夏の個室のライド・オン

今日の地震かなり揺れましたが、皆さん大丈夫でしたでしょうか。
被害に遭われた方にはお見舞い申し上げます。
地震の瞬間、私は何ともタイミング悪く
仕事場のトイレに入って便座に腰掛けた直後で、
個室に籠った刹那に突然揺れたので、
え、ちょっと、待って、ズボンくらい穿かせてっ、
と無防備な姿でその短くて長い時間を過ごしたのですが、
でもまあ正常性バイアスのせいなのか特に慌てることもなく
取りあえず閉じ込められてはいけないので
ドアを開けてただただ揺れが去るのを待ったのですが、
地面があまりに揺れるのでその揺れに比例して便座も揺れ、
そこに乗っている私も同様に揺れるという状況が
しばらく続いたのでちょっと参りました。
まるで波に乗るサーファーのような、
暴れ馬に跨がる騎手のような、
猛牛を操るカウボーイのような、
インディ・ジョーンズにおいてトロッコで暴走する
ハリソン・フォードとキィ・ホイ・クゥワンのような気分で、
揺れる便座にライドした私なのですが、
このまま便座と共に外へ飛び出し、
川沿いの道を直進し、十字路を抜け、仏壇屋を横目に
商店街に突入し、「本日298円お一人様2点限り」
とか書いてある張り紙を剥がしながら薬局を過ぎ、
冴えない雑貨屋を越え、犬に吠えられ、
マクドナルドとドムドムバーガーの並びを過ぎ、
たこ焼き屋のプチ行列を遮りながら、
洋品店ショーウィンドーに映る私と夏の姿を目にし、
空ってこんなに青かったのか、と呟きながら
やがて可愛い店員のいる喫茶店にもろとも飛び込み、
「お客さま、駐車場は裏手にございますので。」と
可愛い笑顔で告げられ、そこで初めて便座から降り、
「ブルーマウンテン。」と言ったら彼女どんな顔するだろう、
あの娘僕がロングシュート決めたらどんな顔するだろう、
とか想像してるうちに揺れが治まったので
ああ、たいしたことなくて良かった。
とほっとしてしまった私なのです。
意外にトイレのような個室が安全だったりするのかもしれませんが、
正確な情報ではないのでわかりません。
適切な行動を取って安全を図りたいものだと思いながら
変な想像を水に流してみた私です。