ラーメンズと音遊

ラーメンズのコントでの音楽の使われ方ですが、
「怪傑ギリジンの歌」や、「帝王閣ホテル応援歌」などの
オリジナルソングネタがまず印象に残りますが、
あれ、一回聞くとなかなか頭から離れないキャッチーなメロで、
ああいう歌ネタもこのコンビは面白いんですね。
ギリギリジンジンジン、っていう曲は歌詞を変えて何度となく
ネタに使われていますが。どれも秀逸なのです。
あとは「音遊」というネタで、有名曲の一部の音符をずらすことで
新しい価値観やおかしみを生み出すという、
かつてドリフターズクレイジーキャッツらがやっていた手法を
さりげなく会話劇に持ち込んでいるのがありましたが、
こういう使い方もあるなあ、という感じで見事なんですね。
基本的に音楽で芝居を煽るやり方はほとんど皆無ですが、
メトロノームとマイムだけで表現するネタや、
なわとびを回すリズム音に合わせて喋るネタなど、
音も舞台同様、なるべくシンプルに減らす手法を取っていて、
そこが小林賢太郎流の演出なんでしょうね。
あと「採集」というホラー仕立ての長いネタで、
舞台が夜の体育館というのがありましたが、
体育館のリバーブ感がちゃんと活かされていて、
緊張感を煽る演出になっているんですね。
二人がそこで卓球をするんですが、玉を打つ音を
口で二人が鳴らしていて、そういう細かいところも
ちゃんと表現されていて。
あとそのネタ内で、小林がラップを披露するんですが、
これが実に見事なんです。
よく「漫才にラップを持ち込む」などの
ネタをやるコンビが多いのですが、
そのほとんどが稚拙な駄洒落に終始していて、
ラップのラの字も表現し切ってないのがほとんどなんですね。
それしかできないならやめてしまえ、といつも思うんですけど。
(韻を踏むこともままならない人が言葉で笑わせることなど
無理だといつも思うんですけど)
でもここでの小林のラップは韻の踏み方もリズムもかなり良くて、
「田舎」と「いい仲」とかに始まって
「正月とお盆」「show must go on」などのリリックもなかなかで、
こういうセンスも良いのです。
以前にも日本語学校ネタで、ちょっとだけラップをやっていましたが、
その時はなんとなくリズムが危うかったのですが、
あれから練習したんでしょうか(笑)。
「DJ田中角way」などの有名人の名前を崩す手法でしたが、
あれは発想が見事で、舌を巻きましたね。


まあそんなわけでミュージシャンらしく音楽面でラーメンズ
語ってみましたが、
あのなわとびネタは発明だよなあ、とつくづく感心してしまいますね。
誰もやりそうでやらなかった手法ですもんね。
こういう誰もやっていない手法や視点に気付くかどうかですね。
でもこれってラーメンズのあくまで一部分なわけで。
そこが凄いんじゃないかと思う私です。