草とten shoesレコーディング

合間を見てはこつこつと進めていた草とten shoesのレコーディング作業ですが、先日ようやく歌入れを行いました。ベーシックトラックは私の自宅にて録音していたのですが、ボーカルだけはスタジオでプロの人に録って貰おうと相成り、山田稔明with夜の科学オーケストラでもお世話になっている上野洋さんをエンジニアとしてお迎えし、録音をしました。上野さんはプレイヤーとしても優秀ですが、エンジニアとしてもハンバートハンバート中山うりさん、高橋徹也さんなど数々のアーティストを手がけている凄腕の方なのです。その手腕はアルバムを聴いていてもわかるのですがお願いした理由は他にもあり、上野さんなら草tenのような素人集団にも優しく接してくれるんじゃないか、こわい人は嫌だよう〜、という小心者丸出しの理由から依頼する運びとなったのですが、上野さんは実際我々にとても優しく接してくれて、一同すっかり上野さんファンになってしまいました。
今回は上野さんに紹介されたスタジオ地球というところで録ったのですが、ここが秋津という我々からしたらかなり遠方にある土地にあり。鎌倉からあやとアユミさんと3人で2時間近くかけてせっせと出掛け、駅前で岩崎さんと合流して一緒にスタジオ入りしました。ボーカルのあやは勿論、岩崎さんもアユミさんもスタジオでの本格的なレコーディングは人生初という状況でみんな浮き足立っておりましたが、上野さんの的確かつ優しいディレクションによりスムーズに歌入れは進行しました。上野さんは複数のマイクを用意してくれたのですが、試聴した結果「今回はこのリボンマイクでいきましょう!」と相成り。良い感じでボーカル録りをしてくれました。歌の他に朗読やコーラスなどもあったのですが、いちいち適したマイクに替えてくれて、流石プロは違うぜと感心した次第です。(高橋徹也さんがメインで使ったというマイクを使う場面もあり、「タカテツさんとお揃いだ!」と少しテンションが上がりました。)
歌入れに関しては全員が緊張していたのですが、上野さんは「良いですね!」「バッチリです!」「次はリラックスした感じでいきましょう!」などと歌い手を気持ち良くさせながら、良いテイクを引き出してくれて。上野さんが凄いのは使えるテイクの取捨選択が早いのと的確であるということで、歌い手に負担にならないよう最短でオーケーを出すのですよね。何回か録ったテイクから良い部分を編集してオーケーテイクに仕上げるのですが、そのチョイスが的確なのです。私の場合完璧を求めてだらだらと何回もやり直す傾向があるのですが、上野さんは「ここは使える、ここはやり直し」の判断がしっかりしているのです。改めてその耳の良さに感心した次第です。ボーカルのあやもテイクを重ねて喉がつぶれたらどうしようという危機感があったのですが、つぶれるどころか後半に行くに連れどんどん声が出て来て、上野さんも「どんどん良くなってますねえ!」と褒めておりました。岩崎さんとアユミさんのコーラスも上野さんマジックでさくさく進みました。(アユミさんはそのピッチの良さを絶賛されていました。)
一日仕事になるので岩崎さんがおにぎりを作って来てくれて、それをむしゃむしゃ食べながら作業をしていたら、途中山田氏が「どう?進んでる〜?」とスタジオに顔を出してくれまして。映画の劇伴やGOMES THE HITMANのレコーディングなどで多忙を極める山田氏ですが、こうやって律儀に顔を出してくれる優しさも持ち合わせているのです。彼に提供してもらった楽曲「冬の日の幻」もこの日歌入れしたので「こんな感じですよ〜」などと聞かせながら、ゴメスのレコーディングの進捗など聞いたり諸々雑談しているうちに「山田さんも良かったらコーラスに参加しません?」という流れになり。ふらりと遊びに来たプロの歌い手に急にコーラスを頼むという無茶振りですが、彼は「仕方ないな〜」と文句を言いつつそそくさとブースに入り、コーラスに参加してくれました。勿論一発オーケーで、「流石プロは違う〜」と全員で拍手した次第です。山田楽曲と山田コーラスが収録されたアルバムとなれば山田ファンは全員マストで買わねばならないでしょう。そこんとこよろしくと太字で書きたい私がいます。
そんなゲストの豪華なコーラスも入り、歌入れは無事終了しまして。岩崎さんもアユミさんも(私も少し)コーラスし、全員の歌声が盤に刻まれることとなりました。上野さんの素晴らしいディレクションのおかげです。まだ少しオケの録音の追加があり、それが終わってからミックスに入るのですが、リリースは夏か秋くらいになるでしょうか。ぜひ聴いていただけたらと思う次第です。
この勢いでfwjのレコーディングも進めようと野望を抱いている自分なのですが、ずっと歌ものを録音していると反動なのか、歌声のない延々ドローンのやつとか延々ノイズまみれとか延々リズムが反復するやつとか録りたくなって来るので不思議なものです。まあいつも通りの感じにはなるとは思うのですが。ここ最近は音の波形ばかり見ていたので、取りあえず楽器を触るところからやり直したい所存です。
そうそう、岩崎さんといえば彼女が店主をつとめる巣巣で朗読と演奏のイベントがあります。勿論草tenも出演します。
5月5日 等々力巣巣「詩と音楽と珈琲」 
開場16:30 
第一部 17:00-18:00
珈琲タイム18:00-18:30 
第二部18:30-20:30
料金3500円
出演:山田稔明、近藤研二、高橋徹也高橋久美子、青羊(けもの)、ヒサマツエツコ、kitchen Sisters、草とten shoes and more
コーヒー:アアルトコーヒー、 ケーキ:あゆみ食堂
(この日の通常営業は16:00までとなります)
想いを言葉につむぎ、声に出して表現するポエトリーリーディングと音楽を楽しむひととき。あいまには、美味しいコーヒーとケーキを。ゆかりのミュージシャンが集まり、普段のライブとはまた一味違った、こころがやさしくゆれる時間をお楽しみください。
山田氏や近藤さん、タカテツさんなどお馴染みの方々に加え、元チャットモンチーの高橋さんや、「けもの」の青羊さん(彼女と草tenとのセッションも予定しています)など豪華な方々も出演します。すでに残席僅かだそうですのでぜひ巣巣までお問い合わせ下さい。