エンドレス・サマー

デヴィッドグラブス来日公演の前座、無事終了しました。
ご来場くださった方々、ありがとうございました!
何か前売りだけで200枚は出てたそうで、
当日、会場のネストは超の付く満員でしたね。
いやー楽しかったですよ。


僕は当日、グラブスバンドのリハから見ようと早めに入りして。
何か聞くところによるとこっち来て今回のメンバーで音出すの
初めてだそうなので、彼らのリハ時間だけ異様に長くて(笑)。
来日していきなりぶっつけ本番とはさすがアメリカンだなあ、
とか感心しながら会場に入ったらもうサウンドチェック兼、
練習が始まってて。
今回はグラブスのギターボーカルに、チェロのニコス、
ドラムのアダムピアース、というトリオ編成だったんですが、
アダムピアースが叩く、というのが今回のツアーと
ニューアルバムの聴きどころとも言えるわけですが、
まさにある意味メイン。みたいな感じでしたね。
先立って行われたマイスパレードのライブも
相当盛り上がったみたいだし、
僕も彼のドラムを楽しみにしてたんですが。
実際、彼のドラムを活かしたドライブ感あふれるナンバーなど、
ライブで盛り上がること必至のステージングになっていて、
見ててかっこ良かったですね。
またタバコをふかしながら、「イチロースズキー、マツイー!」
とか日本語を発しながら(笑)
叩く彼の姿が何かいい意味でチンピラっぽくて
(チンピラにいい意味などあるのかという指摘もありますが)
あーこういう人だったんだーとか思ったりして。
PAさんとのやりとりは通訳さんを通して行っていたんですが、
その通訳さん、見た目すごい外人さんなのに
「あのーアコギちょっと下げて。
あとコンピュータの音歪んじゃってるみたいなんだけど。」
とか流暢に日本語喋ってて、面白かったですね。
で、そうこうしてるうちに練習も終わって(笑)。


で、次にwin a sheep freeのリハで。
このバンドのリハも僕ずっと見てたんですけど、
アコギのアンサンブルにドラム、という
サウンドはfwjとも通ずるものがあったんですが、
ボーカルの女の子の歌がすごく浮遊感あるというか、
なかなか雰囲気あって、
割とネオアコとかボサっぽい要素もあってなんつーか
80年代のチェリーレッドとかのバンドとか
そういう匂いもして、なかなか独特な佇まいだなと
思いましたね。
アルバムもぜひ聴いてみたいです。
ところでこのバンドのドラムのイトケンさんは、
近くあがた森魚さんのライブでもバックで叩くそうで、
「前にあがたさんでやったんだって?」
と僕に話し掛けてくれて、
何か共にあがた現場を体験したもの同士で
妙に盛り上がってしまいました(笑)。
こういうとこでつながるというのも面白いですね。


で、ジョンのリハなんですが、
ハウるのを恐れてか妙に出音が小さくて、
「生の音を軽く増幅しました。」程度だったんですが、
まあこれくらいのほうがジョンの雰囲気出るし、
他との違いも際立っていいんじゃないすか、
とか思ってあえて本番でもこの小ささで
勝負するしかないっすね、と思ったんですが。
ただ石本さんは「音小さいなあー」とか
ずっと心配そうにしてたんですが(笑)。
まあそうしてリハも終了したわけです。


で、リハ終了後はジョンのCDとDVDを売るのに
物販で手伝いに来たlymのメンバーとかと
談笑しつつ開演を待ってたんですが、
もう早い時間にお客さん、どんどん入場してきて。
みんな早速、物販コーナーでTシャツとか買うんですよ。
これだけの数の人の前で演奏するのかーとか思いつつも
僕もそういうお客さんに交じって物販コーナーで
グラブスTシャツ、買っちゃいましたけど(笑)。
いや、あまりにステージの冷房が寒いので
防寒用に買ったんですが。
でも今回のグラブスの新譜のジャケと同じく、
キムヒョーソイのデザインで、なかなかいいんですよ。
で、早速ステージで着たんですが(笑)。
(ちなみにキムは本国ではミュージシャンよりも
デザイナーとして有名らしいですね。)


そんなTシャツ姿でいよいよ始まった本番ですが、
やーその時点ですごい数のお客さんで。
でもネストってステージが低いので
お客さんみんな立ってたので結局前列の人しか
目に入らなくて。
なので割と落ち着いて出来ましたね。
(僕の目の前にKittenのライターの方とかいたので
思わずこんにちは、とか言ってしまいましたが 笑)
1曲目がいきなり静かな「7月32日の短編」だったので、
もうとてつもなく静かに集中してやるしかないと、
結構一音一音、噛み締めるように弾いたんですけど、
あとで知人に聞いたら
「1曲目のつかみが良かったから引き込まれた」
とか言ってて、それ聞いて
あー良かった。とか後で安心したんですけど(笑)。
次の「落下する6月」もすんごい集中して弾いて。
で、一番心配だった次の曲「座礁クジラ」なんですが。
これって僕独りで演奏する曲で、
やー指もつれたら大変だなあ、とか思ってたんですが(笑)。
もうこの曲もひたすら静かにしてやろうとか思って、
もう私語してたら聞こえちゃうくらいに
冒頭の部分を演奏してたら、我ながらすごい集中して。
これも一音一音噛み締めながら
(つーかそうしないとミストーンしちゃうし 笑)
演奏したんですけど、
なかなか良く出来たんじゃないかと(笑)。
座礁するクジラを思いながらでもいいし、
クジラを何かの暗喩として思ってもいいし、
全くもって聴く人の想像力に頼る音楽なわけですが、
まあ僕的には気持ち良く出来ましたね。
でもまあ一番演奏してて気持ち良かったのは
最後の「読みかけの夏」と「夕方ループ」でしたが。
読みかけの夏なんて今聴くのにちょうどいいなあ、
なんて思いながらヨシカワくんの奏でるフレーズ聴いてたら
しみじみしてしまって(笑)、
思えばこの曲を録音した数年前の夏から始まって
こうしてたくさんのお客さんの前で演奏するまでに
至ったんだなあとか思ったりして。
あー僕の夏がまた終わろうとしている、
とかいろんなこと思いながら弾いてましたよ。
多分今までで一番いい、
読みかけの夏だったんじゃないでしょうか。
「夕方ループ」もいつになく僕のギターソロが多くて。
(冒頭、石本さんがアドリブでソロったのも
なんかすごく良かったですね)
これも前に見た、夜になる寸前の夏の夕方の空の
ヤバい色とか思い出しながら、
気持ち良く演奏できました。
なんつーかあっという間に終わった演奏でしたけども。
どうでしたでしょうか、みなさん(笑)。
終わったあとはもうすぐにビール飲んで、
あー僕らの夏は終わった。とか思いながら
渋谷の夜景見てまたしみじみしたんですけども(笑)。
まああれだけのお客さんの中で何人かは
気に入ってくれた人もいるんじゃないかしら、
とか微かな希望を持った僕なんですが。


しかしまあ凄いことに僕らやsheep freeさんが終わった後も
どんどんお客さん増えて、
ほとんど満員電車並みでグラブスの本番は始まって。
やーなんつーかグラブスさんの頭がちょっと見える、
くらいでほとんどアダムピアース見えませんでしたが(笑)。
でも盛り上がってましたねー。本番のステージ。
ピアースのドラムもあれって小節ごとにいえば
よれてるんでしょうけども曲トータルでは
グルーブが出てるというか、こういうのって
外人のドラムだなあーと思いましたね。
ああいうのって日本人はなかなか叩けないと思うんですが。
叩くつーか歌う。くらいの感じで。
僕、前にジョンマッケンタイアのドラムを見た時も
そんなこと思ったんですが。
(シー&ケイクを初めて見た時は「へただなー」とか
率直にまず思ってしまった僕なんですが 笑)
やーでも新譜の中でも特にピアースのドラムと
グラブスのギターがスリリングな
「The Neophyte」とか、かっこ良かったですね。
全体的に新譜からの曲がメインで、
「あーあの曲だー」とかアルバムを生で
追体験する感じで、なかなか楽しめましたね。
ただもっとインプロとかミニマルなものも
聴きたかったですが。
(そういうのは違う日に行われるソロパフォーマンスで
見られるみたいですが。
チケットはもう売り切れのようです。)
それにしてもお客さん多すぎて、
すごい暑くて、僕なんか自前のTシャツの上に
グラブスシャツを重ね着してたんで大変でしたが(笑)。
みなさんどうでしたでしょうか。


ライブ終了後はお客さんに挨拶などしつつ、
岡村詩野さんと軽く打ち合わせなどしたり。
また、今回ライブに呼んでいただいた佐々木敦さんと
僕、初めて話したんですけども、
もっと気難しい感じの人かなと思ったら、
気さくな感じのお兄さんで、
あーこういう人なんだーとか意外な感じしました(笑)。
「五十嵐くんて職人なんでしょー?」とか
いきなり言われたりして。
「いやー僕、各駅停車も聞いてみたいんだよねー。
五十嵐くん歌ってるんでしょう。」とか言われたので
ティーンエイジシンフォニーのコンピに入ってますよ。」
とか言ったら
「え、カーネーションとか参加してるやつ?
あれ僕聴いたことあるよ。あれに入ってるんだ?」
とか言われて。
あー佐々木さんの印象に残ってないのか〜、
とかトホホってな感じになってしまいましたが(笑)。
まあそんなこんなで打ち上げにも誘われたんですが
いつまでたってもグラブス組が腰を上げそうにないので
「あのー家遠いんでもう帰ります」と、
途中で帰ったんですが。
やーなんつーか僕らの夏の長い一日が
終わったっていう感じですね。
でもまあまた夏は来るし、
永遠に終わらないわけですよ(笑)。
そんなわけで来てくださった方々、
本当にありがとうございます。
また次回もよろしくです!


つーか僕、結局この日はグラブスさんと話出来なかった
という(笑)オチで。
でも近日取材で話しますのでまたその模様をお知らせします。