4月のほとりで

気が付けばもう4月です。早いのです。桜が満開になり、薄ピンクの花びら散る道をゆるりと歩けば鳥の鳴き声、暖かな日和につい一句詠みたくなるような心持ちになりそうですがならないのです。いつもと変わらぬ街の様子ですがいつもとは違うのです。こんな不思議な気持ちで新年度を迎えるとは思ってもみなかったです。新型コロナウイルスという目に見えぬものと戦うことになろうとは。目の前の風景に1枚見えないフィルターがかかっているかのような、ちょっとした違和感が持続しています。
東京スカイツリーソラマチ5階のすみだ まち処で4月3日から開催の「すみだ まち処 春の市」という催しにカマクラ張子で参加する予定だったのですが、商品も送りスタッフさんに陳列もお願いして、無事初日を迎えたと思ったら4月4日から12日までスカイツリー自体が休業となってしまいました。本当はワークショップや実演も予定していたこの催し、昨今の状況を鑑みて商品だけの参加としたのですが、その商品自体も幻となってしまいました。4月12日に予定していたmoln10周年のイベントも延期となりました。草とten shoesでリハーサルも行っていたのですが。6月に予定していたmolnのラトビアへの買い付けの旅も飛行機自体が飛ばないので中止となりました。今回はスウェーデンにも行こうと思っていたのですが、こちらも幻となったわけです。人生のすべてが幻となる呪文でもかけられているのでしょうか。
幻といえばマスクです。未だに店頭に並ばないのです。菅ちゃんが2月末に「これからは月6億枚作りますっ!(キリッ)」とドヤ顔していたのは夢か幻だったのでしょうか。さらには安倍ちゃんによる一世帯2枚という謎のマスク支給です。ギャグか何かかと思えば本当なのです。マスクはありがたいけどもっと他にお金の使い方はなかったのでしょうか。しかもWHOがあまり効果ないとうたっている布マスクだって言うじゃない。老若男女、誰にでも平等に与えられる安倍ちゃんのマスク2枚。恋をする少女にも自我に目覚めた少年にも社会の荒波を泳ぐすべての大人にも余生を静かに歩む老人にも平等に与えられる安倍ちゃんのマスク2枚。ひとり暮らしなら2枚使える、2人暮らしなら1枚ずつ使える、3人家族ならひとり使えないけど2人は使える、4人家族なら2人使えないけど2人は使える、5人家族なら3人使えないけど2人は使える、100人家族なら98人使えないけど2人は使える安倍ちゃんのマスク2枚。白く柔らかなその布は温かく、我々の口元を包んでくれるでしょう。窓際に置いたその素敵なギフトに桜の花びらがはらりと落ち、白地に薄ピンクという美しい光景を我が家に届けてくれる安倍ちゃんのマスク2枚。ははー先生ありがたやーと頭を垂れるとでも思っているのでしょうか。歴史上稀に見る馬鹿策ではないでしょうか。キングオブ馬鹿。トップオブ馬鹿。馬鹿オブザイヤー。漆黒の闇に燦然と輝く馬鹿。10000000000年に一度の馬鹿。自作の安倍馬鹿音頭を「はい、あべちゃん〜ばかっ、ばかっ」とばかりに踊りながら夜を明かしたい衝動に駆られたのですが、それこそ馬鹿なのでやめておきましたけどね。自粛ばかり要請して補償はしないし、トップの馬鹿さに落涙を禁じ得ません。公文書改ざんするし税金私物化するし嘘つきだし馬鹿だしそんなやつを必死に擁護する馬鹿もいるしで本当に美しい国だなと実感しています。美しすぎる。今「うつくし」とタイプしようと思ったら「撃つ駆使」と変換されました。見えない自由が欲しくて見えない銃を撃ちまくる。見えないウイルス相手に撃ちまくる愚かな人間が実は地球上一番美しくない生き物かもしれないとふと地球目線で思ったりします。実際中国では人が外に出ないので大気汚染が改善されたそうじゃないですか。
気晴らしに海を散歩しながら、猫を撫でながら、ハイボールを飲みながら、レコードを聴きながら、このちょっとした違和感が拭えるのはいつになるのかとふと考えてしまうこの頃です。健康に気を付けて生き延びることが我々の撃てる銃なのかもしれません。撃つ駆使、美し。

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