私、夏空を視て想う

私の家の近所ではあまり蝉が鳴いていない印象なんですが、
その割に道端に蝉の死骸がやたらと転がっているので
鳴かずしてその生に終止符を打っているのか、
それはさぞかし辛かろう。
などと蝉に同情したりしているのですが、
まあ私に同情されたとて蝉も嬉しくなかろう、とか思うと
この同情は私の一方通行で行き場がないと言えるわけで
それも辛いものだなと思ったりして
何だかいくつかの辛さが夏に転がっている状態になっています。
ところでヒグラシの声を聞きたいのですが
私の近所ではさっぱり鳴いていません。
ヒグラシが鳴かないかな、とか独り言を言ったりしています。
そんな夏です。


ところで台風後のここ数日の夕方から夜にかけての
夏空の色彩のグラデーションの美しさたるや
筆舌に尽くし難いと言っても良いくらいで、
鮮やかな夕日のオレンジが雲にかかり遠くまで広がり
今まさにその姿を消そうとしている強い光の余韻を弱め、
ほんの僅かの時を経て夕闇の群青へと移行していくその過程を
私は口をぼんやりと開けてただただ見入り、
ああ、いつかもこんな色彩に塗れたことがあった、
あれは何年前のことだったろうかなどと回想し、
この瞬間が永遠に続くことがあれば
それほど甘美なことはないのになどと思いながらも
完全なるオレンジがすっかり失われ
そして完全なる夜の闇へと移行した夏空の下で
私はただ獏と刹那なる自然の絵画の余韻にしばし浸り、
そこにぼんやりと立ち尽くしてしまったのです。
光と影をこれほど意識した瞬間はなかったくらいです。
あんな夏の姿を見せられたら私は、
黙ることしかできないじゃないですか。


ところで前回、赤田祐一氏のことを書いたところ
それを読んだファンの方から
「近く赤田さん本人に会う予定なので
ジョンさんのことを話しておきますよ。」
という旨のメールをいただいたので
「書いてみるものだなー。」と思いました。
嬉しいですねそういうのは。
しかしどうも私は普通にファンの方から
「ジョンさん」と呼ばれている模様なのですが、
別に本名の五十嵐で呼んでいただいても良いのだけど。
とか思っているのですが
まあどっちでも良いか。と思ったりもしています。
別に「スティーブさん」とか「ジェニファーさん」とか
全然違う名前で呼ばれているわけでもないですしね。