秋日子かく語りき

ここ連日仕事で上尾に通っていて
普段使わない私鉄に乗って移動しているのですが、
この沿線にかつて僕が通っていた高校があるので
見ていて何となく懐かしい気分になるのですが、
実は校舎自体は当時から老朽化による崩壊が危ぶまれており、
僕が卒業した直後に新しく建て直されてしまったものなので
建物自体には何の思い入れもなく(笑)、
中途半端なノスタルジーしか得られないのは残念なのですが。
母校が当時の姿を全く残していないというのは
思い出が更新されたみたいであんまりいい気分ではないですね。


ところで母校と言えば、NHKの「課外授業ようこそ先輩」という、
著名人が母校を訪ねてユニークな授業を行うという番組に
建築作家の荒川修作氏が出演した際、
母校だと思って訪ねて授業した学校が実は母校じゃなかった。
というなにそれ的な珍事件が新聞に載っていましたが、
母校間違えるか普通。
とか思いたくなるのですが(笑)、
何十年も経って名残が消えていたら
そういう間違いも起こるのかもしれませんね。
しかし母校でもないのに荒川修作が来ちゃった学校は
ラッキーなのかそうでないのか微妙ですね。
初恋の人と再会。とかいって全然初恋の人じゃなかったみたいな、
がっかりな空虚なる思い出がそこに咲いてしまった感じでしょうか。


ところでかつて僕が通っていた高校には
覆面作家として知られていた北村薫氏が教師として居て、
僕も当時生徒として彼の授業を受けていたのですが、
ある日先生の小説が賞を穫ったか何かで、
雑誌に先生本人の顔写真が掲載されてしまって、
それをきっかけに「どうもあの先生、北村薫らしいぜ」と、
生徒たちの間に急速に噂が広まったのをよく覚えているのですが、
顔がばれるとまずい場合もあるんだなーとか思ったものです。
(公務員だから素性を隠していたと思うのですが)
しかしなんとなくテキトーな先生だなーとか思ってた人が
実は有名な作家だった、なんてのは
クラーク・ケントが実はスーパーマンだった的な驚きで、
そのギャップがかっこいいなーとか思ったものですが。


前にその北村先生とラーメンズ片桐仁氏との
師弟対談みたいなのを雑誌で読んだのですが、
(片桐氏もその高校の生徒で僕の一学年先輩でした)
ラーメンズ面白いと思ってたけど自分の生徒とは気付かなかった」
とか言ってて、生徒がいつの間にか有名人、とか
教師を長く続けてるとあるんだろうなーとか
でも気が付かない場合もあるんだろうなーとか
色々感心したものです。
当時先生がどんな授業をしていたのか
僕は残念ながらよくは覚えていないのですが、
今となっては再び受けてみたい感じですね。
荒川修作のように間違えることもなさそうですし(笑)。


でもそんな高校の話を書いておいてなんですが、
実は当時の担任の名前も思い出せないし、
校歌もワンフレーズさえも思い出せないくらいの
わずかな愛校心しか持ち合わせていないのですけども(笑)。
卒業してから一度も訪れてないし。
でもそんなものじゃないですか、みなさん?