしてもらったり、掛け声を出してもらったり、会場全体を巻き込んでの盛り上がりに朗読とはかくも自由なものなのかと、はっとさせられました。客席にいた西田さんもたまたま小物を手に取って鳴らしていたのですが「わ、今の音良かった!」と久美子さんからピンポイントで褒められておりました。そりゃプロの演奏だから当然です。普段から久美子さんはみんなの良いところを見付けて褒めて引き出してくれる達人で、私の書いた歌詞も褒めてくれたので嬉しかったです。「最初あやさんが書いた歌詞かと思ったら五十嵐さんが全部書いていて驚きました」と私の作家性について言及してくれて「そうなんですよ!全部当て振りで書いているんです!」とテンション上がってしまいました。
そんなテンションで「選ばれし」という彼女の詩にギターと掛け声で参加したのですが、やたら「アーモンド!」と久美子さんと叫び合うという奇妙な図になってしまい(詩の中にそんなフレーズが出て来るのです)、あとであやから「放送事故みたいだったね、良い意味で」と言われてしまいました。放送事故に良い意味などあるのでしょうか。教えて欲しいのです。岩崎さんとアユミさんもピアノと鍵盤ハーモニカで朗読に参加し。事前に曲を作って来たという岩崎さんの演奏は図らずもスティーライヒの如きミニマルな演奏になっており、朗読とマッチしておりました。あやも以前久美子さんと連詩した作品を朗読して、巣巣以来の再演となりました。後半の掛け合いはちょっとラップのようでもあり。この連詩、すごく良いのでどこかに発表して残しておいたら良いのにと思った次第です。青羊さんもこの日のために久美子さんと連詩したものを朗読してくれたのですが、往復書簡のようなリアルな言葉のやり取りがまるで映画のワンシーンのようでとても心に残りました。青羊さんの言葉は都会的というか、東京の風景だなあといつも思うのです。(東京への憧憬と言えば良いのでしょうか。)貴重なセッションを見られました。
そして草テンですが、あやの緊張が半端なく(知り合いが多数近距離で見ている状況なのです)声も震えがちだったのですが、お客さんのあたたかい応援によって徐々に落ち着いて来て、何とかアルバム全曲と新曲も披露出来ました。もう何と言うかお客さんに感謝しかなかったですね。無茶振りで数曲、久美子さんに鳴りもので参加してもらったのですが、リズムが入るとこんなに演奏しやすいのかと思いながら楽しく演奏出来ました。(元チャットモンチーのドラマーにリズムを取ってもらうだなんて!)タカテツさんにいただいた「波の音が聴こえたら」も鎌倉で演奏出来て良かったです。
終演後はまたバタバタと片付けして記念撮影して打ち上げして店内を片付けて帰りました。打ち上げで青羊さんがレモンハートというお酒を飲んで「ちょっと強いお酒で酔ってしまいました」と顔を赤らめている横で岩崎さんが「大丈夫?」とお世話をしている様が姉妹のようで、普段から青羊さんが岩崎さんを慕っている様子が伝わって来て良い関係だなーと思って見ておりました。
草とten shoes、次回のライブは12月24日巣巣にて山田兄さんとご一緒します。何と福田利之さんによるライブペインティングもあるそうで。そちらもぜひお願いしますということで。





梅田エレガントガール

突然ですが、仕事で大阪に来ています。デパートの催事で1週間滞在しているのです。デパートの閉店が20時(金土は21時)なので、終わってからどこかに遊びに行くこともなく(初日にディスクユニオンには行きました)、まっすぐホテルに帰って草テン台湾ツアーについてブログに書いたり、GYAOM-1グランプリの準々決勝の模様を視聴したりして過ごしています。大阪にいるのに毎日台湾のことを書いているのも不思議な感じだなと思ったのですが、台北の雑多な雰囲気が梅田の街に似ているのですよね。街の作りとか人の流れとか匂いみたいなものが。梅田の街を歩きながら台北の街の空気を思い出し、せっせとブログを書いておりました。誰からも頼まれてない旅のレポートですが。自分で自分に頼んで書いているのです。ぜひ初日のSっ気女教師レイコのくだりから全日分読んでいただきたく。
デパートでは毎日社食でお昼を食べているのですが、今日レジで私の後ろに並んでいた20代くらいの女子が、定食のサラダにドレッシングをかける際に自分の洋服の袖がみそ汁にポチャンと浸かったのを目撃してしまい。女子の服によくある、袖がびろーんと広がったエレガントなデザインだったため、その端っこがみそ汁にダイブしてしまったのです。エレガントがあだになるパターンです。「もしもし、袖がみそ汁に浸かってますよ」と注意しようかと思ったのですが、周りに人がたくさんいたし、その子のドジっぷりを周囲に披露するのも何だしなあなどと思っているうちに会計の順番が来てしまい。「注意すれば良かったかなあ」と思いつつ会計を終えて空いているテーブルに己の頼んだチキン南蛮定食を置いて食べ始めていたら、その子が何と私の目の前にやって来て着席し。もぐもぐとチキン南蛮定食を食べ始めたのです。さっき自分の袖がみそ汁に浸かっていたのまだ気付かないのかしらと思いながら見ていると、その子はスマホをいじり出し。ラインなどしながら食べているのです。「集中して食べなさい。だから袖がみそ汁にダイブしたことにも気付かないのよっ」と私の中のお母さんが登場し心の内に注意していたのですが、彼女はマイペースにスマホをしながら食べているのです。そうこうしているうちに5分は経ったでしょうか。彼女が何かの動作の際に自分の袖が濡れていることに気付いたのです。はっとする彼女。急いでバッグからハンカチを取り出し拭きながらもエレガント袖を鼻に近付けてクンクンと匂いを嗅ぐ彼女。「こ、これはみそ汁っ!?」とそこで初めて気付いたのです。己のエレガントがみそ汁まみれになっていたことを。袖がみそ汁に浸かったのに気付くまでのタイムを争う競技があったのならおそらく彼女は最下位であったことでしょう。鬼太郎の目玉の親父がお椀風呂に浸かるくらいの浸かりっぷりだった彼女のエレガント袖にはみそ汁のみそと出汁が吸われ、いい味わいになっていたに違いありません。ハンカチで袖を拭きながら、スマホをいじりながら、引き続きチキン南蛮定食を食べる彼女。その所作は妙にエレガントでありました。私は心の内に「すぐに注意しなくてゴメン」と謝り、チキン南蛮定食を完食し、テーブルを後にしました。
エレガント袖の女子のみなさん、みそ汁ダイブにはくれぐれもお気を付け下さい。以上、梅田からの報告です。