八幡宮挙式Kick it

冬の終焉と春の予兆の入り混じったような天候で我々を乱れさせる3月ですが気が付けばもう下旬です。
震災から3年を経たあの日も静かに過ぎ、
新年度に向けてまた気持ちが少し前向きに更新されて行くのであろうかと
想いを馳せながら梅の花の色を眺めている日々です。


さて、昨年入籍の報告などをさせていただいた私ですが、
先日は結婚式なんてものを挙げさせていただきまして。
鎌倉の鶴岡八幡宮に於いて挙式を執り行いました。
嫁が鎌倉でお店をやっている由縁で選んだんですけどね、八幡宮
勿論挙式の当事者になるのは初めての体験です。
どんな段取りなのか不安なわけです。
当日、新郎は神前に向けて何か文言を読まねばならないと聞いていたので私は緊張し、
原稿初見で噛む可能性が大いにあるし、
あまりにカミカミだと神から「お前にはケッコンさーせない!」と言われてしまうと思い、
事前に神から紙を貰ってカメリハならぬカミリハしようと思い。
しかし嫁に八幡宮から原稿を貰って来てくれーと頼んでいたら、
何とその日に彼女がインフルエンザを発症するというトラブルに見舞われ。
彼女が実家に帰ってた時に発症したのでそのまま実家に1週間籠ることになってしまい。
これは五十嵐に式を挙げさせない会の会員による妨害仕業かと思いつつ、
式のリハも出来ず、嫁が動けないので私が単独であれやこれやと準備せねばならず、
落ち着かない1週間を過ごすうちについに本番を迎えまして。
結局嫁が社会復帰したの式の3日前で、
体調も万全じゃないし本当に式が出来るのかと心配したんですけどね。
まあいざとなれば何とかなるものですね。


当日、準備のために着付けの会場に入ると早速たくさんの大人がよってたかって新婦にメイクをし、
白無垢を着付け、かつらを乗せ飾りを付け、
祭りだ祭りだわっしょいわっしょいと大女優扱いし。
みな「綺麗〜」「可愛い〜」「お似合い〜」「お人形さんみたいね〜」と、
大気圏飛び出しちゃうんじゃないのというくらい天高く持ち上げ。
前日まで「ぐえー体調悪い〜」と生けるしかばねーしょん状態だった嫁が
本番前にはすっかりいい顔になっていたのでさすがプロであるなと感心した次第です。
花嫁の気分を最高潮に作り上げるのですよね。
私はというと嫁が準備している間ずっと待ちぼうけで、
集まってくれた親戚たちと雑談しつつ(今回は近しい親戚しか呼んでないので)、
ひょっとして私は忘れられてるのかしら、
流石に準備しないと落ち着かないんですけどと不安になり、
「あの、新郎なんですけど…」とまるで心労であることを告げる患者の如き様相で係の人に申し出ると
「あ、お前いたの?」みたいな感じで気付かれ、ようやく控室に呼ばれ。
そこですぐ準備かと思いきややはり大人たちは新婦にかかりっきりで、
私はその様子を大変そうだなあとぼんやり見やり、
「ああ、温泉でも入ってのんびりしたいな」などと暢気に思い、
しばし瞑想モードに入っていたら「はい、じゃあ次は新郎さんー」と呼ばれ。
ようし今度は私が持ち上げられられる番か、祭り上げられるぞうー、と
気合いを入れたものの正味5分くらいでさくさくさくさく〜と袴を着せられ、
特に髪もメイクもいじられることもなく、「はい、完了です、行きましょう〜」となり。
え、こんなもんでいいの?と私は鏡に映ったいつもと寸分違わず同じ様相の己に不安を抱いたのですが、
まあ主役は花嫁なのだなと思い直し。
私はオマケみたいなものなのだなと思いながら式に臨むに至ったのでした。
彼女の体調と共に私が大きく心配していた寒さ問題ですが、幸いにも暖かく良い日和で。
天候のせいもあってか八幡宮は参拝客で大変賑わっており。
そこの賑わう参道を袴と白無垢を着た我々がしゃなりしゃなりと練り歩くわけです。
これはもう目立つわけです。
ちょっと眺めの良い場所を見つけると写真係の人が「はい、撮りましょうー」と撮影となり、
しかも何パターンも撮るのてあり、よくあるアイドルの撮影会ってこんな感じなのかなと思いながらカシャカシャ撮られ。
式に至る前の正味30分くらいは撮影会でしたね。親戚たちも巻き込んで。
係の人や身内はともかく見知らぬ観光客も「お、珍しい!花嫁だ!」とカシャカシャ撮っており、
こんな赤の他人を撮っちゃって大丈夫ですか?と心配になったのですが、
外国人の方などはジャパニーズウェディングということで話の種にするのでしょうか。
様々な国の方のカメラに収まりながら移動をし。
今回は八幡宮内の舞殿という高い場所で式を行ったわけなんですが、
これがまた外から丸見えなんですよね。
やはり観光客が「お、式やってる!珍しい!」と見物しており。
高い場所なので結構風がびゅーびゅー吹き抜け、結構寒いのですよね。
五十嵐を寒がらせる会のやつさっきまで黙ってたと思ったらここへ来ての攻撃かと思ったものの、
ここで負けるわけにはいきません。
式の直前に段取りを一通り説明されたものの、
緊張していた私は例の神前で読み上げる文言に名前を書くところを嫁の字を間違えて書いてしまい、
「あのー、この字違いません?」と巫女さんに言われ慌てて書き直すというくだりがあり。
「嫁の字を間違えるうっかり者」というレッテルを巫女さんに貼られ、
私はすっかり八兵衛気分でうなだれたのですが、八兵衛だって役に立つのです。
捨てたもんじゃないのです。
しかしおじぎ1回のところを2回やってしまったりその後も八兵衛を繰り出し、とほほとなったものの、
例の文言を読み上げるくだりは「俺はラッパーなんだぜ」と己のスイッチを切り替え、
頭の中でA Tribe Called Questの「Can I Kick It?」を再生しながら読み上げたら噛まずにいけました。
八幡宮でKick it出来たわけです。
その後も三々九度のくだりでは普通に「あー酒うめえ〜」と味わい、
葉っぱをくるんと回して奉納するみたいな儀式も何とかこなし。
巫女さんが何か舞然としたものをやってる時はこれリハ何回くらいやってるのかなーなどと思ったりしてるうちに式は終わり。
何とかミッションクリアと相成りました。
これまで様々なステージをこなして来た私ですがこれまでとはひと味違うステージでしたね。
その後もまた撮影会をしながら八幡宮内を練り歩き。
見知らぬ人から「おめでとう〜」などと声を掛けていただき、大変ありがたかったですね。
嫁が式の時間をお知らせしていたので彼女の友人知人の方もたくさん八幡宮へ祝いに来ていただき。
一緒に撮影などし。
私は特にお知らせしてなかったんですが、
fwjバンドのギターのひじきさんがサプライズで見に来てくれたのは嬉しかったですね。
彼は何かとサプライズするのです。
赤塚漫画好きの彼とは一緒にシェーのポーズをして写真に収まりました。
そんなわけで式を終え、その後一行移動して食事会というか披露の宴があり。
何やかんやあって長い一日を終えたというわけです。
(そこまで詳細に書いてると本当に長くなるので割愛しますが)


気疲れもしたし大変は大変だったんですが、
まあ主役の花嫁が喜んでいるようだったので良かったです。
なかなか結婚しない私にやきもきしていた親戚一同も喜んでおりましたし。
もう桜の花も薄ら咲いていて。
控えめな薄紅の花が白無垢に映えるのを眺めながら
もう春が来るのだなとしみじみ思ったりした私です。
八幡宮でうっかりと八兵衛になったりもしましたが。
そこはこう末広がりということで目出たく捉えていただきたく。
そんな弥生の一日でございました。