くちびるアラート、6月の赤

6月も後半に差し掛かり、越境移動も解禁されいよいよ街にもたくさんの人の行き来が見られるようになりました。マスクをしている者、マスクをアゴにかけている者(飛沫がアゴから出る特殊能力の持ち主かと毎回ツッコミたくなりますが)、マスクをせずに闊歩する者、様々ですがこのままだと第二波も必至かもなあと観光客で賑わう鎌倉の様子を見ながらぼんやり思ったりしています。経済を回さないと生きて行けぬので社会が通常モードに戻るのは歓迎でありつつも、どこかまだ違和感を拭えぬ己がいます。東京アラート解除後に感染者数も増加していますしね。そもそも都庁とレインボーブリッジを赤く灯して東京アラートって何やねんそれという話ですけどね。それっぽい名前付けりゃ良いってものではないでしょうに。こちとらそもそも売り上げ減って赤字だし、泣いて腫らした目は真っ赤だし、自身の身体に流れる赤い血潮をたぎらせながら必死に生き抜き決死の思いで日々赤い夕陽の到来を迎えているのです。私アラートは赤く発動しっぱなしなのです。女帝のアピールで赤く光らせてくれなくても充分赤いのです。「自粛要請するなら補償せよ」と赤いルージュの伝言を残したいくらいです。緩和は歓迎だけど本当に緩和して大丈夫なのかと懐疑的でもある微妙な心持ちのままです。

それにしてもアベノマスクを着用している者を街で一切見かけないという不思議さです。全世帯に配ってこれだけ世の中で目撃されないなんてことあるのでしょうか。部屋の片隅にそっと放置された無用の極みたるアベノマスクという名の我々の税金。その税金を他の用途に使えばもっとコロナ禍対策に役立てたのではと思いながら未開封のアベノマスクにホコリが被るのを見ている私です。ご本人は一応ホコリを持って配布したのでしょうけどね。
ところで赤いルージュといえばマスク着用が当たり前の昨今、口紅の売上げが不振というニュースを目にしました。確かに口周りは隠れて見えないから塗っても無駄だし、塗ったところでマスクに付着しますしね。でも逆にいざという時の勝負として口紅の価値が上がりそうな気もしますけどね。心を許す者だけに開放される口許。そこにしっとりと塗られた真紅のルージュ。このくちびるアラートを消せるのは貴方だけよと耳元で囁かれてくちびるへの接触を抗えぬ者がいるでしょうか。マスクの下に赤いくちびるを隠し持つレディが伝家の宝刀を抜く時。きっと恋のアラートが鳴り響くのでしょう。
そういえばたまに来るお客さんで片方の耳が聞こえにくい女性がいて、なるべく大きな声で接客するようにしていたのですが、先日なかなか言葉が伝わらない場面があり。その時はマスクをしていたのでひょっとしてと思いマスクを外して会話したらスムーズに通じるようになりました。その方は相手のくちびるを見ながら話を理解していたのですね。よく手話を使う方も手の動きと同時にくちびるの動きを読みながら理解すると聞きますが。マスクをしていると読唇術を使えないという弊害があることに気付きました。我々は言葉だけでなく顔の表情や口の動きでコミュニケーションを取っているのですね。目は口ほどに物を言うとは言いますが、口許も言葉ほどにメッセージを伝えているのです。
先日長らく自粛していた外食も久々に解禁し、知り合いと馴染みの店でワインなど飲んだのですが、お店で酒を飲み食事をして人と会話することがこんなにも豊かな時間なのかとはっとさせられました。我々が自粛をしている間に閉めてしまった飲食店もたくさんあることでしょう。なるべく無理のない範囲で行くようにしようと思った次第です。マスクのないコミュニケーションは心の距離を近づけるのです。

戻ったようで戻っていない、これまでと違う世界に生きている自分らを改めて実感している6月です。そして口許に意思を持って発信しなければ。我々の税金が勝手に企業に中抜きされたり権力者に私物化されたりしては堪りません。顔を真っ赤にして怒るべきなのです。ミル坊ココ坊を撫でながら赤ワインを飲みつつ思う私です。f:id:fishingwithjohn:20200623093556j:image
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世界一小さな王国、レプラコーンと猫と

違和感を伴いながらも日常が戻りつつあるこの頃ですが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。正確には以前と同じではなく「新しい日常」なんでしょうが。先日2ヶ月半振りに電車に乗り、4ヶ月振りに散髪したのですが、普通に電車は混んでいるし、みんな街を出歩いて社会が回っている様子に面食らった次第です。4ヶ月も切らなかった髪の毛は塊となって床に落ち、それはまるで1匹の独立したけもののようであり、コロナが生んだ新しい生き物のように見えたのですが、緊急事態宣言解除を機にそこかしこで髪の毛残骸クリーチャーが増えていることでしょう。そこそこ混んでいる電車に乗りながら、通勤の方は毎日満員電車で大丈夫なのかしらと心配になった次第です。夜の街ばかり攻撃されていますが、昼の電車に乗った人が夜の街に繰り出すのではないのでしょうか。みんな自宅から夜の街へ瞬間テレポートされるわけでもないのに。
日頃からミル坊とココ坊のことを書く機会が多いのですが「ミル」とタイプすると必ず「・エンズ公園」と予測変換が出て、我がアイフォーンはなぜに毎回その公園を推すのかと興味を持って「ミル・エンズ公園」で調べてみたらアメリカはオレゴン州ポートランドに実在する公園でした。直径約60.96センチメートル(2フィート)の円形で、ギネスブックによって「世界一小さな公園」に認定されているのだそうです。もともと街灯の台座として作られたけど実際には街灯は立てられず、街灯を埋め込む穴だけが残され、その穴に『オレゴン・ジャーナル』誌のジャーナリストだったディック・フェイガンが花を植えたのが公園の始まりなのだそう。フェイガンが『オレゴン・ジャーナル』誌で担当していたコラムの題名にちなみ、公園は「ミル・エンズ」(Mill Ends、「必要素材の切れ端、端材」の意)と名付けられたとのこと。
ある時フェイガンがオフィスの窓から外を眺めていると、台座の穴の中をせっせと掘るレプラコーン(アイルランドに伝わる妖精)が目に付き、彼は慌てて下りて行きそのレプラコーンを捕まえた。(レプラコーンを捕まえると願いが叶うとの言われがあるため)。フェイガンは自分だけの公園が欲しい、とレプラコーンに願った。しかし自分の望む公園の大きさについては何も伝えなかったため、レプラコーンはこの小さな穴を公園としてフェイガンに与えたのだ、と。これ以降約20年間にわたり、フェイガンの風変わりなコラムにはたびたびこの「公園」とレプラコーンの親方(「パトリック・オトゥール」と名付けられた)が登場することとなる。(以上、ウィキペディアより抜粋)。

妖精から与えられた世界一小さな公園の名前と猫の名前が被り、予測変換に毎回名前が出て来るだなんて何かの縁かもしれないと思い、公園の花の画像などをあれこれ見ていたら実際にこの公園を訪ねてみたくなりました。この公園はその後移設されたものの現存するとのこと。世界一小さな公園を訪ねる旅だなんて素敵だなあと思うのですが、コロナ以降、いつ旅に出れるのかもわかりません。取りあえずリモートで公園に想いを馳せながらミル坊を撫でています。思えば家猫は家の中だけが世界なので、みんな世界一小さな王国で過ごしているようなものだなと思ったりします。世界中の猫たちが小さな王国で幸せに過ごしてくれることが私の願いです。レプラコーンがいたらそう伝えることでしょう。

日本では妖精が公園を与えてくれるどころか、要請要請ばかりで10万円もなかなか与えてくれません。ここは電通パソナの王国なのかと見紛うばかり。世界一小さな王国こと自宅で猫たちを撫でながら細々と暮らしています。そんな6月です。

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ここがミル・エンズ公園です。

掃除機delete

気が付けば6月になってしまいました。

緊急事態宣言が解除となり、閉まっていたお店もぼちぼち開き出し、街に人出も徐々に戻って来ていますが、月が変わって急にウイルスがなくなったわけでもないし、非日常をまとったまま日常を生きている妙な感覚が続いています。

本当なら今頃molnの買い付けでラトビアリトアニアスウェーデンを旅しているはずなのですが、旅の予定はすべて白紙になりました。手帳に書かれた予定がまるでパラレルワールドのように見え、ここに記された世界では自分は何をして何を思っているのだろうかと想いを馳せたりしています。田圃からごっそり刈り取られた稲のようにdeleteされた予定。その稲は米になるわけでもなく6月の景色に霧散するだけなのです。
この頃は家にいる時間が長いので掃除をまめにするようになったのですが、長年使用している掃除機が劣化したのか急にゴミを吸わなくなり。吸引力がジャイアンにいじめられるのび太の如く弱くなり使い物にならなくなったのです。「ドラえもん〜掃除機の吸引力を強くする道具出してよ〜」と懇願したくても家には肝心のドラえもんがいませんし。仕方なくテテレテッテレー(えもんが道具出す時のジングル)と日本銀行券を己のポケットから颯爽と出し、ダイソンの掃除機を新調したのです。漢字読めないでお馴染みの麻生くんが「給付金渡しても貯金されちゃうだろう〜」とスネ夫の如く口をひん曲げて言ってましたが、こうして使って経済回してやってるぞ!早く10万円寄越せ!とジャイアンの如く荒れながらおニューの掃除機を手にしたのです。まだ見ぬ彼方の10万円を夢に想いながら。
いざ到着したダイソンの掃除機は色味がウルトラマンの如き様相で、構えると光線銃のようでもあり。青と赤に彩られたそいつは自宅で異彩を放ち、取り敢えず部屋の片隅に置かれ、まずは充電されることになりました。3時間半充電すれば使えるとのこと。そして満を持してのお掃除タイム。吸引力の下がった旧掃除機に慣れていたのもあり、格段の吸引力でどんどんゴミを吸って行くダイソンに惚れ惚れな私。スイッチをMAXモードにするとさらに吸引力アップなのです。猫たちの毛は勿論、ウイルスも吸ってくれそうな勢いです。「おお!これは凄いぞ!」とMAXモードで次々とゴミをやっつける私。その勇猛果敢な姿はウルトラマンもかくや。出たぞ必殺ダイソンキック!ダイソン光線!と興奮する私。しかし5分ほどしたでしょうか。「シュ〜ン!」とダイソンくんは唐突に力尽きてしまったのです。「え?もう充電切れ?」と余りの早さに二度見する私。ようよう説明書を見ると3時間半の充電でMAXモードだと使用時間6分と書かれているではありませんか。「ろ、ろっぷん?」と私は驚愕し、3時間半の充電で6分しか持たないってどんだけ〜、短か過ぎ〜、外車並みの燃費の悪さ〜、マジ卍〜と引いたのですが、平常モードだと30分は持つのです。常に平常モードで使用し、手強いゴミの時だけMAXモードにすれば良かったのです。ウルトラマンのカラータイマーは3分なので、MAXモードは2人分と考えるしかありません。仕方なくその後また3時間半充電し、今度は平常モードで掃除をし直しました。ちょこちょこ使う分には30分なら大丈夫そうです。猫たちの毛が生え変わる季節なので吸引力のある掃除機は必須なのです。ただミル坊ココ坊はダイソンくんを怖がってシャー!と威嚇しておりました。君らの毛を吸ってくれるのだぞと諭しても彼らはキョトンとするばかりです。給付金の一部はこうしてダイソンに消えました。まだ実際に10万円貰ってないので前払いですが。
壮大なる税金の無駄遣い、不要の極み、人類史上稀に見る超弩級の愚策にして笑いものとして後世に名を残すであろうアベノマスクがポストに届き、何だかなあと思っています。その役立たずっぷりに我々はキョトンとするばかりです。寧ろ次々と安部政権の悪事と不手際が発覚しシャー!と威嚇したいくらいです。ダイソンで一掃出来ないものかと思いながら猫たちの毛を掃除しています。
そんな6月の始まりです。きっと霧散した予定を何かで埋めながら過ごすのでしょう。粛々と。f:id:fishingwithjohn:20200609173732j:image
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名前のない5月

長いのか短いのか、よくわからない早さで日々が過ぎて行くのです。もう5月も終わるのかと思うのと同時にまだ5月は終わらないのかと思ったりしています。そんな感覚に慣れて来ている自分もいるのです。名前の付けようのない時の流れ。
最近は毎朝ラジオ体操と筋トレを習慣にしていて身体を動かすようにしているのです。ラジオ体操を久々に行うと身体が動きを覚えている部分と「あれ、次は何だっけ?」と迷う部分とがあり、最初は戸惑ったのですが段々慣れて来ました。30年近いブランクがあるのに動きをまだ覚えている辺りにラジオ体操のフォーマットの普遍さと強靭さに驚くばかりです。まだコンビだった頃のバカリズムにラジオ体操をベースにした「ラジオ挫折」というネタがあり、「腕を前から上にあげて大学受験に失敗~」という発声から体操が進むに連れ主人公がどんどん挫折し堕落し、いよいよ借金をするくだりで「正面から受け取るっ!」という威勢の良い掛け声がかかるのですが、いつもその掛け声を思い出しながら体操をしています。バカリズムの相方だった彼はあのネタの中で挫折から立ち直れたのでしょうか。正面からお金を受け取る哀愁ある動きを未だに思い出してしまいます。初期バカリズムの名作。
それでもずっと家にいると運動不足に陥り体重も増加の一途をたどり、毎日体重計に乗りながらその数字の増加に「オーマイガー」などと発したりしています。人の重みが地球に負荷を与える影響は如何程か。このコロナ禍で人類全体の体重は確実に増えたことでしょう。家にずっといると食べることが大きなエンタメになるので3食に気合いが入るのです。酒場にも行けないので自宅酒場や近所の川べりへ出掛けて川Barを開店したりしています。出掛けた帰りに歩きながら酒を飲む帰路Barというのもバリエーションとして。自宅で飲み過ぎて体調を悪くするというよろしくない日もたまにあり、ストレスを酒で回避するのもほどほどが良いのですが。
髪の毛もすっかり伸び、電車に乗って遠方の美容室に行くことも難しいので、伸び切った髪の毛を「野ブタをプロデュース。」の亀梨くんの如くヘアゴムで結んで過ごしているのですが、いざ鏡を見ると亀梨くんとはほど遠いしょぼくれたおじさんがそこにいるので「嗚呼、なぜ私は亀梨くんではなくて五十嵐くんなのだ」と愕然としています。青春をアミーゴする心意気だけはあるのですが。コロナの分だけ伸びた髪。そんなフレーズを歌う者がいても良いような。
アベノマスクは相変わらず届かないし、アベノセイサクは後手後手で保身のやめには迅速に動くという姑息っぷりを発揮し続けており、もういちいちニュースを追うのも疲れるのですが、このコロナ禍がなければ未だその姑息をしれっとブーストさせ続けていたのかと思うと、ある意味良い機会ではなかったのかと思ったりもします。姑息が具現化された存在が国のトップにいて今は有事真っ只中。控えめに言って最悪ですが、我々はタフに生き延びなければならないのです。芸術、文化を愛しながら。
先日上野さんにお願いしていたfishing with johnの曲のミックスが届き、長年完成していなかった曲が完成した喜びを味わっているのですが、最初にベーシックを録ったのが8年前とかなので、1曲作るのにどんだけかかっとんねんと改めて思った次第です。しかし上野さんのミックスによりとても良いものに仕上がり嬉しい限りです。他も良い曲が上がって来ているので、ぜひリリースにこぎ着けたいのですが。
元より細々だったカマクラ張子業もコロナ禍の影響で細細細々々々になったのですが、それでもせっせと働く日々です。先日はいつもお世話になっているミルブックス藤原さんから依頼され、NegiccoのMeguさんへの贈り物のオリジナル招き猫をお作りしたところ、Meguさんご本人がツイッターで紹介してくれました。Meguさんが立ち上げたオリジナルブランドのロゴを入れた特製招き猫なんですが、Negiccoファンの方々にも好評をいただきました。Negiccoの楽曲は好きで聴いてはいたもののあんまりアイドルという認識はなかった自分ですが、今はMeguさん推しでそこんとこよろしくな己がいます。
猫を撫でながら「佐々木、佐々木」と鳴き続ける佐々木バードの声を聞きながら5月を終えようとしています。暑かったり寒かったり服装に迷う月でしたが、みんなあらゆることに迷っているのでそんなものかと思ったりしています。今までにない不思議な5月です。

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猫カレンダー、毛繕う日々

気が付けばGWも終わっておりました。ほぼ自宅にいたし、これからもほぼ自宅にいるので何ら生活に変わりはないのですが、何となくひと段落と思ってしまうのは自粛要請が当初GWまでだったからでしょうか。結局要請は5月末まで延長になりましたが(自粛を要請するという言葉自体おかしいし、それを延長するというのもおかしな日本語ですが)、何を根拠に末までなのかわからぬのです。結局カレンダー上で区切りが良いからということなんでしょうか。人様はカレンダー上で動かされている生き物なのだなとつくづく思わされますね。カレンダーから削除され文字通り白紙になった中身のない思い出を抱えて我々は5月を過ごさねばならないのです。

近頃ココ坊は私の背中に乗り私の髪の毛をぺろぺろと舐めて来るようになったのですが、毛繕いのつもりなのでしょうか。「ゆうくん、毛を繕って上げるね!(ドヤ顔)」という感じなのでしょうか。髪の毛も切りに行けないのでかなり伸び切っており、舐めるのも大変でしょう。このままココ坊を肩に乗せ旅にでも出たい気分ですが、それもかなわないのが残念です。猫たちも我々が家にいる時間が長いので、より親密になっている気がします。喉をゴロゴロ鳴らす音は世界一幸せなサウンドではないでしょうか。動物に身を委ねられるというのは人類が信用を得られたというような感覚で、えも言われぬ感動があるものです。世界中の猫よ、その喉を鳴らすのだ。
ブックカバーチャレンジというものがインスタで回って来て、この手のバトンを誰かに強いるのも何だしと思い次の人には回さずに7日間1冊ずつ本を紹介したのですが、日頃インスタにはミル坊ココ坊の姿かコレクションしている猫ジャケレコードの写真くらいしか載せていないので、本の方も猫縛りにしました。猫が表紙に載っている、タイトルに猫が付いている本です。気付けば本棚には猫の文字がたくさん並び、自然と好きな物を手に取ってしまうのだなと思ったのですが、改めてそんな猫の本を読み返したりしています。傍らに寝ている猫を撫でながら猫の本を読み、猫ジャケのレコードを聴いているとただただ猫に満ちているな自分は、と気付かされます。猫に満ちるための人生。猫風呂があればそこに浸かりたいくらいです。みゃあみゃあと鳴かれながら。引っ掻かれて「痛っ!」などと言いながら。
自分のソロユニットであるfishihg with johnのアルバムを作ろうとここ10年くらい作業しているのですが(出す出す言い続けて出す出す詐欺みたいになって久しいのですが)、いよいよ出せそうな雰囲気が漂って来ました。気配を感じるのです。そっと近付く猫のような静けさで。ただただ一心に毛繕いをする猫のようなテンションで作業をしています。こんなに時間をかけてアルバム作る人っているのだろうかと思いながら6年前に作ったトラックに音を重ねたりしています。6年前の自分も驚いていることでしょう。この曲まだ完成してないんかいと。他の方とコラボしてすでに出来ているものもあれば、まだ頭の中だけで鳴っているものもあります。現在草テンの録音でエンジニアをしていただいた上野さんにリモートでミックスをお願いしているものもあります。それこそ猫がひょっこり顔を出す感じで出したいと思ったりしています。どうせなら可愛く顔を出したいものですが。にゃあなどと鳴きながら。
長いような短いような、曜日や時間の感覚もあやふやになりつつあるこの頃ですが、猫のカレンダーってそんな感じなのかもしれません。取りあえず白紙の日々に何かを記しながら生活しています。そんな5月です。

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5月バード、森の入り口

気が付けば5月になってしまいました。いつもならGWということで忙しい時期なのですが、今年は閑として時雨です。聞こえるのは閑古鳥のラウドな鳴き声ばかり。非日常の中の日常をいつもと変わらず生活しているのですが、非日常であることをふとした時に感じ、栞を挟んで日々のページを繰る手を止めたりしています。休むということはかくも力を必要とするのか。

私の家は細い道をかなり奥に歩いた果てにあるので、いつもなら近隣の住人か宅配の人しか来ないのですが、最近は見知らぬ親子連れや夫婦や単身者が迷い込んで来るようになりました。みんな散歩やジョギングなどで近所を徘徊するしか楽しみがないので、いつも歩かない新鮮なルートを辿って来るのです。「あー行き止まりなんだー」とか「この道ここまで伸びてるんだねー」とか「トトロの森みたいじゃん」などと会話が聞こえたりします。家の裏側は深い森のようになっているのですが、他人にはトトロの森のように見えるのか、それは何だか嬉しいと新たな発見をしたりしています。自分も普段歩かない見知らぬ住宅街を歩いたりするのですが、「この家のデザイン素敵だな」とか「庭の花綺麗だな」とか感心したり、自転車の数と洗濯物から「ここは4人家族で子供は小学生だな」とか家族構成をプロファイリングしたりして楽しんでいます。散歩がこんなエンタメになるとは。こちらも新たな発見がありました。

トトロといえば主人公の名前がサツキとメイでどちらも5月なのです。春と夏の狭間のちょうど良い気候で、こんな過ごし易い季節を名前に持つのは気分が良いに違いないと五月晴れの空を見ながら思ったりします。ファーストサマーウイカというタレントの名前の由来は本名の「初夏」を英訳したものに本名を足したものらしいですが(寺門ジモン方式らしいです)、メイ五月みたいなことでしょうか。名前にファーストサマーが入っているだなんて物語性があって素敵だなと思ったりします。
最近は近所の川べりに降り立ち、せせらぎを聞きながら橋の上の木々を眺め酒を飲むという通称「川Bar」を楽しんでいます。橋の下に降りると視点が変わるので、下界に移動したような気分で新鮮なのです。村上春樹の小説に深い井戸に降りて思考する描写がありますが、こんな感覚なのかもしれないと思ったりします。川べりで木々や鳥を観察しながら酒を飲むという小粋なエンタメを得ています。
鳥の鳴き声といえば一定のリズムでピピピ、ピピピと無く子がいて、それが「佐々木、佐々木」と聞こえ始めたら佐々木以外の発音に聞こえなくなり、「今朝も佐々木バードが鳴いているな」と思うようになりました。佐々木はあやの旧姓なのですが、あやへ呼びかけているのだろうかと窓の外を見るのですが姿は見えないのです。あやにしかわからないメッセージを放っているのでしょうか。いつか佐々木バードの姿を確認してみたいものです。
ミル坊ココ坊がわちゃわちゃと動く様を見ながら「佐々木、佐々木」という鳴き声を聞いているとここは日常なのか非日常なのかよくわからなくなります。豊かではあるが不自由。そんなサツキにしてメイを過ごしています。

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猫たちのディスタンス

気が付けばもう4月も後半、もうすぐGWに突入なのです。自粛生活していても以前と同じように時は過ぎるし、猫は可愛いのです。社会の歯車に微小な異物が挟まりギシギシと軋んでいるのに、以前と同じように回ろうとしている違和感を覚えながらも猫は可愛いので毎日これでもかと撫でています。可愛いという絶対の価値観が可視化された生き物であるなと実感するこの頃です。みなさんいかがお過ごしでしょうか。

映画やドラマを見ていても「わ、濃厚接触してるよ!」「三密になっちゃってるけど大丈夫?」「ソーシャルディスタンスを保って!」と若干の違和感を覚えるようになっている自分がいて、もうこれからの生活スタイルや価値観をウイルスありきで変えて行かねばならないのだなと思ったりしています。ソーシャルディスタンスという言葉を目にする度にアルフィーの「星空のディスタンス」を思い出し、「もーえあがれ、あーいーのレジ〜スタ〜ンス〜!」と私の心の中の桜井が熱唱してしまうのですが、あの歌は今の時代の距離感を先取りしていたのでしょうか。アルフィーの3人も2メートル間隔で立たないといけないので、ステージワークがやりづらくなりそうです。「星空のディスタンス」を久々に聞きたくなりサブスクで探すもさすがにアルフィーさまも45年も活動してると色々なバージョンがあり、ライブバージョン、バラードバージョン、新録バージョンとざっと確認しただけで5種類くらいあり、オリジナルバージョンを求めてしばしサブスクの海を航海したのですが、この3人は愛のレジスタンスを燃やし続けているのだなと感心してしまった次第です。(後で調べたら9バージョン存在するそうです)。
今流行りのズーム飲み会というものをあやがやっていて、私も横にいるので映り込んだりして「ウェーイ!」とかやったりしているのですが、未来だなあと思ってしまいますね。人は何かしらの手だてを使って繋がりたい生き物なのです。まあ我々のような酒飲みは単に飲み会がしたいだけであって、そんな高尚なものでもないのかもしれませんが。リモートで酒を飲んで会話することは可能ですが、酒場独特の雰囲気とか店主とのやり取りとか、「次はこれ頼もうかな」という選択とか、何より美味しい肴を目の前で出してくれる喜びは生まれないので、やはり酒場に行きたい欲は消えないですね。喫茶店とかもそうですが、場所や空間の大切さも実感しているこの頃です。場所に集まるという行為の崇高さよ。吉田類も放浪出来なくてうずうずしているのではないでしょうか。自分がよく行く酒場は休業しているのか、情報を探すも大衆酒場はSNSとかホームページとかもないし、そこに出入りするお客さんもSNSをやっていない例が多く、あの店大丈夫かなあとあちこちの場所に想いを馳せながら自宅で酒を飲んでいます。休業を要請するならきっちり補償もしてくれないと!国は何やってるんだ!と、結局政治不信に落ち着くので精神上よろしくないのです。史上稀なる愚作であるマスク2枚配布は完遂さえ出来ていないという体たらくだし(結局利権か、と我々は何回失望すれば良いのでしょうか)、このまま延々と中途半端な自粛要請だけでは感染拡大防止も出来ないし経済も細るし、何だかなあと沈没する船の上で星空のディスタンスを見上げている私です。
それでも毎日物を作って何だかんだ忙しく過ごしています。通販が出来るというのが我々物を売る人間にとって命綱になっています。本当に物流に携わってくれる方々には感謝しかありませんね。自分に出来ることを粛々としていくしかないなと思いながら猫を撫でています。毎日あやとミル坊とココ坊が3匹寄り添っている光景を見ていると、うちのアルフィーはこのディスタンスで良いのだなとほっとします。自粛生活が続こうとも猫は可愛い。それは絶対変わらないのです。

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