ミル鍋の会

気付けば1月も後半に突入しているのであり、このまま行くとすぐに春が来て夏が来て秋が来て冬が来て1年も終わりになってしまうぞとあせりながらあれやこれやとするべきことに手を付けるもなかなか捗が行かず、隙を見つけては酒を飲んだり猫を撫でたりラジオを聴いたりとプチ逃避しつつぐだぐだ過ごしてしまっているこの頃です。
ちょっと前の話になりますが、ミルブックス藤原さんの自宅で鍋を囲みつつ落語を鑑賞するという新年会のようなものに夫婦でお呼ばれしまして。当日いざアイフォーンのマップを頼りに言われた住所に辿り着いてみると某駅の高級住宅街にあるお洒落集合住宅が目前にあり、ピンポーンなんて鳴らすと藤原さんが「ようこそ」なんて颯爽と出迎えてくれるのであり。そしていざ中に入るとこれまたモデルルームの如き洒落っぷりで、内装も新築の如きピッカピカなのであり。事務所も兼ねているという部屋は何しろ清潔で、聞くと毎日マメに掃除をしているとのことで、掃除用具一式がちょこんとお洒落に配置されているのです。物なども少しも散乱されていないのです。私などは物を出したら出しっ放しで、学生時代などは国語の教科書とノートの上に英語の教科書とノート、さらにその上に日本史の教科書とノート、さらにその上に参考書や辞書、その上にまた別な参考書とノートを複数重ね、関東ロームならぬ五十嵐ロームという地層を机上に形成するほど物を片付けないで名を馳せ(どこでだ)、現在に於いてもその習性は変わらず妻に「この汚部屋を何とかせい」と言われがちなのですが、そんな状態が皆無なのです。ノー藤原ロームなのです。
そんなノー藤原ロームなお洒落ルームに案内された我々を待っていたのは鍋と美味しそうな具材群で、聞けば前日から出汁を仕込んでいたとのことで。相当手間が掛かっているのではと問えば「いやー簡単ですよ、あれとこれを前日から入れとけば良いだけだから」と藤原さんはことも無げに言うのであり。前日から準備するという時点で手間が掛かっているのは明白であり、料理に2days費やす概念がない我々はまじっすかと驚いたのですが、これがまた期待を裏切らず美味いのであり。鍋の汁をぐびぐび飲むという行為を恥ずかし気もなくしてしまうほど美味いのであり。グツグツと煮える鍋からお野菜やら肉団子やらをよそいハフハフしながら食べ、汁をぐびぐび飲み、すっかり藤原さん特製鍋を堪能してしまった我々です。さらにまた前日から煮込んだという大根も出してくれたのですが、これも絶品なのであり。その大根は角を落としてあり、その落とした部分はぬか漬けにしたとのことでまた別皿で出してくれたのですが、これがまた絶品で。何なんだこの人は料理人なのか、シェフなのかと驚きながらもハフハフと食べているとイラストレーターの木下綾乃さんも遅れて合流し。そこから綾乃さんも美味しいを連発しながら鍋を食べ、一同その美味に舌鼓を打ちまくったのでした。
そんな鍋をひとしきり堪能した後、過去NHKで放映された立川談志の伝記ドラマ(脚本は木皿泉)を鑑賞しているといつの間にかシメの雑炊 が出来上がっており。熱々のそれをまた一同ハフハフしながら「美味い!」と連呼しながら食べ、次に春風亭一之輔の落語をわははと笑いながら鑑賞しているといつの間にか鍋も皿も片付いていて目の前には食後のコーヒーとデザートのお菓子が置いてあるのであり。藤原さんパねえす、まじ神っすとそれも美味しくいただき。藤原プロのもてなしコースを最後まで楽しんでしまったのでした。新年早々美味しい鍋を堪能した喜びと、市販の鍋の素で済ませてしまっているイージー鍋への反省を同時に味わった我々です。
そんな藤原さんが主宰するミルブックスの2017年のカタログに今年も猫たちを使いたいとのことで、うちのミル坊の写真を撮って送ったところ何と去年に引き続き表紙に使っていただきまして。山田家のポチ実や近藤家のモイとウニと共にミル坊の勇姿が映っております。猫はみな大好きなチャオチュールというおやつを巧みに操り「ミル坊、ほらそっち向いて!」「うーんいいね、可愛いよう〜」「そう!その感じ!」などとグラビアカメラマンの如く声を掛け何とか撮影に成功したものです。どこかで見かけたら手に取っていただきたく。(molnには置いてあります。)山田先生からは「またミル坊が表紙か!」「ミル坊のミルはミルブックスのミルか!」などとラインが来ましたが(笑)、そんな先生のとこのポチ実も存分にキュートネスを発揮しておりますのでぜひご覧いただけたらと思います。しかし単純に嬉しいものですね。自分のとこの猫が媒体に載るというのは。
そんな感じで毎日インスタにミル坊の写真をせっせと上げている私ですが、それを時折眺めながら「こんな気ままな感じに生きていけたら良いなー」などと思いつつ雑務に追われている日々です。