アットホーム鎌倉 貸切り図書館41冊目

先日は恒例のイベント「貸切り図書館」の41回目をゲストにcinnabomさんと中村好伸くんをゲストに迎えてお送りしました。先週の高野寛さんに続いて今年もう2回目の開催です。今回はcinnabomさんの新譜のレコ発ツアーの一環ということで、鳥取から中村好伸くんも駆けつけてくれました。中村くんに会うのも久々だったんですが、あんまり久々な感じがしないというか、変わらないのですよね印象が。思えばお互い鎌倉に引っ越したり鳥取に引っ越したりと環境は大きく変わったんですが本人たちは変わってないという。片やcinnabomさんとは初対面だったんですが、彼女は出身が横須賀の方だそうで、同じく横須賀出身のうちの妻と「えー何中ですか?」「えー、あそこなんだー」と地元感溢れる会話に花が咲き、リハの段階からアットホームな雰囲気に包まれておりました。「何中?」というヤンキーの定番のような質問を大人になってからもするものなんですね。
そんな良き雰囲気のまま迎えた本番ですが、中村くんは相変わらずの歌ごころ溢れるナイスなギタープレイで魅了してくれました。もう何度も聴いている曲ばかりなので口ずさめるのですよね。ふんふんと心の中で一緒にハミングしながら聴いておりました。貸切り図書館にはfwjのメンバーとしても含めると最多くらいに出演している中村くんですが、紹介する本を持って来るのを忘れるという安定のボケもかましてくれまして。苦肉の策として「これから読もうと思っている本」というくくりでちょうどmolnに置いてあったアアルトコーヒー庄野雄治著「誰もいない場所を探している」を紹介してくれました。この本は先週高野寛さんのライブの時にスタッフとして手伝ってくれたミルブックスさんから出ている本で、私も読みましたがとても良い本なのでお勧めです。(ステマではないですよ。)「これから読もうと思う本」という未来型の紹介は初めてですが、中村くんは現在地元倉吉で「saon」というガラスと雑貨のお店を奥さんと経営しており、36歳で脱サラして徳島でコーヒーの焙煎を始めた庄野さんの仕事に向き合うアイデア集とでも言うべき本書は「地方で個人でお店を経営すること」という観点において中村くんには何かしらのヒントになるのではないでしょうか。そんなこんなで終演後に中村くんは本書を買って帰りました。こういう切り口もまあ有りなのではないでしょうか。
続いての登場のcinnabomさんはギタリストのARATAさんとのデュオ編成で。素晴らしい歌声にこれまたうっとりと魅了されてしまった私です。ボッサのリズムに空間系のギターという組み合わせも気持ち良く。地元ということで歌ってくれたサザンの「夏をあきらめて」のカバーも良かったですね。後半には中村くんも演奏に加わり、レオン・ラッセルのカバーなどギタリストの競演を堪能しました。後で聞いたんですがARATAさんはテニスコーツの初期のギタリストだったそうで、当時よく明大のスタジオでリハをしていたとのことで、私とニアミスしていたことが判明し。色々な繋がりがあるものだなと思った次第です。そんなcinnabomさんが紹介してくれた本は谷川俊太郎著「あたしとあなた」という詩集で。ナナロク社から刊行されているこの本を私は本番前に見せてもらったのですが、とても凝った丁寧な装丁で、というのも詩に合わせて紙を作るところから始めたというこだわりの一品になっているそうで、これはもうひとつの物体として美しいなあとうっとりしてしまいましたね。デジタル出版では成し得ない1冊だと思いました。cinnabomさんは英語で歌詞を書くことが多いらしく、その時には主語というものを明確にしなくてはならず、「I」とか「YOU」とかまさしく「あたしとあなた」を意識せざるを得ないそうで、そういった意味でもこの本が琴線に触れたそうです。何よりも装丁の美しさに驚いてしまった私なので、ぜひこれは入手したいと思いましたね。
この日はあら恋のクリテツさんやfwjバンドの鎌田さんなど知り合いも多く見に来てくれて、客席もアットホームな雰囲気で見ていて楽しかったですね。終始心地良い空間になっておりました。私も個人的に中村くんと鎌田さんに久々に会ってfwjも本格的に動かないとなあという気運になりましたね。打ち上げも大人数になり、つい楽しく飲んでしまった私です。良い夜でした。
貸切り図書館、次回は3月にまた開催する予定です。そちらもぜひよろしくお願いしますということで。