ロンドン旅 その3

イギリス滞在も3日目となりまして。
この日はアンティークフェアがないので街中を探ろうということで
まずはエンジェルという駅へ地下鉄で赴き。
地下鉄に乗るにはオイスターカードという日本で言うスイカのようなパスを買うとお得とのことで
窓口にて「オイスターカードくださいな」と嫁に言ってもらい、
私は直後に「ミートゥー」と付け足し便乗して購入する作戦に至り
(今回の旅で私は何回「ミートゥー」と言ったことでしょう)、
無事地下鉄に乗り込み。
キカイダーの主題歌はもう飽きたので歌わず、
駅に着くとカムデン・パッセージという骨董屋の集まる場所に移動し。
まずはそこの市場みたいなところに広がるアンティーク店を探りました。
しかしこの日はここをメインに見るつもりだったんですが思ったよりも収穫がなく。
仕方なくその後コベント・ガーデンへ移動し、
様々なお店や屋台が立ち並ぶ様子や大道芸や生演奏などを冷やかし、
「なるほどね」などと言いつつ(何がなるほどだっつー話ですが)、
その後ソーホーの中華街にて中華を食べ。
ここではサービス料が取られていたのでチップはいらないんじゃないかという話になり、
お代を置きしばしお釣りを待っているもボーイさんは「ありがとうございましたー」と、
もう終わりましたよ的な雰囲気を醸し出しながら我々を送り出すので、
私は「お釣り…」などと独り言を放ちながらしぶしぶ店外へ出たのですが、
彼には私の独り言は聞こえてなかったのでしょうか。
イギリス特有の霧の中に紛れて消えてしまったのでしょうか。
ロンドンの霧の魔法、恐るべしです。
そしてその後はセシル・コートの古本屋街を眺め。
ここは日本で言うところのプチ神保町みたいな感じでしたが、
子供の本専門店のお店が凄く良かったですね。
不思議の国のアリスの初版やらムーミンの初版やらが棚に並び。
見てるだけで楽しめました。
レア本なのでとても買える値段じゃなかったですが。
隣の映画や音楽関係の本屋では嫁が古い葉書のコーナーを見ようとしたら
先に見ていたおじいさんが「俺が見てんだっ!」とばかりに独占して追い払われたので
「てめえだけの店じゃねーぞ馬鹿野郎」
「タンスの角に小指ぶつけて痛がれ」
「風呂を沸かして入ろうとしたらまだ水で冷たっ、となって2、3日風邪引け」
などと日本語で呪いの言葉を小声で吐いたりしながら古本を堪能し。
しかしこの日は思ったより7割増しで寒く(冬みたいな寒さでした)、
余りの寒さに歯がガタガタ言い出す始末で、流石にもう1枚長袖を買おうと目についたGAPに入り。
日本でも滅多に買わないGAPの服をイギリスで買うとは思いませんでしたが、
そこで長袖を購入し店員に「すぐ着るのでタグを切ってくださいな」と嫁に言ってもらうと
店員は「んだよ面倒くせーな」という顔で舌打ちしながら指でタグを引きちぎったので、
私は「何だその態度は、てめーハサミも使えねーのか」
「タンスの角に小指ぶつけて痛がれ」
「風呂を沸かして入ろうとしたら熱湯で熱っ、となってジョージ・ハリスンのギターのように咽び泣け」
などと罵声を小声で日本語で浴びせながら店を出て
(イギリスに来てから口が悪くなってる自分にここで気が付いたんですが・笑)、
その後も何とか五十嵐を寒がらせる会イギリス支部の会員による攻撃に耐えながら街を見て回りました。
その後はリバティなるデパートを覗きつつ、マリルボーンに移動し。
そこでダウント・ブックスという有名な本屋に行き。
ここは世界各国の本が集まる大型書店で、
20世紀初頭エドワーディアン期のインテリアが美しく、素晴らしい書店でしたね。
英訳されたハルキムラカミの著作も並び。
三島や漱石安部公房なども英訳されているんですね。
そこでしばし色々な本に触れつつ。
またその本屋の並びにもいかにも中央線にありそうな古本屋があったのでそこでも本を探りつつ。
(イギリスのサブカル女子みたいな子が店内に座り込んで本を読んでたのが印象的でした)
その界隈でも日本人の方何人かと遭遇しましたが、みなだいたい見るところは一緒なんですかね。
この一角のどこかのお店でハーマンズ・ハーミッツがかかっていて、
「おお、イギリスだな〜」と初めて音楽でイギリスを実感しました。
(意外にもビートルズがかかってる店に遭遇しないのですよね)
嫁はもはやアンティークと関係ないチーズなど買っておりました。
その後またホテルに戻り、折角イギリスに来たのだからとパブでフィッシュアンドチップスを頼み。
イギリスの味を堪能しました。
量が多くて途中からポテトフライの味を変えないと飽きちゃうぞと
ケチャップやらソースやら導入したりしましたが、
途中から「もうこれいいな」という結論になり、
その後それを注文することはありませんでしたが(笑)。
まあビールは美味かったですけどね。
2人掛かりでひーひー言って食べた量のものを
隣のおばあちゃんはひとりでペロリと平らげており、
「こんなの毎日食べてたら太るよ、おばあちゃん」と日本語で小声でアドバイスしときましたけどね。
兎に角この日は寒さに翻弄され、
私こそが2、3日風邪引いてジョージ・ハリスンのギターのように咽び泣くところでした。
古本屋のおじいさんもGAPの店員も五十嵐を寒がらせる会の会員だったのでは、
という疑念を抱きつつ、寒さに震えつつ眠りにつきました。
ロンドンの霧に包まれながら。
アリスの夢などを見ながら。