物語に寄り添い、鳴る

fishing with johnの新譜をリリースしてひと月が経ちました。聴いてくれた方々から色々感想などもいただいているのですが、小説家の小路幸也先生からお褒めの言葉をいただいたのが嬉しかったですね。小路先生は昔からfwjの音楽を聴いてくれていて、執筆のBGMにも流してくれているそう。物語の生まれる背景に自分の音楽が鳴っているだなんてこんな光栄なことはないです。

時間も出来たのでその小路先生の「東京バンドワゴン」シリーズを読み返したりしているのですが、このコロナ禍に於いて意識はしてなくても心が疲弊しているのか、優しい物語を求めている自分がいるのです。そんな自分の心ににすいすい染み込んで来るのです、この物語が。下町で古書店カフェ「東京バンドワゴン」を営む四世代の笑いあり涙ありの大家族物語なのですが、こんなお店あったら通いたいよ〜と思っているうちに私の中ですでに実在のお店としてイメージされてしまいました。数年前に亀梨くん主演でドラマ化もされていて、それも毎週楽しみに見ていたのですが、その映像とはまた違うお店が自分の中で出来上がっているのです。そのお店で鳴っているBGMは勿論fishing with johnです(笑)。小路先生自身が執筆中のBGMにしていたと仰っているので、あながち間違いではないのです。頭の中でバンドワゴンに来店しては珈琲を飲みながら古書を眺めています。物語に浸るというのも癒しのひとつなのではないでしょうか。
作中に登場する伝説のロッカー我南人は勝手に頭脳警察PANTA辺りをイメージしていたのですが、ドラマ化された時には玉置浩二が演じていて、玉置さんくらいの歌唱力を持った大歌手なら伝説に留まらず現役バリバリで活躍してるんじゃないかと思ったものでしたが、圧倒的な歌唱力で説得力がありましたね。常連客のイケメンIT社長の藤島は西島秀俊をイメージしていたのですが、実際演じたのはV6のイノッチで、うーんまあイケメンということで良いのかなジャニーズだしと、ごにょごにょ思ったのですが、映像化って読者毎に脳内キャスティングされてしまっているから難しいですよね。あのドラマ、もう一度見てみたくなりました。他のキャストもみな魅力的でした。
fwjはインストなので作業しながらとか、散歩やドライブなどの移動中のBGMにも寄り添えると思うのですが、聴く人によっては何かのストーリーや絵が頭の中に思い描かれるかもしれません。見ている風景や思考に何かしらの光やヒントを与えられたら良いなと思っているのですが、単純に心地良いなあくらいの感想でも嬉しいのです。言葉のない音楽なので、色々な聴き方をしていただきたく思っております。それこそ読書のお供にも良いのではないでしょうか。家にいる時間も増えそうなので、私ももう少し本と向き合う機会を作りたいなと思っているこの頃です。
fishing with john新譜「14.8℃カマクラ」絶賛発売中です!

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有楽町、冷静と情熱のあいだ

年末からずっと張子業で忙しく、fwjの新譜リリースも重なり、馬車馬の如くひーひー言いながら働いていたら2021年になっておりました。新年も明けて10日ほど経ち、ようやく自宅の大掃除に取りかかれるくらい何とか落ち着きました。まあ自分が落ち着いたと思ったら世の中の方がまた落ち着かない状況になってしまっているんですけどね。

元旦から3日までは帝国ホテルの催事に出ていたのですが、東京の感染者数が莫大に増えたのもあり、宿泊のお客さんも例年より減っていたようですね。我々出店者も数が減っていましたし、小さな規模で日々感染対策に気を付けながら仕事をしておりました。
参加者は全員朝と夜の2回検温をして記録するのですが、ピッと身体に当てるだけで一瞬で熱が計れるシステムは凄いですね。あれを目の当たりにすると、昭和の時代に水銀の体温計を一度振って熱を下げてから脇に差し込んで数分待ってようやく己の体温を知れたあの一連の儀式は何だったのかと思いますね。これまでの人生で蓄積して来た「一連の熱を計るまでの時間」をまとめたら映画1本分くらいあるんじゃないか、その時間で見るなら何の映画かしら、「冷静と情熱のあいだ」かしらなどと想いを巡らせてしまった私です。(冷静と情熱のあいだってちょうど平熱って感じですよね。)
大型施設の入口にもその場に立つだけで熱がわかるシステムが導入されてますが、あれって体温じゃなくてその人の年収とか容姿の点数とかが出て来ると思うと嫌ですね。「え、俺の容姿って65点だったの?」とか。「次回は身体を鍛え上げて70点超えてやるぜ!」とか。いずれにせよ己の身体にまつわる数値が目の前に表示されるってそんなに気分の良いものではないなと思いながら検温されておりました。まあ仕方ないんですけどね。感染対策ですから。
元旦は有楽町の辺りも閑散としており、それでもふらふら歩いている人がいて「何の用事でここを歩いているんだろう」とか思ったのですが、自分もきっとそう思われていたのでしょう。閑散としていてもコンビニは営業しており、そこで買ったハイボールを飲みながらfihing with johnの新譜を聴いていたらまるで映画のワンシーンみたいな雰囲気でした。世紀末のトーキョー。人のいない元旦の有楽町の路地裏。fwjの音楽はそこにも合うのです。こんな宣伝の仕方で「よし、じゃあCD買おうっと!」と思う人はいないでしょうが。
三が日は電車もガラガラで快適でしたね。人のいない電車ってロマンがあるというか、このままどこか異世界へ連れて行かれるかのような感覚があります。銀河鉄道の夜的な感じで。ふと寝落ちして、目覚めて電車を降りたらコロナのない世界だった、みたいなことがあれば良いのですが、電車は普通にコロナ禍に揺れる世界に滑り込みました。カンパネルラは幸せな場所に行けたのかしら。

無能で狡猾な政治家、陰謀論に縋る輩、醜悪なるものに溢れた美しい国ですが、医療関係者に最大限の感謝をしつつ、健康で笑いながら生き延びたいと思っている2021年です。本年もよろしくお願いします。

 

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「14.8℃カマクラ」高橋徹也さんからのコメント

2021年になりました。本年もよろしくお願い申し上げます。

2020年の暮れにリリースしたfishing with johnの新譜「14.8℃カマクラ」ですが、おかげさまでポツポツと売れており、CDに添えている私のサインも板に付いて来ました。前は「五十嵐祐輔」と役所で書類に名前を記入するかのようなサインだったのを、fwjのwを猫の耳に見立てたサインをあやに考案してもらい、それをサラサラと書いています。いつなんどきサインを頼まれてもサラサラです。どんとこいです。なかなかライブもし辛い状況ですが、2021年はこのアルバムをじっくり売って行こうと思っております。
アルバムに向けて色々コメントをいただいているのですが、尊敬する音楽家であり友人でもある高橋徹也さんにもコメントをいただきました。
コメント内で触れていただいた「草原ヘッドフォン」という曲はインストが並ぶ中、唯一言葉のある曲で、2012年にOTOTOYからリリースされた被災地支援チャリティーアルバム「Play for Japan 2012 vol.4」に収録されたので、そちらで耳にされた方もいらっしゃるかもしれません。ライブでも頻繁に演奏して来た曲です。
古い曲なので今回アルバムに収録するか迷ったのですが、久々に聞き返してみたら1周して新鮮に思え、「この青臭さもアリだな」と収録に至りました。タカテツさんが引用してくれた箇所は私も気に入っているフレーズで、そのチョイスに流石だなと思った次第です。

タカテツさんはちょいちょい「このレコード、五十嵐さんぽくないですか」とか「このアーティスト、五十嵐さんの音楽に通ずるものを感じました」とラインを送ってくれるのですが、実際私が愛聴しているレコードだったり、好きなアーティストだったりして、「流石タカテツさんだなあ」と毎回感心してしまいます。そしていつも良いレコードを紹介してくれるリスナー及びハンターとしても信頼出来る人です。(タカテツさんが紹介しているレコードを買うと間違いないので、音楽好きな方は彼のツイッターを追うことをおすすめします。)
タカテツさんはツイッターでもアルバムを紹介してくれて、「前作で感じた都市や郊外のワンシーンは鎌倉という舞台を得てより大きなスクリーンへと昇華していったように思う。基本温厚な人柄の五十嵐さんが時折見せる強さみたいなものも大好きです。」と嬉しいお言葉を添えていただきました。
去年タカテツさんに出演していただく予定だったmoln10周年記念ライブも延期になったままです。可能であれば今年こそ実現させたいと思っております。高橋徹也さん、ありがとうございました!

 

 

『14.8℃カマクラ』に寄せて

 


住んでいる場所や街が、音楽に与える影響って何だろうか。fis hing with johnこと五十嵐祐輔の新しいアルバム『14.8℃カマクラ』 を聴きながらふとそんなことを考えていた。

 


本アルバムの主役、五十嵐祐輔くんとは、2013年頃、 とあるライブ・イベントでの共演をきっかけに親しくしなり、 現在も僕にとって大切な友人で音楽家だ。 それは同時に彼の住む街、鎌倉との関係の始まりでもあり、 夏の終わりのバーベキュー、お寺巡り、焼き鳥ミーティングなど、 良い思い出ばかりがいくつも頭に浮かんでくる。

 


2020年は誰にとってもある意味不自由で特殊な時間になったと 思うけれど、 その分余計に身の回りの小さな変化や発見も多かったのではないだ ろうか。この『14.8℃カマクラ』に収録された11篇のインス トゥルメンタル・トラック(ポエトリー・リーディング)からも、 そんな日常の息遣いが静かに聞こえてくるようだ。

 

 

 

自転車ボーイが僕らに挨拶

挨拶という字も読めるけど書けない

でも僕ら毎日こんにちはとかさようならって言ってるよね

 


「草原ヘッドフォン」歌詞より

 

 

 

今日も僕の住む街で、そして世界のどこかで、 自転車に乗った少年とすれ違ったならば、 そっと笑って挨拶してみよう。こんにちは、さようなら。 きっとまた優しいアルペジオ・ギターのリフレインが、 新しい一日のファーストシーンに連れて行ってくれるはずだから。

 


アルバム発売おめでとう。

 

 

 

高橋徹也(音楽家

 

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「14.8℃カマクラ」古川誠さんからのコメント

fishing with johnの新譜「14.8℃カマクラ」が発売になり、「毎日聴いています」とか「とても心地良いです」とか色々感想をいただいております。インストなので歌ものと違って歌詞を考察するとか、一緒に口ずさむとかのアプローチが出来ない分、どう聴いて良いのか迷う方もいるかもしれないですが、何も考えず聴いていただければと思います。作業中のBGMとして何となく耳にして心地良いとか、街歩きのBGMとして普段見ている景色が少し変わるとか、そんな感じで日々に鳴らしてもらえたらと思います。もちろんヘッドフォンをして繊細な音の構築をディープに楽しんでいただいても良いですし。

今回アルバムに向けて元オズマガジン編集長、現メトロミニッツ編集長の古川誠さんにコメントを寄せていただきました。私に近しい人の中で最も美しい文章を書く人が古川さんで、編集者としての鋭い視点に加え、自身も小説家として本を出版されたり、ブランドを立ち上げTシャツを販売する表現者としても豊かな才能を発揮されている古川さんにぜひアルバムに向けて言葉をいただけたらと思いお願いしました。旅先で何度も聴いてくれたという古川さんの美しい言葉に、このアルバムを作って本当に良かったと報われる思いがしました。言葉のないインスト音楽は聴く人の感性やイメージに頼る部分が多いのですが、古川さんの言葉にはこのアルバムを深く味わうきっかけのようなものがあるように感じます。「知らない町の誰かの日常が、色を得て動き出す。」という文末の一節はそのままこのアルバムのキャッチコピーになり得ると思いました。古川誠さん、本当に素敵な言葉をありがとうございました。

 

日本中のあちこちの知らない町を歩くのが好きです。

新幹線の車窓に流れる景色の向こうにある家々の暮らしを思うのが好きです。

月夜を歩くときに、あの人はどこかで見ているかなと思うのが好きです。

アルバムを聴くたびに、ここではないどこかのことを思いました。

1曲1曲に、世界があった。

ある町には雨が降っていて、ある路地では猫が日向ぼっこをしている、

ラーメン屋で漫画を読みながらラーメンをすする人がいて、

駅前でティッシュを配っている若者は絶望的な片思いをしている。

そうしてそれは同時並行的に、この広い世界のなかにある。

世界が多面的で多義的であること。そのシンプルなルール。

アルバムを聴きながらずっと感じていたのは、そのことでした。

それがどうしてかはぜんぜんわからないけど、

答えがあることが正しいこととはちょっと違うから、

僕はわからないまま、また1曲目に戻る。

知らない町の誰かの日常が、色を得て動き出す。

 

古川誠(編集者・小説家)

 

 

 

 

 

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「14.8℃カマクラ」山田稔明さんからのコメント

fishing with johnの11年振りの新譜「14.8℃カマクラ」がいよいよ発売になりました。このアナウンスを出来るとは本当に感無量です。永遠に世に出ないのではないかと思われましたが、出るのですね。「歩けリリー」という曲のレコーディングを2013年に行っているので、アルバム作りをそこから開始と見ると、足掛け7年かかったことになります。この7年の間に結婚したり引っ越したり独立したりラジバンダリと色々あったので余計に感慨深いです。今回は色々なアーティストとコラボしており、その辺の話はCD内に長文のライナーノーツを書いたのでそちらを読んでいただきたいのですが、こちらのブログでもちょこちょこ紹介していきたいと思います。また家にCDプレイヤーがない、物を持ちたくないという方には今後サブスク配信も予定していますので、そちらで聴いていただけたらと思います。まあ折角の可愛い猫ジャケだし、もうCDという形式でリリースするのも今回で最後かと思うので、ご祝儀代わりにコンパクトディスクを買っていただくなんてのも乙かと思います。音も断然良いですし。

アルバム発売に向けて山田稔明さんにコメントを書いていただきました。毎回彼の新譜がリリースされる度に「五十嵐くんコメントよろしくね」と恒例のように頼まれるので、「山田さんコメントよろしくね」とお願い返しました。
この間恵比寿天窓switchにて行われた山田稔明with夜の科学オーケストラのライブも会場のswitchが年内で閉店するというのもあり、とても感慨深いものになりました。思えば私がswitchでの夜の科学に参加し出したのも11年前で、この11年アルバムを出していないのに「fishing with johnの五十嵐くん」という紹介をしてもらっていたので、何とか間に合ったなと思うのと同時にこれからもうここでライブが出来ないのかという寂しさもあり、色々胸がいっぱいになりましたね。
山田氏とは「いつアルバム出るの?」みたいな話をこの11年していたのでようやく出せたという感じです。山田バンドに参加させてもらうことで音楽的モチベーションが保たれたというのもあり、アルバムは彼がいなかったら完成しなかったかもしれないです。美しい賛辞までいただき、本当に感謝しかありません。


音の錬金術職人が長い時間をかけて紡いだ音細工は例えるならばカレイドスコープのピンボール、夢とうつつ。fishing with johnから届いた「うた」を再生すると僕の意識は銀色の玉になって、乱反射するみたいにその音像のなかで右往左往、遊泳する。見たことのない景色と懐かしい風景が交互に波のように押し寄せてきて、胸の奥のひきだしにずっとしまってあった感情なんかもふわっと浮かび上がるみたいだ。走馬灯レコードだ、これは。

 


山田稔明(GOMES THE HITMAN

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fishing with john「14.8℃カマクラ」リリース決定

気が付けば11月になっており、気が付けばその11月も終わろうとしているのです。早いのです。年末になり張子業が忙しくなるのと同時にfwjの新譜にまつわるあれやこれやも進行していて、毎日ひーひー言いながら作業していたらあっという間に時が過ぎておりました。本当に声に出して「ひ〜」と言っていた瞬間も多々ありました。そしてこれからも「ひ〜」と声に出して言うのでしょう。年末です。
fwjの新譜なのですが、そんなたくさんの「ひ〜」を経てようやく完成し、12月16日に発売が決まりました。まだ作業が残っているし、現物も出来上がっていないので、何とも落ち着かない状況ではあるのですが、ひとまず目処が立ちました。いやーまさか今年出せるとは思いませんでした。コロナの影響で時間が出来たというのが一番大きいのですが。
今回のアルバムでは色々なミュージシャンとコラボしており、データのやり取りを交わしつつ曲を完成させていったのですが、10月中にはひと通り曲が揃いまして。あとは自分がミックスする曲を残すのみとなり、早朝に起きて作業し(徹夜が苦手なので作業を朝に回すのです)、何とか終えて草テンでもお世話になった上野洋さんにマスタリングをお願いして音源が完成しました。私の誕生日にデータが到着したので良きプレゼントとなりました。今回上野さんには数曲ミックスもお願いしたのですが、全部リモートで行ったので対面していないのです。コロナの状況が変わって行く中で「今回はリモートで行いましょう」と話し合ったのですが、本当ならスタジオで顔を合わせて作業したかったなというのが本音です。あれやこれや話しながら作っていく中で生まれる豊かさもありますからね。
音源が完成したら次はジャケ周りです。かくたみほさんに撮ってもらった膨大な量のミル坊ココ坊の写真の中からジャケ周りに使う素材を選ぶ作業にも時間がかかり、「これも良い」「おーこれも可愛い」「これなんか最高やん〜」と私の審査がカルピスの原液並みに甘いので、第五次審査くらい経ても候補が10数枚残っており、これは永遠にジャケ写が決まらないのではないかと危惧されたのですが、時間も迫って来て「えいっ、これだ!」とようやく決めました。結果最高のジャケ写になったと思います。ジャケ買いで1万枚くらい売れても良いのではないかと踏んでいるのですが、私の審査はやはり甘いのでしょうか。
タイトル文字はインスタで素敵な手書き文字をアップしているhoshiさん(molnのお客様なのです)にお願いしたのですが、かなり気合いを入れてくれて、わざわざ鎌倉の海を訪ねてイメージを作ってくれ、これまた結構な数の候補を書いてくれて、その中から選ぶ作業も時間がかかりました。なぜなら私の審査が孫を愛でる祖父くらい甘いせいです。しかし時間が迫っていたので「えいっ、これだ!」と決めました。結果最高のタイトルになったと思います。ちなみにタイトルの「14.8℃」はあやが昔アートディレクターのフルタヨウスケさんとコラボして出版したZINEのタイトルから借りました。「人々が春を感じ始める気温」なのだそうです。molnにまだこのZINEの在庫があるので、関連商品として売ろうという商売目線も少しあるといえばあるような気もします(笑)。
素材を揃えたあとはデザインなのですが、草テンでもお世話になったhooplineりえさんが忙しく、なかなか作業に入れないという状況で。その間に流通の方と連絡を取り合い、12月発売というスケジュールを決めたのですが、この日入稿しないとヤバいですよという前日にりえさんからデータが届き。天才デザイナーの面目躍如、最高のデザインに仕上げていただいてギリギリ間に合いました。プレスされた盤が届く日程も納品ギリギリなので綱渡りが続いている状況なのですが。裏ジャケも盤のデザインも最高に仕上げてくれて本当に感謝です。
今回CDには結構な文字数のライナーノーツを執筆したのですが、それを書くのも時間がかかり。早朝に起きてせっせと書いておりました。ぜひそちらを読んでいただけたら嬉しいです。
アルバム制作にまつわる話は尽きないので、また追ってここで書いて行くと思います。取りあえず発売が決まったというご報告です。fwj11年振りの新作です。


fishing with john
「14.8℃カマクラ」
2020年12月16日発売
 ¥2500(税抜き)


1.掌のラストシーン
2.14.8℃カマクラ
3.歩けリリー
4.マチネの庭
5.ジャングルジムで鯨釣り
6.5月は猫のもの
7.猫時計27時
8.ガール初舞踏
9.草原ヘッドフォン
10.ソワレの海
11.翠雨のファーストシーン


アコギと鍵盤ハーモニカで叙情的なメロディを奏でる、五十嵐祐輔によるソロユニット11年振りの新作。外部ミュージシャンとのコラボで織りなす、美しきささやかなる日々を謳う11曲。


Guest:
LASTorder/G.M-KAZ/aCae/itoken/pasadena

 


Produced by 五十嵐祐輔
Mastered by 上野洋


Photograph かくたみほ
Title yuko hoshi
Design 吉積里枝(hoop line)


Amazon、全国のCDショップでお買い求めいただけます。
サブスクは旧作含め近く解禁予定です。
どうぞよろしくお願いいたします!

 

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猫たちの目線、fwjジャケット撮影

気が付けば10月なのです。早いのです、時の流れは。ありがたいことにコロナの影響で落ち着いていた仕事も7月辺りから徐々に増えて忙しくなり、9月は「あれ?ひょっとして自分プチ売れっ子なんじゃない?」と思われるくらい仕事に追われ、あわあわとそれらをこなしつつ、合間に山田バンドのリハーサルや配信ライブもしつつ、fishing with johnのレコーディング作業もしつつで、馬車馬の如く働いているうちにあっという間に過ぎ去ってしまいました。そして今年もあと3ヶ月で終わりという。本当に早いのです。こんなに時の流れが早いのはきみのどーるちぇあーんどがっぱーなーの香水のせいだよ〜とか歌ってみたくなるのですが、この歌のそこの部分しか知らないし、きっと香水のせいではないのでしょう。
まだ完成していないfwjのアルバムですが、何があるかわからないご時世、先にジャケット写真とアーティスト写真を撮ってしまおうと先月カメラマンかくたみほさんに我が家に撮影に来ていただきました。fwjのファーストからサードまでかくたさんに撮影してもらっているのですが、ファーストのロケを行ったのが2003年の暮れのこと。だいぶ時が経ったけどお互い変わってないね的な感じで緩やかに撮影が始まりました。スピッツのジャケット写真で有名な彼女ですが、何と言っても名猫ジャケであるきのこ帝国の「猫とアレルギー」のジャケットを撮影した方なのです。今回猫ジャケにしたい旨を話したら「私動物の撮影が得意で、ムツゴロウならぬカクゴロウって呼ばれてるから」との力強いお返事。
撮影されるとは知らずのほほんとしていたミル坊は見知らぬ人が来た!とソファー下に隠れるも、ココ坊はかくたさんの荷物の匂いを嗅ぐなど興味津々の様子。ならばまずはココ坊から攻めるかとシャッターを切り始めるカクゴロウ先生。今回警戒されないようシャッター音がしない設定にして来たそうで、さくさくと撮影が進みます。今回カメラ目線を撮りたいと希望していたので、おもちゃや全猫が好きでお馴染みのちゅ〜るなどを餌に「ほら、ココ坊こっち向いて〜!」と視線をカメラに向かせ、背景を変えつつ何パターンか撮りました。「昼間だと黒目が小さいんだよね〜」と目の大きさにも配慮するカクゴロウ先生。流石です。その後ミル坊もようやく慣れて来たので、抱きかかえてミル坊の目線も撮影。ミル坊とココ坊どちらを表のジャケットにするのか悩むところだねと話すと「ジャニーズみたいにジャケット2種類にしたら?」とカクゴロウ先生。果たして表のジャケットはどうなるのでしょうか。
その後猫たちを抱いてのアーティスト写真も撮影し、家の中で遊んだり寛いだりする猫たちを撮影し。合間に我々もコーヒー飲んだりして休憩していたんですけどね。逃げ回るミル坊と違ってココ坊は「こんなショットはいかがかしら」とサービス良く色々なポーズをしてくれました。ついでにあやも一緒に入り家族写真も撮ってもらっちゃいました。どの写真をどこに使うかはこれから選別するのですが、良いジャケットになるのではないでしょうか。
一日中モデルをさせられて、次の日はふたりともぐったりと寝ておりました。よほど疲れたのでしょうか。fwjの11年振りとなるニューアルバム、完成間近です。


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