草とten shoes×高橋久美子 Autumn Tour2019 ツアー記1

奈良、兵庫、愛媛と周る草とten shoesと高橋久美子さんによるAutumn Tour2019も無事終了しました。各地ご来場いただいた方々、どうもありがとうございました。昨年の台湾に続いてのツアーでしたが、まあ笑いあり涙ありの珍道中となりました。ツアー初日は奈良に移動してすぐライブというスケジュールで。まずは羽田から飛行機で伊丹空港まで飛ぶのですが、あやが「この時間で良いんじゃない」と調べてくれた電車で鎌倉から向かったところ、時間を間違えていて集合1時間前に羽田に着いてしまい。まあ1時間遅れじゃなかったから良いようなものの、慌てて準備して出発したのですでにお疲れモードなのです。とりあえずみんなが来るまで休憩しようと荷物を預け中に入り、うどんなど啜っていると岩崎さんから「着いたよー」「クミコンと合流したよー」などと連絡が来て。アユミさんからは何故か「アースシェイカーのギターの人がいた」「大鵬と書いてあるお相撲さんがいた」などと謎の目撃談が報告され、地面を揺るがす何かが起きるという暗示なのかしらと思っているとやがて草テン、クミコン全員が揃い。いよいよバンドツアー出発です。
飛行機に乗って1時間、伊丹空港に着いたら優秀なジャーマネ岩崎さんがすぐレンタカー屋さんに電話をしてくれ。聞くとレンタカー屋さんが空港まで迎えに来てくれるとのことで、一行はギターだのカホンだのスーツケースだの大荷物をせっせと運び、待ち合わせ場所で待っているとやがてレンタカー屋のワゴンが到着し。ドライバーさんがさらば青春の光の森田そっくりのおじさんで、我々の大荷物を迅速に車内に詰めてくれまして。聞けばどうやらそこに5分しか駐車出来ないシステムらしく、何しろ急がされるのです、さらばの森田に。「5分過ぎたら有料なんで!早く乗って下さい!」と5分ミッションをあわあわとクリアし、いざ出発すると今度は森田が「お客さん、この大荷物じゃあレンタルした車に乗り切らないかもしれませんよ」と脅すのです。岩崎さんは少しでも経費を抑えるべく社長の観点からギリ小さめの車を予約していたのですが、我々の荷物が多過ぎたのでしょうか。岩崎さんは強気に「いやー何とか詰め込むから大丈夫ですよ〜」と言うのですが、森田は「いや〜難しいやろなあ〜」と森田の口調で言うのです。実際の車を見ないと判断が難しいので、我々は荷物詰め込みミッションを前に緊張していたのですが、いざレンタカー屋さんに着いて車を見たらギリ入りそうなサイズなのです。「いや詰めればいけるでしょ!」とクミコン。岩崎さんが手続きをしている間にパズルの如く荷物を詰め込む我々。結果的に荷物は綺麗に車内に収まり、「森田こら、ジャストで入ったやんけ!何脅しとんねん!」という顔で見ると森田は「へー入ったんだ」みたいな顔で淡々と車の説明を始めて。そんな調子では青春の光も当たらぬで森田よ、と心の中でツッコミを入れた私です。
そこから一行は車で奈良へ移動です。運転するのは優秀ドライバー岩崎さんです。1時間ほど走り、見慣れぬ地方の風景に旅に出て来たことを実感しているとやがて奈良は橿原神宮へ到り。良い感じの田舎町に突然お洒落なカフェが現れ、今日の会場sunday treatさんに到着です。ラトビア買付けの旅でも一緒だった店主あやこさんと楽くん親子と久々の再会となりました。今回ライブに合わせてカマクラ張子の展示販売もしていただき、店内には綺麗に張子が並べられておりました。早速頼まれていた張子への名入れなど仕事モードに入る私を横目に女性陣は腹ごしらえ。
そしてスタッフさんは会場準備、我々は機材のセッティングをし、リハーサルです。今回クミコンのステージに草テンメンバー各々も合流し、セッションをするのでその段取りを確認しました。まあその場の気分でやること変えたり自由なんですけどね。あやは少し喉が不調でリハで整えておりました。
そして迎えた本番、ありがたいことにお客さんもたくさん入ってくれて。京都での猫町フェスを見に行く流れで来てくれた方もいて嬉しかったですね。まずはクミコンによるステージですが、さすがラジオDJだけあって巧みなトークでお客さんの気持ちを掴み。全編詩の朗読なのですが、音を鳴らしたりお客さんと声の掛け合いをしたり、リズムをつけたり、とても音楽的なのです。言葉も楽器のひとつになるのだなと感心しながら見てしまいました。山の名前を各地の地元の山の名前に変えるなど、ツアーならではの変化が楽しめました。
そんなクミコンワールドへ草テンからはまずアユミさんがピアノの伴奏で入り。今回のツアーでのアユミさんの伴奏は毎回アドリブだったのですが、叙情的で詩に寄り添っていてとても良かったですね。そして岩崎さんも鍵盤ハーモニカで参加です。アユミさんと共にクミコンの詩の世界に彩りを与えておりました。そして私もギターで参加しまして。クミコンのエッセイの朗読に伴奏したのですが、ストーリーに合わせて曲調を変えて音を鳴らしました。最初は手探りだったのですが、ツアーをやっていくうちに固まっていきましたね。そして問題作「アーモンド」です。私がクミコンとアーモンドという言葉を掛け合いするのですが、口調やイントネーション、強弱だけでは限りがあるなと思い「ダイヤモンドじゃなくて?」「中村主水(もんど)じゃなくて?」と韻を踏んだり、次第に大喜利みたいになっていきました。この日は初日だったのでまだ手探りな部分もあったのですが楽しかったですね。そしてあやもクミコンと連詩した「時間」を披露しました。ふたりの言葉の選び方や読み方など相性が良く、各地で好評でした。
そしていよいよ草テンのステージです。今回はアルバム「月曜日にさえずる」全曲に加え、新曲「わたしのフィーカ」、高橋徹也さんに提供していただいた「波の音が聴こえたら」、近藤研二さんに書き下ろしていただいた「モイ」などを演奏しました。私は冒頭こそ音響トラブルで少々動揺したのですが、ライブが進むにつれ落ち着いて演奏出来ました。何しろ会場のsunday treatさんの雰囲気がすごく良かったですね。岩崎さんのMCもなめらかで。今回のツアーは割と全員で喋る機会があって良かったですね。今回は草テンのステージにクミコンもパーカッションで加わっていただき。あのチャットモンチーのドラマーがリズムを鳴らしてくれるのだから最強のサポートです。全編力強くバンドを走らせてくれました。「草とテンシューズ」では手拍子もいただいて嬉しかったですね。アンコールの「星めぐりの歌」まで駆け抜けました。
終演後はクミコンが著作にサインしたりファンの方と談笑したり、私もお客さんに挨拶したり張子に名入れしたりしていたのですが、ふと気付くとあやの姿が見当たらないのです。楽屋に行ってみるとあやがぐったりと床に寝ており。どうしたのかと聞くと超絶に体調が悪いと言うのです。何か突発性の病気なのか、ひょっとしてインフルエンザ?ツアーもやむなく中止か?と全員で心配したのですが、ツアー前日までmoln業が多忙で、今朝も時間を間違えて早めに出発したので寝不足と疲れではないかと私は踏み。「とにかく寝るのだ、寝てから判断だ!」となり。スタッフさんたちにお礼を言い、機材を撤収し車に詰め込み今日の宿に移動することにしまして。
敏腕ジャーマネ岩崎さんがこの日押さえてくれた宿は近くにある「あるがまま」というゲストハウスで。頭の中でビートルズのレットイットビーが鳴ったのですが、田んぼと住宅が並ぶ閑静な町を走りながら本当にこんなところに宿があるのかと思っていると本当にそんなところにあるがままに存在しており。味のある母屋と思しき建物に入るとマスターがおり。マスターこだわりなのでしょうか、山小屋のような内装に味わいあるフクロウの置物、千鳥風に言えばクセが強いのです。その周りには手作り感溢れるコテージが点在しており、洗面所もトイレも外に独立して存在しており、小さいシャワー室が離れにあるという不思議な構造で。我々の部屋は1番奥のコテージだったのですが、雨も降っていたし、何しろ真っ暗でライトがないと歩けない状態なのです。そこを重いスーツケースを持って運び、あやは体調不良でフラフラで、過酷なキャンプなのかこれは、と思いながら着いた部屋には2段ベッドが4つ設置されており。何というか昭和の合宿部屋といった風情なのです。とりあえずそこであやは寝ることにし、他のメンバーは近くに温泉があるからそこに行くことになり。私はあやの看病ではないですが、体調不良の者をひとり残すのも何なので部屋で待つことになり。私の分のご飯は買って来てもらうことになり、「何が良い?」と岩崎さんに聞かれたので、何よりも酒を飲みたかった私はハイボールをよろしくと託し。
見知らぬ地の見知らぬ宿でぽつんと私は何をしているのだろうかと、先ほどのライブが遥か過去に思えながら部屋で待っていたのですが、とりあえず私もシャワーを浴びようとライトを付けて雨の中をシャワー室に行き。雨で足下はぐちゃぐちゃだし歩きにくいのです。電源を入れ中に入ると一応小さい浴槽とシャワーがあり。他にも宿泊客がいるみたいだし、浴槽に湯を溜めるのも何かとさっさとシャワーを浴びて部屋に戻るとまだあやは寝ているし、やはりひとりポツネンと待つしかないのです。そこから2時間は経過したでしょうか。お腹も減って来るし、みんな早く帰って来て〜と思っていると一行が戻って来て。「いや〜良い風呂だったよー」とさっぱりした様子の岩崎さんが「風呂上がりファミレスでご飯も食べて来ちゃった〜。美味しかった〜」と言うのです。私がひとりポツネンと待っている間にみんなは温かい湯に浸かり疲れを癒し温かい食べ物を口にしていたのか、私のご飯は?と岩崎さんに聞くと「コンビニでハイボールとおにぎり買っといたよ〜」とのことで。もうこうなるとコンビニのおにぎりでもありがたいのです。みんなの楽しげな風呂エピソードを聞きながら私はひとりハイボールを飲み、コンビニのおにぎりを食しました。ハイボールとおにぎりは私を裏切らないのです。「橿原神宮ロンリーハイボール」として私の中でこの日のハイボールとおにぎりの味が記憶されました。
あやはそこから朝まで寝続けましたが、アースシェイカーと力士に会うという地を揺るがすか如き暗示はこの謎の体調不良のことなのでしょうか。あやは復活出来るのでしょうか。ライブで疲れていたみんなもハイボールでほろ酔いの私もその後あるがままに眠りにつきました。そう、ツアーはまだまだ続くのです。

 

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