猫町の片隅に集う

ひなたのねこ展最終日、山田稔明氏によるクロージングライブも無事終了しました。
今回私も鍵盤の佐々木真里さんと共にサポートさせていただき。
楽しい時間を過ごすことが出来ました。
ご来場下さった方々、どうもありがとうございました。


今回は事前リハなしでリストも前日に知り、
さらに初めて聞く曲もあるという状況だったんですが
(前日に音源と譜面を渡されるという)、
そこはもう阿吽の呼吸というやつです。
あーはいはい、山田氏お得意の直前渡しパターンですねとすっと受け取りつつ、臨みました。
今回のリストは歌詞に猫が出て来る曲しばりということでしたが、
改めてこんなに猫のことばかり歌ってたのかという感じでわんさかあり、
曲のすみっこや真ん中に、時には言葉の背後に隠れるように猫がいて、
あーそういやここにも猫出て来てたわー、と彼の歌唱を聞きながら、
歌詞内の猫の存在を確認しながら演奏をしておりました。
今回私が初めて演奏した「猫町オーケストラ」という曲はゴメス時代の未発表曲だそうで、
猫が出て来るというよりは猫の視点で描かれた歌詞で。
猫の気持ちはこうなのだろうと彼の思う猫の思考がつらつら綴られているのですが、
「優しい誰かに抱かれたい」はわかるとして
「袋小路に咲いた花が香るのを見に行こう」とか果ては
「こんな不確かな日々を思う時」などと
猫氏はそこまで深い思考を巡らすものなのかと思いながら聞いていたのですが、
店内の壁に貼られたポチの写真を見ると達観した哲学者のような表情も見えるのであり、
そんなモードにもなるのかもしれないと思った次第です。
野良は特に不確かな日々を生きていますしね。
聞きながら町の片隅に集う哲学者たちの姿がmolnの店内に浮かびました。


この日はひなたのねこ展最終日ということで、
改めてポチを見送った話などがMCで語られ、
客席で泣いている方などもちらほら見えましたね。
私も久々に「ポチの子守歌」を演奏し、
彼は夜な夜なポチを看病しながらこれを歌っていたんだなと
数ヶ月前の彼とのメールのやり取りなどをしみじみ思い出したりしました。
あれから彼の元にはポチに似た子猫が現れたり、
色々な出来事が起こったようですが。
とりあえずの展示の締めくくりのライブに私も演奏に参加出来て良かったなと思った次第です。
(前回の巣巣さんから続けての参加ですし)
最後の「日向の猫」のお客さんのコーラスを聞きながら、
2度目の終わりを自分なりに噛み締めてしまいました。
今回の私と真里さんと山田氏という編成は実は初だったんですが、
新鮮だったし終始楽しかったですね。
真里さんはゴスペラーズのツアーの合間を縫って鎌倉に駆け付けたそうで。
ミニサイズのピアノとグロッケンを持ち込んで軽快な演奏を聞かせてくれました。
本番前にはメンバーみんなでディモンシュに行き、
美味しいオムライスとコーヒーをいただいたりして。
(山田氏だけパフェを食べ、スウィーツ男子っぷりを発揮しておりました)
ミルブックス藤原さんが「私がドリンクを出すから行って来て良いですよ」と送り出してくれたので、
あろうことかmoln店主も一緒にディモンシュでコーヒーを飲んでたんですけどね。
すっかり店を藤原さんに任せて。
藤原さんはというとこの日は吟遊詩人のような帽子を被り颯爽と店に現れ、
撤収の際も手際良くさくさくと片付け、相変わらずデキる男っぷりを見せてくれました。
そう、この日はライブ後に展示の商品や写真を搬出するというタイトなスケジュールで。
ライブ後のしみじみした余韻も束の間、
山田氏含め全員が仕事モードになりせっせと展示を片付けたんですけどね。
さっきまでフルで2時間歌っていた人が作品の梱包作業している姿を見て
「この人は働くなー」と感心してしまった次第ですが。
そんな全員の働きで会場を賑やかに演出してくれた猫たちがすっかり荷物にまとまり。
それらを車に詰め込んだ頃にはすっかりいい時間になっていたので、
そのままお疲れさまでしたと解散に至りました。
ライブ準備からリハから本番から撤収まで本当に怒涛という感じでしたが、
無事クロージング出来て良かったです。


このひなたのねこ展、次回は大阪のスタンダードブックストアへ巡回するそうです。
関西方面の方はぜひ足を運んでいただきたく思う次第です。
私も招き猫で引き続き参加させていただきます。
猫が招く不思議な縁を今後も見守っていきたく思う私です。