有楽町、冷静と情熱のあいだ

年末からずっと張子業で忙しく、fwjの新譜リリースも重なり、馬車馬の如くひーひー言いながら働いていたら2021年になっておりました。新年も明けて10日ほど経ち、ようやく自宅の大掃除に取りかかれるくらい何とか落ち着きました。まあ自分が落ち着いたと思ったら世の中の方がまた落ち着かない状況になってしまっているんですけどね。

元旦から3日までは帝国ホテルの催事に出ていたのですが、東京の感染者数が莫大に増えたのもあり、宿泊のお客さんも例年より減っていたようですね。我々出店者も数が減っていましたし、小さな規模で日々感染対策に気を付けながら仕事をしておりました。
参加者は全員朝と夜の2回検温をして記録するのですが、ピッと身体に当てるだけで一瞬で熱が計れるシステムは凄いですね。あれを目の当たりにすると、昭和の時代に水銀の体温計を一度振って熱を下げてから脇に差し込んで数分待ってようやく己の体温を知れたあの一連の儀式は何だったのかと思いますね。これまでの人生で蓄積して来た「一連の熱を計るまでの時間」をまとめたら映画1本分くらいあるんじゃないか、その時間で見るなら何の映画かしら、「冷静と情熱のあいだ」かしらなどと想いを巡らせてしまった私です。(冷静と情熱のあいだってちょうど平熱って感じですよね。)
大型施設の入口にもその場に立つだけで熱がわかるシステムが導入されてますが、あれって体温じゃなくてその人の年収とか容姿の点数とかが出て来ると思うと嫌ですね。「え、俺の容姿って65点だったの?」とか。「次回は身体を鍛え上げて70点超えてやるぜ!」とか。いずれにせよ己の身体にまつわる数値が目の前に表示されるってそんなに気分の良いものではないなと思いながら検温されておりました。まあ仕方ないんですけどね。感染対策ですから。
元旦は有楽町の辺りも閑散としており、それでもふらふら歩いている人がいて「何の用事でここを歩いているんだろう」とか思ったのですが、自分もきっとそう思われていたのでしょう。閑散としていてもコンビニは営業しており、そこで買ったハイボールを飲みながらfihing with johnの新譜を聴いていたらまるで映画のワンシーンみたいな雰囲気でした。世紀末のトーキョー。人のいない元旦の有楽町の路地裏。fwjの音楽はそこにも合うのです。こんな宣伝の仕方で「よし、じゃあCD買おうっと!」と思う人はいないでしょうが。
三が日は電車もガラガラで快適でしたね。人のいない電車ってロマンがあるというか、このままどこか異世界へ連れて行かれるかのような感覚があります。銀河鉄道の夜的な感じで。ふと寝落ちして、目覚めて電車を降りたらコロナのない世界だった、みたいなことがあれば良いのですが、電車は普通にコロナ禍に揺れる世界に滑り込みました。カンパネルラは幸せな場所に行けたのかしら。

無能で狡猾な政治家、陰謀論に縋る輩、醜悪なるものに溢れた美しい国ですが、医療関係者に最大限の感謝をしつつ、健康で笑いながら生き延びたいと思っている2021年です。本年もよろしくお願いします。

 

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