乙女文庫に想う

関東地方、初雪ということで。
あんなふわふわしたような白い物が空から落下して来るとは
世界は奇妙なものであると再認識せずにはいられませんが、
どうせなら途中で雨に変わらずにそれなりに積もるなどし、
冬の風景を彩るくらいの活躍をすれば良いのにと思うのですが、
シャイ故にすぐに雨に変わってしまうのですね彼奴らは。
寒いです。全くもって。


ところで先日「武満徹 対談選」という文庫本を購入したのですが、
これが文庫という体裁ながら1400円というそれなりの値段で、
この手の高い文庫本を買うと他の文庫よりも大事に読もうとする自分がいて、
微妙な庶民感覚が読書の熱量に影響を与えるというのは
如何なものかと思ったりもするのですが、
「文庫は安く読めてお得」という昔からの感覚が抜けないのですよね。
文庫本で1400円なの?という違和感がどうしてもあるのですよ。
講談社文芸文庫とかは普通に1000円くらいしますが、
新刊単行本の文庫化とは違う体裁のものとか、
部数がそれほど出ない内容のものとか割に高めなんですよね。
それなりの内容なのでまあ納得して買いはするんですが、
何かどこかで「文庫なのになあ」という思いもひとつあるのですよ。
何か高めの文庫本て高級牛丼みたいな感じがしてしまうのですよね。
吉野家だったらワンコインで食べられる気軽な食べ物なのに
あえて高級店で1800円出して食べてる感じというか。
1800円の牛丼がそれなりに美味しいのはわかるんですが、
同じ牛丼という体裁の吉野家がワンコインだぞ、みたいな
どこか腑に落ちない感じとでも言いましょうか。
どうせなら牛丼という名称じゃなくて
スペシャルみたいな名称にしてくれると
比較せずに「牛スペシャルうめえ!」と言えるんですが、
「牛丼なのになあ」という感覚がどこかに存在すると思うのですよね。
牛丼を例に出してる時点で己の庶民ぶりが露呈されてしまってますが、
まあ文庫本というのは気軽に読書の楽しさへ誘ってくれるアイテムとして
私は割に好きなのです、ということです。


そういえば着物の帯の結び方に「乙女文庫」というのがあるんですが、
乙女文庫という文庫シリーズってありそうでなかったよなあ、などと
思ったりします。