ワイルド・アンビションズ

fishingwithjohn2005-03-07

cinraイベント@高井戸倶楽部、無事終了しました。
我々を目当てに来てくださった方々、
ありがとうございます!
いやー正直厳しい場面がいくつかありましたが、
fwj、lymメンバー全員ホントにがんばりましたね〜。
いいライブが出来たと思います!
セットリストは以下の通りです。
1、落下する6月
2、くちびるに秋桜
3、サイクル曜日
4、12月のスマイル(新曲)
5、読みかけの夏
6、夕方ループ


えーまず音的に言えば、リハの段階で低音が回っちゃって
全体の音作りもままならない感じで、
さらにモニター状況も厳しくてですね。
外音のバランスとかも不安で。
石本さん持参のリバーブもかかんないし、
大丈夫っすかねこれ。って感じでリハで1時間くらい
苦戦したんですけども。
まああとは本番でどうにかするしかないわけですよって感じで。
そんな状況でみんなでダーツとかしたり(笑)、
lymのVJ機材で遊んだりして、本番まで待ったわけですが、
お客さんがどんどん入って来るわけです。
ほとんど関係者だと思うんですが、
この大盛況っぷりが後に不幸を生むわけで(笑)。


で、待ちに待った本番ですが、
(時間が押してかなり遅い時間になってしまいましたが)
なんとかリハで心配されたほどには
やりにくくなく、もう集中してやるしかないとか思って
飛ばしましたよ。フィジキさんにはテンポ上げでお願いして。
で、「落下する」はかなりいい演奏が出来て、
手応えありっって感じだったのですが、
次の「くちびる」で会場の異様な状況に気付いて(笑)。
もう遅い時間なのでテーブル席のお客さんたち
いい感じで出来上がってるし、会話も弾んでて、
もう宴たけなわって感じなんですよ。
で、うちらって音小さいし、響きメインなので
会話などの雑音が邪魔なんですよ。
特に「くちびる」って曲は隙間前提っていうか、
無音込みで成り立ってる楽曲なので、
あえて空けている「間」が会話で埋まってしまうわけですよ。
間とギターフレーズで聴かせるのに向かない状況で。
こういうのって料理に例えるとどんなおいしい料理でも
「出来たてで食べて欲しい」とか、
「静かなレストランでじっくり味わって食べて欲しい」とか、
その料理(楽曲)がおいしく映える状況ってのが自ずとあるわけで。
それがもう「パーティー」っていう現場だからしょうがないけど、
楽曲をよりよく聴かせる状況じゃなかったのが
我々を目的に見に来たお客さんに対して申し訳ないなあという
気持ちになってしまってそこが残念でしたね。
あとはグロッケン用のマイクにリバーブをかけて
残響を隙間に放つ、いつもの石本さんのプレイも
いい音響で鳴らせなかったわけで。
でもここで会話ストップさせてもなんだし、
もう集中して演奏し切りましたよ。
それしか出来ることはないし。そこは誠実にやりました。
で、ここでふいに思い出したのが
メルツバウ秋田昌美氏の発言で、
なぜに表現ツールとして「爆音のノイズ」を選んだかの質問に対して、
お客さんの会話や雑踏などの喧噪をすべて黙らせるために
ノイズを大音量で流している旨のことを言っていて。
この「沈黙を得るために飽和したノイズを放つ」というのが
えらく衝撃的だったのですが、それを思い出して、
ふいにそこで自分の手元にノイズ発生装置がないことに
つい不満を感じてしまったのですが(笑)。
一瞬、轟音で会話を断ち切りたい衝動に駆られたんですよね。
まああえてfwjでは静かなアコギの響きを
ツールとして選んでるわけで、
そこは腹を括らないといけないわけですが。
もう碇シンジ風に言えば「逃げちゃ駄目だ」って感じで(笑)。
まああと、メルツバウの発言の他にも、
ジョン・ケージの「4分33秒」をこの場で演奏したら成立しないな。
とか、(あれはリスナーが聴く行為に
能動的でないと成立しない楽曲なので)
いろんな思考が合間に瞬時に巡りましたが。
しかしもう演奏にすべてをぶつけていくしかないと思って
やりましたよ。「サイクル曜日」なんて史上最もいい演奏が出来たと
思いますし。新曲の「12月」もあえて指のタッチが出るように
小さめの音で演奏しましたし。
(あのね、聴いてる人は聴いてるんですよ。こういうプレイを)
「読みかけ」「夕方」も丁寧に一音一音弾きましたよ。
最後「夕方」では感極まったというか、
ロックな俺。がつい出てしまいましたが(笑)、
いやーもうチューニングとかメタメタになっちゃいましたけど
感情をああいう形で出さないとねえやっぱり。
メンバー全員いい演奏しましたよホントに。


で、いざ終わってみたら意外に周囲の反応が結構良くて(笑)。
なかなかの評判だったので
すっかり機嫌良くなってしまった私なんですが(笑)。
いやー聴いてる人はちゃんと聴いてるんですよ〜。
個人的に驚いたのはこれ書いてもいいと思うので書きますけど、
何の前触れもなしに神森徹也氏(http://www.kamimori.jp/
がふらっと見に来たってことですね。
「fwj好きなんすよ」とか言って。
アコギの音が良かった、とか言ってもらえて、
なんか嬉しくて恥ずかしいくらいに喜んでしまった私なんですが(笑)。
かれこれ7年くらい前に彼とは鈴木茂さんのパーティーで共演してて、
その時はキリンジとかかせきさいだぁとかも一緒で、
豪華メンバーに囲まれて僕はカチコチだったのに彼は堂々としていて、
「この人は大物だなー」とか思ったものですが、
実にそれ以来の再会です(笑)。
(アルバムもいただいてしまいました。ありがとうございます。)
あと共演者の空間系のギターとVJの方
(リハで見てて凄い良いと思いました)
にもfwjを気に入ってもらえたようで、嬉しかったですね。
同業者に評価してもらえるのが一番嬉しいんですよ。
いやーしかしメンバーの力にも感謝って感じでしたね。
みんながんばりましたよホントに。


で、がんばったといえばVJ担当のlymですけど、
もちろん演奏中我々はほとんど見られなかったんですけど、
ライブ終了後に宮崎邸で、いち早くライブ映像を見ちゃいました。
いやー良かったですよ。
「くちびる」における小津安二郎のコラージュやら。
(小津を素材に使って欲しいというのは
僕のリクエストだったんですが、
見事な編集の仕方で音とシンクロしてました)
「サイクル」におけるアニメーションやら。
(ポップなアニメで驚きましたねー)
あと「12月」の雪とか、「夕方」の電車の車窓シーンやら、
どれもしみじみ良かったですねえ。
ぜひメンバーにもこの出来を見てもらいたいところです。
我々の演奏もギターの音とか、思ったよりもきれいに3本
出てたので安心しましたね。
思わず「この勝負勝利だったな。」と
改めて乾杯してしまいましたが(笑)、
実に長い一日でしたねしかし。
みなさん本当にお疲れ様でした。
呼んでくださったcinraのスタッフさんたちも
ありがとうございました。
あとご来場くださった方々、本当にありがとうございます。
また次回もがんばります。


あと個人的に心暖まったのが、
フィジキさんのファミリーのライブ観戦ですね(笑)。
産まれたばかりの娘さんには
お父さんのギターはどう聴こえたんでしょうか。
聞いたら「『夕方ループ』の途中ですやすや眠りました」
とのことだったので、あのループが心地よく響いたんでしょうかね。
いやー可愛かったなあ。