自由と可愛さへのアプローチ

先日、NHKの「課外授業ようこそ先輩」という番組に
絵本作家の荒井良二氏が出てたのを
興味深く視聴したのですが、いきなり挨拶もそこそこに
子供たちの前ででかいキャンバスに色を塗りたくり、
滅茶苦茶では?と思われるほど重ね混ぜ始めたのですが、
その後にすっと太陽が現れ、船が現れ、人が現れ、
「何も考えずに描いたらこうなりました。」と、
結果壮大な鮮やかな絵世界が出来上がっており、
見事なる荒井流の挨拶が終わったのですが、
その自由過ぎるパフォーマンスに私は圧倒させられましたよ。
リズムみたいなものの上に直感で線を引いていく感じが
音楽っぽい感じがしました。
こうしてあの独特なタッチが生まれてるのかと、
興味深かったです。


授業では子供たちに16ページの絵本を作らせるという、
絵本作りの極意を教える内容だったのですが、
まず全ページに線を引いてみて、
(これが波のようだったり、地面のようだったり、
いろんなものに見えるのです)
そこに色を塗り重ね、その上に主人公の色を決め、
好きなところに配置し、そこから物語を作る。
という手法だったのですが、
何となく自分のレコーディング手法と重ねて見てしまいましたよ。
音を塗り重ねて主人公の楽器を決めて配置し、
そこからメロを考えていくわけで、
何となく通ずるものがあるわけです。
そういうアプローチを教えてもらうと
子供たちも全くの白から自分の絵本を作り出す
糸口を掴めるわけで、なるほどなあとか思いました。
その塗り方や重ね方など、やってくうちに
洗練されたり、応用されていったりして
自分の文体(画風)が形成されていくわけで、
そのきっかけとしてのアプローチに感心しながら視聴しましたよ。
また音楽と通ずる点で言えば、冒頭の挨拶代わりのパフォーマンスは
さしずめライブでのフリーインプロで、
絵本作りは宅録による感情の音源化みたいなものだろうと
思ったのですが、なかなか面白いものだと思いました。


ところで私はかつて可愛い女子に荒井氏の可愛い絵本を
可愛くプレゼントされたという可愛い思い出を
可愛く持ってたりするのですが、
今の私は可愛さから二万光年離れた、くたびれた魂で
現実社会を生きておるような体たらくなので、
ここはひとつ荒井氏の本でも見て
可愛く自由に線を引いてみたいものだと思いましたよ。


なんて思って早速ギターをやおら手に取ってみたら
全体的にチューニングが狂っていたので、
「まずはチューニングから始めることだな!」
とあくまで可愛く決意してみた私です。


ところで次回の放送は先生が松尾スズキ氏なのですが、
「12歳の大人計画」というタイトルで、
予告編を見る限り、子供相手に「ぎーんざでひーとつー」とか
粋にデュエットするなど面白そうな場面が見受けられたので、
次回も見てみたいと思います。